内需の低下を好調な輸出で補い切れずに3月の鉱工業出荷は低下
2015.5.20
鉱工業出荷指数と貿易統計を再編集して、国内向け出荷と輸出向け出荷、国産品供給と輸入品供給を比較できるようにした「鉱工業出荷内訳表、鉱工業総供給表」の平成27年3月分について簡単に説明いたします。
平成27年3月の輸出向け出荷は99.7で、前月比1.4%の上昇、国内向け出荷は97.2で、前月比▲0.3%の低下となりました。
輸出向け出荷は、今年1月に急増、2月に急減しましたが、3月には再び上昇となっています。これは、鋼船や小型乗用車の増加により輸送機械工業が上昇となったことを始め、化学工業やはん用・生産用・業務用機械工業の上昇が影響したものです。
一方、国内向け出荷は、電子部品・デバイス工業や鉄鋼業の低迷により2か月連続の低下となりました。しかしながら、普通乗用車が良かった輸送機械工業、一般用蒸気タービンや反応用機器が良かったはん用・生産用・業務用機械工業の国内向け出荷は、前月比上昇となっています。また、情報通信機械工業の国内向け出荷も好調でした。
3月の鉱工業出荷全体を見ると、この輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業、情報通信機械工業はいずれも前月比上昇業種でした。鉱工業全体が少し一服感を見せるなか、3月の国内向け出荷の良かったこれら業種が、鉱工業出荷全体が少し一服感を見せるなか、出荷を支えていることになります。
輸入品と国産品を合算した総供給指数は100.3で、前月比▲2.4%の低下となりました。その中でも、輸入品供給指数は112.2で、前月比▲7.9%低下と、3か月ぶりに低下となり、昨年5月以来の低水準となっています。
輸入品供給を低下させているのは、ニット製外衣などが低下した繊維工業や、石炭、天然ガスなどが低下した鉱業です。繊維工業の輸入品供給指数は、2月に前月比52.4%上昇しており、その反動もあって大幅低下になっています。鉱業については、石油化学施設の減少や2、3月の発電量の低下などから、天然ガス等の化石燃料の輸入が低下したことにより、2か月連続の前月比低下となっています。
このような燃料需要の低下と企業間取引の低下(卸売業の低迷、生産の低下)もあって、生産財の総供給は前月比▲2.1%の低下となっています。他方、耐久消費財や資本財の総供給は前月比で上昇しています。
3月の国内産業活動と貿易取引の関係をまとめると、国内生産品の国内向け出荷は、耐久消費財や資本財の国内向け出荷は堅調だったものの、建設財や生産財、そして非耐久消費財の国内向け出荷が少し滞っていたために前月比微減の▲0.3%となっています。また、輸入品供給も全ての財で大きく低下しています。
輸出については、生産財は低下したものの、全体的に3月は堅調に推移していました。
このように、国内向け国産品の供給は多少低下していますが、輸入が大きく低下する一方で輸出は上昇ということになりました。その意味では、3月の鉱工業出荷は、内需の低下を好調な輸出で補い切れず低下したという構図になります。
平成27年5月20日
経済産業省 経済解析室長 石塚
※結果概要(このリンク先は最新の公表データに更新されています)
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-2/pdf/b2010_blnc_getsujigaiyo.pdf
データ冊子
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2010_201503nj.pdf
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/sanko_201503.pdf
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