- 9月の第3次産業活動指数は、前月比上昇
- 業種ごとの動向
- 『対個人/対事業所サービス』の動向
- 『製造業/非製造業依存型事業所向けサービス』の動向
- 『非選択的/し好的個人向けサービス』の動向
- 9月時点の基調判断は、「足踏みのなかに弱さがみられる」を据え置き
9月の第3次産業活動指数は、前月比上昇
9月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値96.0、前月比0.5%と3か月ぶりの上昇となりました。
サービス産業活動は、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、2020年4月には1回目の緊急事態宣言が発出され、2020年5月まで大幅な低下が続いていました。その後、1回目の緊急事態宣言の解除等もあり、2020年6月以降、5か月連続で上昇が続きましたが、感染再拡大による需要喚起策の停止や2回目の緊急事態宣言の発出等もあり、2020年12月から2021年2月まで、再び低下しました。
その後、2021年3月には、2回目の緊急事態宣言の対象区域の縮小を伴う段階的な解除等を受けて、それまでの低下の反動などによって上昇に転じました。4月、5月と、まん延防止等重点措置、3回目の緊急事態宣言の発出及びこれらの対象区域の拡大などを受けて、2か月連続で低下しましたが、6月は、下旬に、緊急事態宣言の対象区域の縮小(沖縄県のみ継続)などを受けて、再び上昇しました。
しかしながら、7月は、消費者需要が高まらず再び低下し、8月は、新型コロナウイルス感染症の再拡大による緊急事態宣言の対象区域の拡大などを受けて、2か月連続での低下となりました。
こうした中、9月は、新型コロナウイルス感染症の影響が縮小したことなどを受けて、3か月ぶりに上昇しました。
なお、サービス産業の活動水準については、昨年の底であった2020年5月の指数値86.7と比べれば高いものの、感染拡大防止のためのスポーツ・文化イベントの延期などが本格化する前の2020年2月の指数値101.4を下回る水準で、これまでの活動水準からみれば依然低い水準が続いています。

業種ごとの動向
9月の業種別の動きをみると、11業種中、7業種が前月比上昇、4業種が前月比低下という結果となりました。
9月は、生活娯楽関連サービスや小売業などで上昇したことにより、サービス産業全体としては上昇することとなりました。

生活娯楽関連サービスは、前月比6.5%と、2か月ぶりの上昇となりました。内訳業種では、娯楽業や洗濯・理容・美容・浴場業などが上昇に寄与しています。9月は、新型コロナウイルス感染症の影響が縮小したことなどを受けて、娯楽関連や理容・美容・浴場関連の活動が上昇したものと考えられます。
小売業については、前月比3.2%と、3か月ぶりの上昇となりました。内訳業種では、織物・衣服・身の回り品小売業やその他の小売業(別掲を除く住関連)などが上昇に寄与しました。比較的良好であった天候要因に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響が縮小したことなどを受けて、消費者の購買活動が徐々に回復し、上昇したものと思われます。

『対個人/対事業所サービス』の動向
サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス(以下対個人サービス)」と「広義対事業所サービス(以下対事業所サービス)」に分けることができます。
9月の対個人サービスは、指数値93.7、前月比2.3%と3か月ぶりの上昇となりました。新型コロナウイルス感染症の影響が縮小したことなどを受けて、消費者の購買・サービス消費活動が徐々に回復し、対個人サービスは上昇したものと考えられます。
また、対事業所サービスは、指数値97.8、前月比マイナス0.7%と2か月連続で低下しました。対事業所サービスは、アジア各国での経済活動制限等による部材調達不足などに直面した製造業での生産活動が低下したことに加えて、これまで比較的好調であった情報通信業での反動減などにより、全体として事業者間での取引活動が低下したものと思われます。

『製造業/非製造業依存型事業所向けサービス』の動向
対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、「製造業依存型」と「非製造業依存型」に分けることができ、それぞれの指数を計算しています。
9月は、製造業依存型事業所向けサービスが前月比0.1%と上昇する一方で、非製造業依存型事業所向けサービスが前月比マイナス0.5%と低下しました。
非製造業依存型事業所向けサービスについては、これまで特需などもあり比較的好調であった情報通信業での反動減などにより、全体として事業者間での取引活動が低下したものと思われます。

『非選択的/し好的個人向けサービス』の動向
対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる「非選択的サービス」と、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられる「し好的サービス」に分けられ、それぞれの指数も計算しています。
9月は、非選択的個人向けサービスが前月比マイナス0.3%と、2か月連続の低下となる一方で、し好的個人向けサービスが前月比4.6%と、3か月ぶりの上昇となりました。
し好的個人向けサービスの上昇は、比較的良好であった天候要因に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響の縮小などを受けて、小売関連や娯楽関連の活動が上昇したことによるものと考えられます。

9月時点の基調判断は、「足踏みのなかに弱さがみられる」を据え置き
9月は、対事業所サービスが0.7%の低下となる一方で、対個人サービスが2.3%の上昇となり、サービス産業活動指数は、前月比0.5%と、3か月ぶりの上昇となりました。ただし、7月、8月の連続低下の低下幅と比べると、回復度合いは限定的なものにとどまりました。
先行きについては、9月末に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が全面解除され、新型コロナウイルス感染症が大幅に抑制されてきており、次第にサービス産業の活動が回復してくることが見込めますが、本格的な回復には未だ時間を要するものと思われます。
こうした状況を踏まえ、サービス産業活動指数の9月の基調判断については、「足踏みのなかに弱さがみられる」を据え置くこととします。
なお、今後の動向についても、引き続き注視してまいります。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-202109.html
- マンガ「就職にも使える!第3次産業活動指数」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html