7月のサービス産業活動は、対事業所サービスが0.2%の上昇であったものの、対個人サービスが0.7%の低下であったことから、サービス産業全体では、前月比マイナス0.6%と2か月ぶりの低下。7月時点の基調判断は、「足踏みがみられる」を据え置き。

    7月の第3次産業活動指数は、前月比低下

    7月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値96.6、前月比マイナス0.6%と2か月ぶりの低下となりました。

    サービス産業活動は、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、2020年4月には1回目の緊急事態宣言が発出され、2020年5月まで大幅な低下が続いていました。その後、1回目の緊急事態宣言の解除等もあり、2020年6月以降、5か月連続で上昇が続きましたが、感染再拡大による需要喚起策の停止や2回目の緊急事態宣言の発出等もあり、2020年12月から2021年2月まで、再び低下しました。

    その後、2021年3月には、2回目の緊急事態宣言の対象区域の縮小を伴う段階的な解除等を受けて、それまでの低下の反動などによって上昇に転じました。4月、5月と、まん延防止等重点措置、3回目の緊急事態宣言の発出及びこれらの対象区域の拡大などを受けて、2か月連続で低下しましたが、6月は、下旬に、緊急事態宣言の対象区域の縮小(沖縄県のみ継続)などを受けて、再び上昇しました。

    しかしながら、7月は、緊急事態宣言の対象区域が2都県で限定的であったことなどから、生活娯楽関連サービスでは2か月連続での上昇となったものの、消費者需要が高まらず、小売業などで低下したことから、サービス産業全体として再び低下しました。

    なお、サービス産業の活動水準については、昨年の底であった2020年5月の指数値86.7と比べれば高いものの、感染拡大防止のためのスポーツ・文化イベントの延期などが本格化する前の2020年2月の指数値101.4を下回る水準であり、これまでの活動水準からみれば依然低い水準にとどまっています。

    図表01

    業種ごとの動向

    7月の業種別の動きをみると、11業種中、8業種が前月比低下、3業種が前月比上昇という結果となりました。

    7月は、生活娯楽関連サービスなどで上昇したものの、「医療,福祉」、小売業、「運輸業, 郵便業」などを始めとして多くの業種で低下したことにより、サービス産業全体としては低下することとなりました。

    図表02

    「小売業」については、前月比マイナス2.5%と、2か月ぶりの低下となりました。内訳業種では、織物・衣服・身の回り品小売業や機械器具小売業、自動車小売業などが低下に寄与しました。織物・衣服・身の回り品などでは、好天にも恵まれて季節商品などの販売が順調だった前月からの反動減がみられたことに加えて、機械器具や自動車の小売販売が、消費者需要が高まらず、減少したことなどにより、小売業全体の取引が低下したものと思われます。

    また、生活娯楽関連サービスは、前月比5.5%と、2か月連続の上昇となりました。内訳業種では、宿泊業、「飲食店,飲食サービス業」などが上昇に寄与しています。7月は、緊急事態宣言の対象区域の追加が東京都のみであったことや、オリンピック開催に伴う関係者の来日などもあり、宿泊関連や外食関連の活動が上昇したものと考えられます。

    図表03

    『対個人/対事業所サービス』の動向

    サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス(以下対個人サービス)」と「広義対事業所サービス(以下対事業所サービス)」に分けることができます。

    7月の対事業所サービスは、指数値100.0、前月比0.2%と2か月連続で上昇した一方で、対個人サービスは、指数値93.6、前月比マイナス0.7%と2か月ぶりの低下となりました。

    対事業所サービスは、企業間での各種製品の取引が順調であったことなどを受けて、卸売業で上昇したことなどから、全体として上昇したもの考えられます。

    また、対個人サービスは、織物・衣服・身の回り品小売業、機械器具や自動車などの小売販売が減少したことなどにより、全体として低下したものと思われます。

    図表04

    『製造業/非製造業依存型事業所向けサービス』の動向

    対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、「製造業依存型」と「非製造業依存型」に分けることができ、それぞれの指数を計算しています。

    7月は、製造業依存型事業所向けサービスが前月比0.4%、非製造業依存型事業所向けサービスが前月比0.8%と、ともに2か月連続で上昇しました。

    ただし、製造業依存型事業所向けサービスについては、6月の4.1%の大幅上昇からは、その上昇幅が大きく縮小しています。

    図表05

    『非選択的/し好的個人向けサービス』の動向

    対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる「非選択的サービス」と、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられる「し好的サービス」に分けられ、それぞれの指数も計算しています。

    7月は、非選択的個人向けサービスが前月比0.2%の低下となったことに加えて、し好的個人向けサービスが前月比0.9%の低下となり、個人向けサービス全体では、マイナス0.7%と、2か月ぶりの低下となりました。

    特に、し好的個人向けサービスの低下は、機械器具、自動車などの耐久消費財や衣料品の小売、不動産などの財の仲介取引が低調だったことがその背景として考えられます。

    図表06

    7月時点の基調判断は、「足踏みがみられる」を据え置き

    7月は、対事業所サービスが0.2%の上昇であったものの、対個人サービスが0.7%の低下であったことから、サービス産業活動指数は、前月比マイナス0.6%と、2か月ぶりの低下となりました。

    先行きについては、新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けて、8月2日以降、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府が緊急事態宣言の対象区域に追加されたことや、8月20日には、更に対象区域が大幅に拡大されるなど、サービス産業活動の恒常的な水準回復には未だ時間を要するものと思われます。

    こうした状況を踏まえ、サービス産業活動指数の7月の基調判断については、「足踏みがみられる」に据え置くこととします。

    なお、今後の動向についても、引き続き注視してまいります。

    結果概要のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
    参考図表集
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-202107.html
    マンガ「就職にも使える!第3次産業活動指数」
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html

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