鉱工業出荷の回復は上流から~財別出荷指数の伸びる折線グラフ~
2015.5.11
経済解析室では、「動きで見る経済指標」と題して、経済解析室で作成している経済指標のグラフやチャートを簡単な動画として提供する試みをしています。
今回は、「鉱工業出荷の回復は上流から」と題して、財別の鉱工業出荷の動きを「動く折線グラフ」として描き、昨年の増税後の財分類ごとの出荷量の回復の動きを観てみたいと思います。
そもそも、鉱工業指数の「財分類」とは、製品の経済的用途に着目した分類で、つまるところ需要先が何に使うのかという観点からの分類です。まず、原材料、部品や燃料などの形で産業活動に投入される「生産財」と、製造工程から離れて最終製品となった「最終需要財」に分かれます。
「最終需要財」は、資本形成(設備投資や建物建築)に向けられる「投資財」と家計で消費される「消費財」に分かれます。「投資財」は、建設投資に向けられる「建設財」と設備投資に向けられる「資本財」に、「消費財」は「耐久消費財」と「非耐久消費財」に分かれます。
今回のグラフでは、平成25年平均の値を100として、平成25年第1四半期から、平成27年第1四半期までの指数値を折線グラフにしています。
折線として描いたのは、製造業で利用される鉱工業用生産財、輸送機械を除いた資本財といった企業が使う財と、耐久消費財と非耐久消費財の家計が購入する財の各出荷指数です。また、比較対照として、鉱工業全体と日本の製造業に占める割合の大きい乗用車の出荷の動きもグラフ化しています。
この「動く折線グラフ」をみると輸送機械を除く資本財の出荷がまず立ち上がり、鉱工業用生産財が資本財よりも緩やかに水準を上げていく様子が分かるように、設計したつもりです。また、資本財と鉱工業用生産財は、増税後も平成25年平均の出荷を上回って居る一方で、二つの消費財の出荷が完全には同じ水準を上回っていないことも分かるようになっています。
生産設備→原材料等→消費財という一連の流れにおいて上流である資本財や生産財か増税後の出荷が回復してきたということになります。
いずれにせよ、言葉では表現しにくいので、財別出荷の「動く折線グラフ」を是非ご覧いただけると幸いに存じます。
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20150511zu.html
(ただし、Internet Explorer8ではグラフが表示されませんので、最新のブラウザでご覧ください。)
なお、経済解析室では、1997年の前回の消費増税時と比較して、今回の増税の影響が「下流」である耐久消費財に最も強く出ていることを確認した資料を作成しております。
こちらもお目通しいただけると幸いです。
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/pdf/h26/h4a1502cs2.pdf
平成27年5月11日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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