- 6月の第3次産業活動指数は、前月比上昇
- 業種ごとの動向
- 『対個人/対事業所サービス』の動向
- 『製造業/非製造業依存型事業所向けサービス』の動向
- 『非選択的/し好的個人向けサービス』の動向
- 6月時点の基調判断は、「足踏みがみられる」へ引き上げ
6月の第3次産業活動指数は、前月比上昇
6月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値97.2、前月比2.3%と3か月ぶりの上昇となりました。
サービス産業活動は、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、2020年4月には1回目の緊急事態宣言が発出され、2020年5月まで大幅な低下が続いていました。その後、1回目の緊急事態宣言の解除等もあり、2020年6月以降、5か月連続で上昇が続きましたが、感染再拡大による需要喚起策の停止や2回目の緊急事態宣言の発出等もあり、2020年12月から2021年2月まで、再び低下しました。
その後、2021年3月には、2回目の緊急事態宣言の対象区域の縮小を伴う段階的な解除等を受けて、それまでの低下の反動などによって上昇に転じました。4月、5月と、まん延防止等重点措置、3回目の緊急事態宣言の発出及びこれらの対象区域の拡大などを受けて、2か月連続で低下しましたが、6月は、下旬に、緊急事態宣言の対象区域の縮小(沖縄県のみ継続)などを受けて、再び上昇しました。
なお、サービス産業の活動水準については、昨年の底であった2020年5月の指数値86.7と比べれば高いものの、感染拡大防止のためのスポーツ・文化イベントの延期などが本格化する前の2020年2月の指数値101.4を下回る水準であり、これまでの活動水準からみれば依然低い水準にとどまっています。

業種ごとの動向
6月の業種別の動きをみると、11業種中、9業種が前月比上昇、2業種が前月比低下という結果となりました。
6月は、生活娯楽関連サービス、小売業、「運輸業, 郵便業」などを始めとして多くの業種で上昇したことにより、サービス産業全体としては上昇することとなりました。

生活娯楽関連サービスは、前月比7.9%と、3か月ぶりの上昇となりました。内訳業種では、「飲食店,飲食サービス業」や娯楽業、宿泊業などが上昇に寄与しています。6月は、下旬に、緊急事態宣言の対象区域の縮小(沖縄県のみ継続)などを受けて、外食関連、娯楽関連、宿泊関連での活動が上昇したものと考えられます。
また、「小売業」については、前月比3.9%と、3か月ぶりの上昇となりました。内訳業種では、織物・衣服・身の回り品小売業やその他の小売業(別掲を除く住関連)などが上昇に寄与しました。好天にも恵まれ、季節商品などが順調だったことに加えて、先月からの反動増などから取引が上昇したものと思われます。

『対個人/対事業所サービス』の動向
サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス(以下対個人サービス)」と「広義対事業所サービス(以下対事業所サービス)」に分けることができます。
6月の対個人サービスは、指数値94.4、前月比2.6%と3か月ぶりに上昇に転じ、対事業所サービスは、指数値99.8、前月比2.5%と2か月ぶりに上昇しました。
対個人サービスは、好天が多かったことに加えて、6月下旬に、緊急事態宣言の対象区域の縮小(沖縄県のみ継続)などを受けて、衣服・雑貨関連や飲食店関連を始めとしたサービス活動の上昇が要因として考えられます。
また、対事業所サービスは、自動車運送業や卸売業など物流関連の順調な動きなどにより上昇したと考えられます。

『製造業/非製造業依存型事業所向けサービス』の動向
対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、「製造業依存型」と「非製造業依存型」に分けることができ、それぞれの指数を計算しています。
6月は、製造業依存型事業所向けサービスが前月比3.1%、非製造業依存型事業所向けサービスが前月比1.5%と、ともに上昇しました。
特に、製造業依存型事業所向けサービスについては、前月の取引活動の低下の反動増の影響もあったと考えられます。

『非選択的/し好的個人向けサービス』の動向
対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる「非選択的サービス」と、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられる「し好的サービス」に分けられ、それぞれの指数も計算しています。
6月は、非選択的個人向けサービスが前月比0.6%と2か月ぶりの上昇となったことに加えて、し好的個人向けサービスは前月比5.1%と3か月ぶりの上昇となり、個人向けサービス全体では2.6%の上昇となりました。
特に、6月のし好的個人向けサービスについては、好天が多かったことに加えて、下旬に、緊急事態宣言の対象区域の縮小(沖縄県のみ継続)などを受けて、上昇したと考えられます。

6月時点の基調判断は、「足踏みがみられる」へ引き上げ
6月は、対個人サービスが2.6%、対事業所サービスが2.5%と、ともに上昇に転じたことから、サービス産業活動指数は、前月比2.3%と、3か月ぶりの上昇となりました。
先行きについては、7月12日以降、再度、東京都が緊急事態宣言の対象区域に追加されたものの、東京オリンピックの開催時期にも重なり、個人向けサービスを中心に、一定のサービス取引需要が生じていたと想定されます。ただし、新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けて、8月2日以降、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府が緊急事態宣言の対象区域に追加されるなど、サービス産業活動の恒常的な水準回復には時間を要するものと思われます。
こうした状況を踏まえ、サービス産業活動指数の6月の基調判断については、「足踏みがみられる」に引き上げることとします。
なお、今後の動向についても、引き続き注視してまいります。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-202106.html
- マンガ「就職にも使える!第3次産業活動指数」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html