機械工業がけん引する増税後(円安下)の生産能力 2015.9.9
製造工業の生産能力指数は、これまで低下傾向が続いていました。しかしながら、平成26年8月に一旦下げ止まり、9月以降は上昇傾向で推移しています。
製造工業を「機械工業」と「製造工業(除.機械工業)」(以下、「除.機械工業」)に分けて、生産能力指数の動向を見てみると、「除.機械工業」は低下傾向で推移し続けていますが、「機械工業」が平成26年8月以降上昇に転じており、全体の伸びをけん引しています。
毎月の生産能力調査では、生産能力の見直し、設備の新設・増強・休止・廃棄、廃業があった場合、事業所からは当月または翌月に報告が上がってくることになっています。例えば、月の途中で設備の改造や見直し等の変更があった場合には当月、廃棄や廃業の場合には稼働を完全に中止した翌月に報告が上がってきます。このため、年度における調整を全て反映した数字は4月の値になるわけですが、平成27年4月の値を平成26年4月と比較してみると、製造工業全体の生産能力は前年同月比0.2%上昇しています。「機械工業」の「はん用・生産用・業務用機械工業」、「電気機械工業」、「輸送機械工業」が全体の伸びにプラスに寄与する一方、「除.機械工業」の「化学工業」、「鉄鋼業」、「繊維工業」などはマイナスに寄与しています。
「機械工業」の生産能力指数は、平成26年7月に稼働率指数が101.1となったところで底を打ちました。「機械工業」は平成26年9月から平成27年1月にかけて生産能力を増強しつつ稼働率を上げていましたが、平成27年2月以降は、生産能力増強の勢いを弱め、設備の稼働率を調整することによって、生産調整を行っていることがうかがえます。「輸送機械工業」、「電子部品・デバイス工業」、「はん用・生産用・業務用機械工業」などが、2月以降、稼働率を低下させています。
一方、「除.機械工業」は、平成26年9月以降、過剰設備の処理や集約を進め、既存設備の稼働率を調整することにより生産調整を行っていることがうかがえます。「除.機械工業」も「機械工業」と同様、稼働率のピークは平成27年1月であり、2月以降は稼働率を低下させています。
最後に、平成27年7-9月期に生産能力が前期比で上昇もしくは低下する可能性について、昭和58年からの生産能力指数の前期比が上昇もしくは低下した割合に基づき計算してみると、「機械工業」が7-9月期に引き続き上昇する条件付き確率は7割程度となっております。一方、「除.機械工業」が7-9月期に引き続き低下する条件付き確率は8割を超えます。なお、「輸送機械工業」は4-6月期には低下しましたが、7-9月期に低下する確率は4割以下となっております。
各種のグラフや内容をまとめたスライド資料をこちらにアップしておりますので、ご活用ください。
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/pdf/h2amini030j.pdf
平成27年9月9日
経済産業省 経済解析室長 石塚
<おしらせ>
○本メールに記載された数値や内容は他に転載、引用していただいて構いません。また、クリエイティブコモンズCCBY (http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/) の条件でご利用ください。
○問合せ先
経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室 鉱工業指数班
Tel : 03-3501-1511(代表)(内線2853)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL : bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)