名目GDPなどと強い相関関係にある広告業売上高 2015.3.13
広告業の活動量は景気変動のバロメーターなどと良く言われます。
そこで、特定サービス産業動態統計調査の広告業売上高と景気指標の相関について、簡単に分析してみました。
まず広告業の売上高の推移ですが、いわゆるリーマンショックが発生した平成20年、平成21年の前年比は大幅に減少しましたが、平成22年以降は5年連続で増加しています。特に、ここ3年間ほどの前年比伸び率はその前の2年間よりも高くなっています。
媒体別の売上高では、4媒体広告(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)が平成26年でも4割近くを占めてはいますが、その割合は下がってきています。一方、インターネット広告が着実に増加しています。
さて、まず広告業売上高と名目GDPの関係を見てみると、四半期ごとの前年同期比の相関を見ると、非常に高い相関を見せることが確認されました(相関係数0.74,有意水準1%)。名目GDPと広告業売上高は、密接に連動しています。
次に、景気動向指数と広告業売上高の相関係数を計算してみました。
景気動向指数には、景気変動に先行して変化する経済指標を集めた先行指数、景気変動と同時に変化する経済指標を集めた一致指数、そして景気変動に遅れて変化する経済指標を集めた遅行指数があります。
広告業は景気に先行して変化するという言い方が良くされますが、3種類の景気動向指数それぞれと広告業売上高を計算すると、実は遅行指数との相関が高いという結果になっています。
景気循環を分けて計算してみると、平成5年終わりから平成14年のはじめまでの第12、13景気循環を測定期間とすると一致指数との相関が高くなります。また、それ以降の第14、15景気循環から昨年末までを計測期間とすると遅行指数との相関が高くなります。
つまり、近年の統計を使って簡単に相関を計測してみると、広告業売上高は、景気変動に遅れて変化する遅行指数との相関が強まっているということになります。広告業は、名目GDPや景気動向指数との関係では、同じタイミング、あるいは少し遅れて変化するようになっている可能性が高いということになりました。
内容をまとめたスライド資料をこちらにアップしておりますので、ご活用ください。
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/pdf/h2amini012j.pdf
平成27年3月13日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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