2021年7月は、国内向け出荷は前月比で低下したものの、輸出向け出荷は前月比で上昇した。国内向け出荷では生産財等が低下したものの、輸出向け出荷では資本財等が上昇した。

    国内向け出荷は2か月ぶりの前月比低下、輸出向け出荷は3か月ぶりの上昇

    2021年7月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で96.1、前月比マイナス0.6%と2か月ぶりの低下となりました。内需(国内向け出荷)は前月比マイナス2.4%の2か月ぶりの低下、外需(輸出向け出荷)は同6.7%の3か月ぶりの上昇となり、内需が出荷全体のマイナスに寄与しました。

    出荷水準をみると、まず国内向け出荷指数については、2021年7月の指数値は93.3で、新型コロナウイルス感染症拡大前の2020年1月の97.1と比べると未だ低い水準にとどまっています。

    他方、輸出向け出荷指数については、2021年7月の指数値は108.6となりました。輸出向け出荷は、一時は国内向けより大幅に落ち込みましたが、10月以降は国内向け出荷を上回る回復をみせています。2021年7月は3か月ぶりの上昇となり、指数値は感染症拡大前の2020年1月の水準(97.1)を大幅に上回っています。

    図表01

    業種別の動き

    7月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、10業種で前月比低下となりました。特に低下寄与が大きかったのは生産用機械工業でした。なかでもその他の生産用機械、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは石油・石炭製品工業でした。なかでも石油製品が低下していました。

    図表02

    7月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、7業種が前月比上昇となりました。特に上昇寄与が大きかったのは生産用機械工業でした。なかでもその他の生産用機械、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも乗用車、車体・自動車部品等が上昇していました。

    図表03

    需要先用途別の動き

    7月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。

    国内向け出荷で低下寄与が大きかった財別分類は、製造業の中間投入となる生産財で、次いで資本財、非耐久消費財と続き、耐久消費財のみが上昇となりました。

    一方、輸出向け出荷では、資本財、生産財、耐久消費財等、全ての財で前月比プラスとなりました。

    図表04
    図表05

    輸出仕向け先別の動向

    7月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、韓国、欧州向けは低下したものの、ASEAN、米国を始め、韓国、欧州向けを除く全ての地域向けで上昇となりました。

    図表06

    ASEAN向けは2020年5月以降、回復傾向にあり、7月は前月に続き、2か月連続の上昇と、順調な回復をしています。米国向けは2020年5月を底に10月まで大きく回復し、その後は、低下したものの、2021年4月以降再び4か月連続で上昇に転じています。

    一方、欧州向けは2020年5月を底に11月、2021年5月と順調に回復し、大きな山の後、7月は2か月連続で低下となりました。

    全般的に輸出は回復傾向となっており、8月以降の輸出向け出荷の動向も注目されます。

    図表07
    図表08

    輸入品、総供給の動向

    一方、輸入の動向をみると、7月は、季節調整済指数で103.1、前月比マイナス3.4%と4か月ぶりの低下となりました。輸入は2020年8月以降、上昇傾向で推移しており、2021年3月に一旦低下した以降も再び上昇に転じましたが、6月が現行基準内(2013年1月以降)で2番目に高い水準であったことから、反動で7月はマイナスとなりました。

    業種別の動向をみると、13業種中、12業種が前月比低下、1業種が上昇となり、石油・石炭製品工業、鉱業等が低下に寄与し、電子部品・デバイス工業のみが上昇しました。

    国産も前月比マイナス2.5%と2か月ぶりの低下となり、鉱工業総供給は、前月比マイナス2.4%と2か月ぶりの低下となりました。

    図表09

    2021年7月の出荷は、輸出向け出荷は上昇となったものの、国内向け出荷はマイナスとなり、2か月ぶりの低下となりました。

    他方、先行きについては、内外経済の回復に伴い、出荷も中期的には回復が続くことが期待されますが、足下では、国内外における新型コロナウイルス感染症の再拡大や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響にも十分注意する必要があります。8月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。

    結果概要のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
    参考図表集
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202107.html
    鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html

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