- 10月の第3次産業活動指数は、前月比上昇
- 業種ごとの動向
- 『対個人/対事業所サービス』の動向
- 『製造業/非製造業依存型事業所向けサービス』の動向
- 『非選択的/し好的個人向けサービス』の動向
- 10月時点の基調判断は、「一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの兆し」に引き上げ
10月の第3次産業活動指数は、前月比上昇
10月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値97.4、前月比1.5%と2か月連続の上昇となりました。
サービス産業活動は、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、2020年4月には1回目の緊急事態宣言が発出され、2020年5月まで大幅な低下が続いていました。その後、1回目の緊急事態宣言の解除等もあり、2020年6月以降、5か月連続で上昇が続きましたが、感染再拡大による需要喚起策の停止や2回目の緊急事態宣言の発出等もあり、2020年12月から2021年2月まで、再び低下しました。
その後、2021年3月には、2回目の緊急事態宣言の対象区域の縮小を伴う段階的な解除等を受けて、それまでの低下の反動などによって上昇に転じました。4月、5月と、まん延防止等重点措置、3回目の緊急事態宣言の発出及びこれらの対象区域の拡大などを受けて、2か月連続で低下しましたが、6月は、下旬に、緊急事態宣言の対象区域の縮小(沖縄県のみ継続)などを受けて、再び上昇しました。
しかしながら、7月は、消費者需要が高まらず再び低下し、8月は、新型コロナウイルス感染症の再拡大による緊急事態宣言の対象区域の拡大などを受けて、2か月連続での低下となりました。
こうした中、9月は、新型コロナウイルス感染症の影響が縮小した結果、3か月ぶりに上昇に転じ、10月は、その影響がさらに縮小したことなどを受けて、2か月連続での上昇となりました。
なお、サービス産業の活動水準については、昨年の底であった2020年5月の指数値86.7と比べれば高いものの、感染拡大防止のためのスポーツ・文化イベントの延期などが本格化する前の2020年2月の指数値101.4を下回る水準で、これまでの活動水準からみれば依然低い水準が続いています。

業種ごとの動向
10月の業種別の動きをみると、11業種中、8業種が前月比上昇、3業種が前月比低下という結果となりました。
10月は、生活娯楽関連サービスや情報通信業などで上昇したことにより、サービス産業全体としては上昇することとなりました。

生活娯楽関連サービスは、前月比10.3%と、2か月連続の上昇となりました。内訳業種では、「飲食店,飲食サービス業」や宿泊業などが上昇に寄与しています。10月は、新型コロナウイルス感染症の影響が縮小したことなどを受けて、飲食関連や宿泊関連の活動が上昇しました。
情報通信業については、前月比4.5%と、2か月ぶりの上昇となりました。内訳業種では、情報サービス業などが上昇に寄与しました。受注ソフトウェアなどの取引活動が堅調であったことなどを受けて、上昇しました。

『対個人/対事業所サービス』の動向
サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス(以下対個人サービス)」と「広義対事業所サービス(以下対事業所サービス)」に分けることができます。
10月の対個人サービスは、指数値95.8、前月比2.0%と2か月連続の上昇となりました。新型コロナウイルス感染症の影響が縮小したことなどを受けて、消費者の購買・サービス消費活動が回復し、対個人サービスは上昇しました。
また、対事業所サービスは、指数値98.1、前月比0.4%と3か月ぶりに上昇しました。対事業所サービスは、企業や官公庁の情報サービス投資が増加したこと受けて上昇しました。ただ、連続低下には歯止めがかかったものの、9月の低下幅を下回る上昇幅にとどまっており、対事業所サービス全体でみれば、依然として足踏みが続いています。

『製造業/非製造業依存型事業所向けサービス』の動向
対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、「製造業依存型」と「非製造業依存型」に分けることができ、それぞれの指数を計算しています。
10月は、製造業依存型事業所向けサービスが前月比マイナス1.1%と3か月連続で低下する一方で、非製造業依存型事業所向けサービスが前月比0.8%と3か月ぶりに上昇しました。
非製造業依存型事業所向けサービスについては、新型コロナウイルス感染症の影響が縮小したことなどを受けて、事業者間での取引活動が上昇したものと思われます。

『非選択的/し好的個人向けサービス』の動向
対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる「非選択的サービス」と、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられる「し好的サービス」に分けられ、それぞれの指数も計算しています。
10月は、非選択的個人向けサービスが前月比マイナス0.3%と、3か月連続の低下となる一方で、し好的個人向けサービスが前月比5.2%と、2か月連続の上昇となりました。
し好的個人向けサービスの上昇は、新型コロナウイルス感染症の影響の縮小などを受けて、飲食関連、小売関連や娯楽関連の活動が上昇したことによります。

10月時点の基調判断は、「一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの兆し」に引き上げ
10月は、対事業所サービスが0.4%の上昇、対個人サービスが2.0%の上昇となり、サービス産業活動指数は、前月比1.5%と、2か月連続の上昇となりました。
先行きについては、11月下旬頃から世界的に拡大を始めているオミクロン株の影響が懸念されるものの、日本国内での新型コロナウイルス感染症の影響は大幅に抑制されてきており、今後もサービス産業の活動が回復していくことが見込まれます。
こうした状況を踏まえ、サービス産業活動指数の10月の基調判断については、「一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの兆し」に引き上げることとします。
なお、今後の動向についても、引き続き注視してまいります。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-202110.html
- マンガ「就職にも使える!第3次産業活動指数」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html