6月上昇も四半期では4四半期ぶり低下と、足踏みがみられた全産業活動指数
2015.8.21
経済解析室では、鉱工業生産指数、第3次産業活動指数、そして建設業活動指数などを加重平均し、日本の産業活動全般の活況度合いを毎月推し量る指標として、「全産業活動指数」を作成公表しております。
平成27年6月の全産業活動指数は、指数値96.5、前月比0.3%と2か月ぶりの上昇となりました。全産業活動指数は、今年の2月にピークアウトして、3月に大きく前月比で低下し、4か月間96台半ばで足踏みしている状態です。6月の全産業活動指数を産業別にみてみると、第3次産業活動指数は4か月ぶりに前月比0.3%上昇、鉱工業生産指数は2か月ぶりに前月比1.1%上昇でした。一方、建設業活動指数は、3か月ぶりに前月比▲0.5%低下となりました。6月の全産業活動指数の前月比上昇に対する寄与では、第3次産業活動指数と鉱工業生産指数の寄与は、ほぼ同じでしたので、建設業活動の6月の低下を、第3次産業、非製造業と鉱工業が補った形になります。
4-6月期の四半期でみると、全産業活動指数は指数値96.5、前期比▲0.9%と4四半期ぶりの低下となりました。前年同期比は、さすがに0.7%プラスであり、増税直後の昨年第2四半期を割り込むことはありませんでしたが、その指数水準差は小さく、増税直後の低下から大きく回復したとは言えません。逆に、一昨年第2四半期との比較では、0.3%マイナスとなってしまっています。平成27年第2四半期の全産業活動の結果は、増税後の回復基調が続かなかったという評価を超えて、方向感も水準感も若干悪かったということになろうかと思います。
産業別にみてみると、第3次産業活動指数は4四半期ぶりに前期比▲0.9%低下、鉱工業生産指数は3四半期ぶりに前期比▲1.4%低下でした。一方、建設業活動指数は、2四半期ぶりに前期比2.8%上昇となりました。第2四半期の全産業活動指数の前期比低下に対する寄与では、第3次産業活動指数の低下寄与が大きく、鉱工業生産指数の低下寄与はその半分程度で、建設業活動指数が若干の上昇寄与ということになります。もともと、建設業活動の全産業に占める割合は小さいので、第3次産業と鉱工業生産の両方が低下してしまうと、建設業活動だけでそれを補うことは難しいところです。
改めて振り返ってみると、増税後の企業活動の復調の軸足は、製造業では輸出や資本財の生産・出荷であり、非製造業では、卸売業などの鉱工業生産と連動性の高いビジネスや、金融取引、専門サービスなどのBtoBのサービスビジネスでした。しかし、この第2四半期では、非製造業においては、卸売業を中心に対事業所サービスが全体を大きく引き下げていました。製造業でも、生産、出荷、稼働率が3四半期ぶりに揃って前期比マイナスとなっています。特に、出荷のうち、輸出向け出荷は5四半期ぶりに前期比低下となりました。以上まとめれば、今年の第2四半期は、輸出向けの生産を含む企業向け産業活動が少し停滞し、それを個人向けの産業活動で補い切れなかった四半期ということになるでしょう。
建設業活動指数の動きにも触れたいと思います。平成27年6月の建設業活動指数は、指数値84.7、前月比▲0.5%と2か月連続の前月比低下となりました。今月は、4月に2桁の前月比上昇となった民間土木が2か月連続低下、建設業全体に占めるウエイトが大きい公共土木も4か月ぶり低下と、民間と公共の土木工事がそろって低下したことが、建設業活動全体を押し下げました。
他方、製造業の設備投資や非製造業(商業施設やオフィスビル)の建設投資である民間非住宅の指数は前月比プラスでした。これで、5か月連続前月比マイナスがないことになります。実は今月低下寄与の大きかった民間土木(民間の鉄道事業者、電力事業者等の土木工事)も四半期でみると5四半期連続の上昇と堅調な動きが続いています。この企業の建設投資意欲が今後も持続するか注視が必要と考えています。
○お役立ちミニ経済解説(by.経済解析室)トップページ
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu-index.html
○平成27年第2四半期の全産業活動指数
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20150820hitokoto.html
○データ公表冊子
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/zenkatu/html/b2005_201506j.html
平成27年8月21日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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