- 8月の第3次産業活動指数は、前月比低下
- 業種ごとの動向
- 『対個人/対事業所サービス』の動向
- 『製造業/非製造業依存型事業所向けサービス』の動向
- 『非選択的/し好的個人向けサービス』の動向
- 8月時点の基調判断は、「足踏みのなかに弱さがみられる」へ引き下げ
8月の第3次産業活動指数は、前月比低下
8月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値95.0、前月比マイナス1.7%と2か月連続の低下となりました。
サービス産業活動は、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、2020年4月には1回目の緊急事態宣言が発出され、2020年5月まで大幅な低下が続いていました。その後、1回目の緊急事態宣言の解除等もあり、2020年6月以降、5か月連続で上昇が続きましたが、感染再拡大による需要喚起策の停止や2回目の緊急事態宣言の発出等もあり、2020年12月から2021年2月まで、再び低下しました。
その後、2021年3月には、2回目の緊急事態宣言の対象区域の縮小を伴う段階的な解除等を受けて、それまでの低下の反動などによって上昇に転じました。4月、5月と、まん延防止等重点措置、3回目の緊急事態宣言の発出及びこれらの対象区域の拡大などを受けて、2か月連続で低下しましたが、6月は、下旬に、緊急事態宣言の対象区域の縮小(沖縄県のみ継続)などを受けて、再び上昇しました。
しかしながら、7月は、緊急事態宣言の対象区域が2都県で限定的であったことなどから、生活娯楽関連サービスでは2か月連続での上昇となったものの、消費者需要が高まらず、小売業などで低下したことから、再び低下しました。
8月は、大雨などの天候要因に加えて、新型コロナウイルス感染症の再拡大による緊急事態宣言の対象区域の拡大などを受けて、2か月連続での低下となりました。
なお、サービス産業の活動水準については、昨年の底であった2020年5月の指数値86.7と比べれば高いものの、感染拡大防止のためのスポーツ・文化イベントの延期などが本格化する前の2020年2月の指数値101.4を下回る水準で、これまでの活動水準からみれば依然低い水準が続いており、本年の最低水準となりました。

業種ごとの動向
8月の業種別の動きをみると、11業種中、7業種が前月比低下、4業種が前月比上昇という結果となりました。
8月は、生活娯楽関連サービスを中心に、「運輸業, 郵便業」、小売業、卸売業などで低下したことにより、サービス産業全体としては低下することとなりました。

生活娯楽関連サービスは、前月比マイナス12.2%と、3か月ぶりの低下となりました。内訳業種では、「飲食店,飲食サービス業」、娯楽業、宿泊業などが低下に寄与しています。8月は、大雨などの天候要因に加えて、新型コロナウイルス感染症の再拡大による緊急事態宣言の対象区域の拡大などを受けて、外食関連や娯楽関連、宿泊関連の活動が低下したものと考えられます。
「運輸業、郵便業」については、前月比マイナス3.5%と、2か月連続の低下となりました。内訳業種では、旅客運送業や運輸に附帯するサービス業などが低下に寄与しました。夏休みシーズンであったものの、オリンピック・パラリンピックの混雑緩和対策や新型コロナウイルス感染症の再拡大などを受けて、消費者が外出を控えたことなどにより、旅客運送業などで低下したものと思われます。

『対個人/対事業所サービス』の動向
サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス(以下対個人サービス)」と「広義対事業所サービス(以下対事業所サービス)」に分けることができます。
8月の対個人サービスは、指数値90.9、前月比マイナス3.2%と2か月連続の低下となりました。大雨などの天候要因や緊急事態宣言の対象区域の拡大などを受けて、外食関連や娯楽関連、宿泊関連の活動が低下し、対個人サービスは低下したものと考えられます。
また、対事業所サービスは、指数値98.2、前月比マイナス1.7%と3か月ぶりに低下しました。対事業所サービスは、大雨などの天候要因により、農産物や水産物などの取引活動が低下したことに加えて、アジア各国での経済活動制限等による部材調達不足などに直面した製造業での生産活動が低下したことなどから、全体として事業者間での取引活動が低下したものと思われます。

『製造業/非製造業依存型事業所向けサービス』の動向
対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、「製造業依存型」と「非製造業依存型」に分けることができ、それぞれの指数を計算しています。
8月は、製造業依存型事業所向けサービスが前月比マイナス2.9%、非製造業依存型事業所向けサービスが前月比マイナス1.0%と、ともに3か月ぶりに低下しました。
製造業依存型事業所向けサービスについては、製造業での生産活動が低下したことなどから、全体として事業者間での取引活動が低下したものと思われます。

『非選択的/し好的個人向けサービス』の動向
対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる「非選択的サービス」と、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられる「し好的サービス」に分けられ、それぞれの指数も計算しています。
8月は、非選択的個人向けサービスが前月比マイナス1.6%と、3か月ぶりの低下、し好的個人向けサービスが前月比マイナス5.8%と、2か月連続の低下となりました。
し好的個人向けサービスの低下は、大雨などの天候要因に加えて、緊急事態宣言の対象区域の拡大などを受けて、外食関連や娯楽関連、宿泊関連の活動が低調だったことによるものと考えられます。

8月時点の基調判断は、「足踏みのなかに弱さがみられる」へ引き下げ
8月は、対事業所サービスが1.7%の低下、対個人サービスが3.2%の低下となり、サービス産業活動指数は、前月比マイナス1.7%と、2か月連続の低下となりました。
先行きについては、9月末に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が全面解除され、新型コロナウイルス感染症が大幅に抑制されてきており、次第にサービス産業の活動が回復してくることが見込まれますが、1都3県ではリバウンド防止措置が実施されるなど、本格的な回復には未だ時間を要するものと思われます。
こうした状況を踏まえ、サービス産業活動指数の8月の基調判断については、「足踏みのなかに弱さがみられる」に引き下げることとします。
なお、今後の動向についても、引き続き注視してまいります。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-202108.html
- マンガ「就職にも使える!第3次産業活動指数」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html