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1月の稼働率は大幅上昇するも、生産能力は平成22年基準最低値を更新 2016.3.18

平成28年1月の製造工業生産能力指数は95.0、前月比▲0.2%と2か月ぶりの低下となりました。前年同月比も▲0.6%と2か月連続で前年水準を下回り、さらに低下幅も拡大しています。また、指数値も平成22年基準で最低値となっており、当面は前年水準を下回る推移となる可能性が出てきています。

1月の生産能力低下業種は7業種あり、このうち情報通信機械工業と輸送機械工業の低下寄与が大きくなっています。また、低下寄与は半分程度になりますが、化学工業と繊維工業も低下に寄与しています。他方、生産能力を上昇させた業種も4業種あり、はん用・生産用・業務用機械工業と鉄鋼業の上昇寄与が相対的に大きくなっています。1月は、年の切り替わりということで生産ラインの見直しが行われ、多くの業種、品目で生産能力の変動が報告された月でした。

1月の生産能力指数を機械工業と非機械工業に分けてみると、機械工業の生産能力は前月比▲0.3%低下で前年同月比も▲0.2%低下、非機械工業の生産能力は前月比▲0.1%低下で前年同月比も▲1.3%低下と、ともにマイナス基調でした。

素材型工業を中心とする非機械工業では、引き続き構造的な過剰設備の解消のため、計画的な設備廃棄が続いており、1月についても設備が廃棄されたことによる低下が多くなっています。一方、機械工業においては、一部の品目で需要増による設備増強という報告もありましたが、1月の動きとしては、生産ラインの見直しによる生産能力の低下が大部分となっています。操業度、稼働率の大きな回復が当面見込めなくなっていることの証左かと思います。

なお、資本財(除.輸送機械)の国内向け出荷は、前月比5.1%の上昇ではありますが、更新投資が中心で、生産能力の増強にはつながっていないようです。

平成28年1月の製造工業稼働率指数は100.1、前月比2.6%と3か月ぶりの上昇となりました。1月の鉱工業生産指数が、前月比で3.7%上昇となっており、生産の上昇、すなわち稼働率の上昇ということになっています。

稼働率指数を機械工業と非機械工業に分けてみると、機械工業の稼働率は前月比3.8%と2か月ぶりの上昇、非機械工業の稼働率も前月比0.8%と4か月ぶりの上昇となりましたが、相対的には機械工業の上昇幅が大きくなっています。ただし、機械工業の稼働率の前年同月比は▲8.1%の低下で、昨年1月の水準と比べると大きく見劣りする状況であり、機械工業の稼働率が前年水準を下回るのは、これで13か月連続となります。また、非機械工業の稼働率の前年同月比も▲1.2%と2か月連続の低下ではありますが、こちらは生産設備の廃棄が計画的に進み、低位安定とでもいうべき状況であり、機械工業の操業度の下がり方に比べると緩やかです。

平成26年後半からはん用・生産用・業務用機械工業や電子部品・デバイス工業の稼働率が高水準となり、平成27年初めには生産能力指数が上昇局面に転換することも期待されました。しかし、その後鉱工業生産が停滞し、平成28年1月には生産、稼働率とも確かに大きめの前月比上昇を見せましたが、その水準は決して高くありません。平成28年の製造工業の稼働率は、万全の状態からスタートとは言えなかったようです。

◎結果概要へのURL
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/b2010_201601kj.html

◎図表集へのURL
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/sanko_201601.pdf

平成28年3月18日
経済産業省 経済解析室長 石塚

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