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高齢者世帯の消費活動のインパクト~平成23年延長産業連関表による試算~ 2015.4.22

近年、高齢化が進展する中で、高齢者世帯(高齢者=60歳以上)の消費活動の割合は一層増加していく事が予想されます。そこで、高齢者世帯の消費活動が日本経済に対して持っているインパクトはどれ位なのかを定量的に試算してみました。

まず、消費活動全体に占める高齢者世帯の割合は約4割で、その規模は同じ時期の総資本形成と同規模の水準でした。

また、高齢者世帯の消費活動(約106兆円)が日本の産業全体の生産額(仕事量)のうち、直接・間接的に約174兆円の生産額(仕事量)を生み出した事がわかりました。これらをみると、高齢者世帯の消費活動が日本の産業活動に結構大きな影響を有していることがご理解いただけるかと思います。

さらに、高齢者世帯の消費活動のうち、高齢者世帯の消費割合が高い消費項目に絞って、そのインパクトをみてみます。

高齢者世帯で消費割合の高い消費項目(商品)は、「工事その他のサービス」、「パック旅行費」、「健康保持用摂取品」、「生鮮果物」等となり、高齢者世帯の消費活動全体のうち、約2割が高齢者世帯の消費割合が高い消費項目となります。

高齢者世帯の消費割合が高い消費項目(商品)約20兆円によって、直接・間接的に約34兆円の生産額(仕事量)が生み出されました。その影響が最も大きかったのは、農林水産業で、その内訳は、魚介類、米、果実でした。

上で説明しました高齢者世帯が直接消費する財・サービス106兆円分を生産するため、間接的に需要された生産額(仕事量)は約80兆円でした。項目別に見ると、建設設計やエンジニアリングに代表される「その他の対事業所サービス」が最も大きく、高齢者世帯の消費割合が高かった「工事その他のサービス」(リフォーム)の消費による間接的影響が顕著に出たことになります。

また、高齢者世帯の消費活動によって支えられた生産額(仕事量)を、平成23年と平成17年で比較すると、全体で対17年比12.7%の増加となりました。その中でも、情報・通信機器や輸送機械などの伸びが大きく、情報・通信機器や輸送機械の国内生産が、高齢者世帯の消費活動に依存する度合いが高まっていることがわかります。

総括的に申し上げれば、消費者世帯の消費は、GDPに占める投資の割合に匹敵し、農林水産業や建設といった内需型産業へのインパクトが大きいことがわかりました。

下記の「スライド資料」では、高齢者世帯の消費活動についてのこれらのデータをグラフや表の形でご紹介しておりますので、お目通しいただけると幸いです。

◎スライド資料
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/pdf/h2amini017j.pdf

平成27年4月22日
経済産業省 経済解析室長 石塚

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