2021年9月は、国内向け出荷、輸出向け出荷ともに前月比で低下した。国内向け出荷、輸出向け出荷ともに業種別では輸送機械工業が最も低下に寄与した。財別では国内向け出荷では生産財等が低下に寄与し、輸出向け出荷では耐久消費財等が低下に寄与した。

    国内向け出荷は3か月連続、輸出向け出荷は2か月連続の前月比低下

    2021年9月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で86.5、前月比マイナス6.2%と3か月連続の低下となりました。内需(国内向け出荷)は前月比マイナス7.6%と3か月連続の低下、外需(輸出向け出荷)は前月比マイナス3.9%と2か月連続の低下となり、内外需ともに出荷全体のマイナスに寄与しました。

    出荷水準をみると、まず国内向け出荷指数については、2021年9月の指数値は83.6で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大きく落ち込んだ2020年6月の82.9に次ぐ低水準となりました。

    他方、輸出向け出荷指数については、2021年9月の指数値は97.2となり、2021年に入ってから最も低い水準にはなりましたが、指数値は感染症拡大前の2020年1月の水準(97.1)を僅かに上回りました。

    9月は、自動車を中心とした供給制約の影響による減産により、鉱工業出荷が大きく落ち込みましたが、特に国内において、その影響が強く表れる結果となりました。

    図表01

    業種別の動き

    9月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、10業種で前月比低下となりました。自動車産業における供給制約の影響による減産により、輸送機械工業が特に低下寄与が大きくなりました。なかでも乗用車、車体・自動車部品等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは電気・情報通信機械工業でした。なかでも電池、無線通信機器等が低下していました。

    図表02

    9月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、8業種で前月比低下となりました。やはり、国内向け出荷と同様に、自動車産業による減産の影響により、特に低下寄与が大きかったのは輸送機械工業となりました。なかでも乗用車、トラック等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは生産用機械工業でした。なかでも建設・鉱山機械、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置等が低下していました。

    図表03

    需要先用途別の動き

    9月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。

    国内向け出荷で低下寄与が大きかった財別分類は、製造業の中間投入となる生産財で、次いで耐久消費財、資本財と続き、非耐久消費財と建設財が上昇となりました。

    輸出向け出荷では、耐久消費財の低下寄与が最も大きく、資本財、生産財と続き、非耐久消費財と建設財が上昇となりました。

    国内向け、輸出向けともに、自動車の供給制約による減産が低下に大きく影響したと考えられます。輸出向けは、完成車の輸出減少が主要因であったのに対し、国内向けは、自動車関連の部品の落ち込みも影響したことが、今回、輸出向けに比べ、国内向けの方が大きく低下した要因と推測されます。

    図表04
    図表05

    輸出仕向け先別の動向

    9月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、ASEAN、韓国向けは上昇したものの、米国、欧州、中国等は低下となりました。

    図表06

    米国向けは2020年5月を底に10月まで大きく回復し、その後は、足踏み状態が続いていましたが、9月は大きく低下しました。日本から米国への自動車輸出の割合が高いことから、今回の自動車減産の影響が如実に表れた結果となりました。

    ASEAN向けは2020年5月以降、上昇低下を繰り返しながら回復傾向にあり、2か月ぶりの上昇となっています。

    全般的に輸出は回復傾向となっているものの、足下では回復力が弱くなっているので、10月以降の輸出向け出荷の動向が注目されます。

    図表07
    図表08

    輸入品、総供給の動向

    一方、輸入の動向をみると、9月は、季節調整済指数で105.5、前月比マイナス1.4%と2か月ぶりの低下となりました。輸入は2020年8月以降、上昇傾向で推移しており、2021年3月に一旦低下した以降も再び上昇に転じ、9月の指数値は前月比ではマイナスとなったものの、依然高い水準を維持しました。

    業種別の動向をみると、13業種中、10業種が前月比低下、1業種が横ばい、2業種が上昇となり、鉱業、汎用・業務用機械工業等が低下に寄与し、化学工業(除.医薬品)、鉄鋼・非鉄金属工業が上昇していました。

    国産は前月比マイナス7.6%と3か月連続の低下となり、鉱工業総供給は、前月比マイナス6.3%と3か月連続の低下となりました。

    図表09

    2021年9月の出荷は、輸出向け出荷、国内向け出荷ともにマイナスとなり、国内向けは3か月連続で低下となりました。

    特に、今回は、自動車産業における供給制約による減産が輸出向け出荷、国内向け出荷の双方に大きな影響を与える結果となりました。

    先行きについては、東南アジアでの感染症拡大に伴い発生している部品供給不足が解消されつつあることや、内外経済の回復に伴い、出荷も中期的には回復が続くことが期待されるため、輸出向け出荷、国内向け出荷がともに上向くことも期待されます。ただし、足下では、引き続き、国内外における新型コロナウイルス感染症の再拡大や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響にも十分注意する必要があります。10月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。

    結果概要のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
    参考図表集
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202109.html
    鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html

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