国内向け出荷は2か月連続、輸出向け出荷は4か月ぶりの前月比上昇
2021年11月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で95.3、前月比7.4%と2か月連続の上昇となりました。内需(国内向け出荷)は前月比7.1%と2か月連続の上昇、外需(輸出向け出荷)は前月比6.3%と4か月ぶりの上昇となり、出荷全体と内需は、現行基準(2015年基準)で最大の前月比伸び率を記録しました。
出荷水準をみると、まず国内向け出荷指数については、2021年11月の指数値は93.1で、2021年7月の94.0以来に水準が大きく上昇しました。
輸出向け出荷指数については、2021年11月の指数値は101.9となり、国内向け出荷同様、2021年7月以来の高い水準になりました。
9月までは、半導体不足に加えて、アジアでの感染症拡大に伴う部品供給不足などの影響により、低下していましたが、10月は、これらの影響緩和などにより上昇に転じ、11月は、その影響が一段と緩和されたことなどを受けて、特に自動車産業を中心として、鉱工業出荷はより大きく上昇しました。

業種別の動き
11月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、11業種で前月比上昇となりました。輸送機械工業が9月に自動車産業における供給制約の影響による減産により、前月比マイナス35.1%と大きく低下した反動で、10月の前月比30.9%の上昇に引き続き、11月は前月比35.3%の上昇となり、国内向け出荷の上昇寄与の約6割が輸送機械工業となっています。なかでも乗用車、車体・自動車部品等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは汎用・業務用機械工業でした。なかでも汎用機械器具部品、ボイラ・原動機等が上昇していました。

11月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、6業種で前月比上昇となりました。特に上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業となり、輸出向け出荷の上昇寄与の約8割が輸送機械工業となっています。なかでも乗用車、船舶・同機関等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは電子部品・デバイス工業でした。なかでも集積回路、電子部品等が上昇していました。

需要先用途別の動き
11月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。
国内向け出荷で上昇寄与が大きかった財別分類は、製造業の中間投入となる生産財で、次いで耐久消費財、資本財と続き、建設財、非耐久消費財が低下となりました。
輸出向け出荷では、耐久消費財の上昇寄与が最も大きく、次いで資本財、生産財が上昇、建設財、非耐久消費財が低下となりました。
供給制約の緩和により、国内においては自動車産業を中心に生産が回復に転じたため、生産財の国内出荷は上昇したものと考えられます。他方で、輸出向け出荷については、自動車の完成車の輸出向け出荷が好調だったものと思われます。


輸出仕向け先別の動向
11月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、全ての地域が上昇しました。特に欧州向け、ASEAN向け等は大きく上昇となりました。

欧州向けは、10月の大幅上昇に引き続き、2か月連続で2桁の大幅上昇となりました。
ASEAN向けは2020年5月以降、上昇低下を繰り返しながら回復傾向にあり、2か月ぶりの上昇となっています。
全般的に輸出は回復傾向となっており、11月は主要仕向地以外の回復力が強くなっているので、幅広い地域で輸出を伸ばしている様子がうかがえます。


輸入品、総供給の動向
一方、輸入の動向をみると、11月は、季節調整済指数で102.1、前月比4.7%と3か月ぶりの上昇となりました。
業種別の動向をみると、13業種中、12業種が前月比上昇、1業種が低下となり、鉱業、輸送機械工業等が上昇に寄与し、電気・情報通信機械工業が低下していました。
国産は前月比7.4%と2か月連続の上昇となり、鉱工業総供給は、前月比6.5%と2か月連続の上昇となりました。

2021年11月の出荷は、輸出向け出荷、国内向け出荷ともプラスとなり、2か月連続の上昇となりました。
11月は、自動車産業における供給制約による減産が輸出向け出荷、国内向け出荷の双方に大きな影響を与えた9月の影響が10月以上に緩和され、大きく上昇した結果となりました。
先行きについては、東南アジアでの感染症拡大に伴い発生している部品供給不足が解消されつつあることや、内外経済の回復に伴い、出荷も中期的には回復が続くことが予想されるため、輸出向け出荷、国内向け出荷がともに上向くことも期待されます。ただし、足下では、新型コロナウイルス感染症の新変異株の発生や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響にも十分注意する必要があります。11月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202111.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html