経済産業省
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平成27年4月速報の鉱工業生産は1.0%の上昇となり、鉱工業生産の持ち直し傾向は続いています

2015.5.29


 平成27年4月の「生産」は、季節調整済指数99.1で、前月比1.0%上昇と3か月ぶりの前月比上昇となりました。今年1月に指数102.1、前月比4%以上の上昇となった後、あまりに高い1月の水準からの反動で2月、3月と前月比低下となりましたが、年度明けの4月は前月比プラスを確保しました。
 また、4月の前年同月比は、▲0.1%低下で、まだ前年水準にもどっておりません。しかし、そのマイナス幅は、消費増税後の各月の中で格段に小幅なものになっています。そもそも昨年4月の前年同月比は、3.7%プラスと前年水準から大きく上昇しており、まだ比較的強気の生産がなされていた時期でした。ちなみに、一昨年、平成25年4月と今年4月との比較では、3.6%プラスとなります。
 4月の鉱工業生産は、水準も消費増税の反動減から回復しつつあり、方向感もプラスの状態です。

 「出荷」については、指数値97.7、前月比0.4%の上昇となりました。また、前年同月比は横ばいでしたが、そもそも昨年4月は消費増税直後にもかかわらずメーカー出荷は前年水準をプラス1.9%上回った時期でした。よって、今年4月の出荷水準も、一昨年、平成25年4月の水準に比べれば高いということになります。

 「在庫」は、2か月連続の上昇から、やっと横ばいとなりました。出荷が前月比で上昇していることもあり、在庫率も3か月ぶりに前月比マイナス1.4%低下です。
 在庫を減らしているのは、素材系の鉄鋼業と化学工業で、鉄鋼業は3月まで流通在庫も含めて高くなっているという認識が広まり、在庫調整に入っています。化学工業については、上流のポリプロピレン等の在庫低下の影響が大きくなっていますが、これは一部プラントの定期修理の影響もあるものと思われます。
 他方、在庫を上昇させているのは、「はん用・生産用・業務用機械工業」です。特に、ショベル系掘削機械や建設用クレーンで、この品目は3月の在庫引き上げの主因でもあります。これらの品目は、規制の変更のために目下「作りだめ状態」にあり、こうした特殊要因によって、3月、4月の在庫が上昇しています。
 このような特殊要因による在庫増や、電気機械工業のエアコンのような作りだめの影響もありますが、素材系を中心に在庫削減の動きは発生しているようです。

 5月の予測調査の結果ですが、5月見込みの前月比は0.5%上昇、6月予測の前月比は▲0.5%低下という予測となっています。一部に、4月からの納期の後ろ倒しや、6月納期の前倒しもあるとのことですが、全体的に国内外ともに受注や見込み生産量が6月というよりも7月以降に後ろ倒しになるというお答えを多く伺っています。
 近時、大型の受注型製品によって、予測調査の結果も振れることが多く、先行きについてもお客様の納期次第というところになっています。

 このように、5月以降の動きについては、微妙なところかと思いますが、この4月までの鉱工業生産の動きには基本的な変化はないものと思います。よって、基調判断につきましては「緩やかな持ち直しの動き」と、3月までの判断を維持したいと思います。


○鉱工業指数 平成27年4月速報 結果概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/b2010_201504sj.html

                    平成27年5月29日     
                    経済産業省 経済解析室長 石塚


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