国内向け出荷は２か月連続、輸出向け出荷は２か月ぶりの前月比低下
2021年８月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で９２.７、前月比マイナス３.８％と２か月連続の低下となりました。内需（国内向け出荷）は前月比マイナス３.１％の２か月連続の低下、外需（輸出向け出荷）は同マイナス５.８％の２か月ぶりの低下となり、内外需ともに出荷全体のマイナスに寄与しました。
出荷水準をみると、まず国内向け出荷指数については、2021年８月の指数値は９１.１で、新型コロナウイルス感染症拡大前の2020年１月の９７.１と比べると未だ低い水準にとどまっています。
他方、輸出向け出荷指数については、2021年８月の指数値は１０１.１となりました。輸出向け出荷は、一時は国内向けより大幅に落ち込みましたが、2020年１０月以降は国内向け出荷を上回る回復をみせています。2021年８月は２か月ぶりの低下となりましたが、指数値は感染症拡大前の2020年１月の水準（９７.１）を上回っています。
業種別の動き
８月の国内向け出荷の業種別動向をみると、１２業種中、１０業種で前月比低下となりました。特に低下寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも車体・自動車部品、乗用車等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは電気・情報通信機械工業でした。なかでも電子計算機、民生用電子機械等が低下していました。
８月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、１２業種中、１０業種で前月比低下となりました。特に低下寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも乗用車、車体・自動車部品等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは電気・情報通信機械工業でした。なかでも電池、その他の産業用電気機械等が低下していました。
需要先用途別の動き
８月の需要先別用途別分類（財別分類）の国内向け／輸出向け出荷の動きを比較してみます。
国内向け出荷で低下寄与が大きかった財別分類は、製造業の中間投入となる生産財で、次いで耐久消費財、資本財と続き、建設財のみが上昇となりました。
輸出向け出荷でも、生産財の低下寄与が最も大きく、資本財、耐久消費財と続き、非耐久消費財のみが上昇となりました。
輸出仕向け先別の動向
８月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、韓国向け等は上昇したものの、米国、ASEAN、中国等は低下となりました。
米国向けは2020年５月を底に１０月まで大きく回復し、その後は、足踏み状態が続いています。ASEAN向けは2020年５月以降、上昇低下を繰り返しながら回復傾向にありましたが、３か月ぶりの低下となっています。
全般的に輸出は回復傾向となっているものの、８月は回復力が弱かったので、９月以降の輸出向け出荷の動向が注目されます。
輸入品、総供給の動向
一方、輸入の動向をみると、８月は、季節調整済指数で１０６.９、前月比３.７％と２か月ぶりの上昇となりました。輸入は2020年８月以降、上昇傾向で推移しており、2021年３月に一旦低下した以降も再び上昇に転じ、８月の指数値は2014年３月の１１０.２に次ぎ、現行基準内（2013年１月以降）で２番目に高い水準となりました。
業種別の動向をみると、１３業種中、１０業種が前月比上昇、１業種が横ばい、２業種が低下となり、鉱業、化学工業(除．医薬品)等が上昇に寄与し、輸送機械工業、石油・石炭製品工業が低下していました。
国産は前月比マイナス３.０％と２か月連続の低下となり、鉱工業総供給は、前月比マイナス１.１％と２か月連続の低下となりました。
2021年８月の出荷は、輸出向け出荷、国内向け出荷ともにマイナスとなり、２か月連続で低下となりました。
他方、先行きについては、内外経済の回復に伴い、出荷も中期的には回復が続くことが期待されますが、足下では、国内外における新型コロナウイルス感染症の再拡大や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響にも十分注意する必要があります。９月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202108.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給（いわゆるバランス表）をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html