2021年12月は、国内向け出荷は前月比で低下し、輸出向け出荷は横ばいとなった。国内向け出荷では非耐久消費財、生産財等が低下に寄与し、輸出向け出荷では耐久消費財等が上昇に、生産財等が低下に寄与した。

    国内向け出荷は3か月ぶりの低下、輸出向け出荷は前月比横ばい

    2021年12月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で95.2、前月比マイナス0.1%と3か月ぶりの低下となりました。内需(国内向け出荷)は前月比マイナス0.4%と3か月ぶりの低下、外需(輸出向け出荷)は前月比0.0%の横ばいとなりました。

    2021年11月の出荷は、現行基準(2015年基準)で最大の前月比伸び率(7.4%)を記録しましたが、その翌月の12月の指数水準は、ほぼ11月並みに留まり、10月以降から続く回復傾向は維持しています。

    出荷水準をみると、2021年12月の指数値は、国内向けが92.7、輸出向けが101.9となりました。感染症が拡大する直前の2020年1月は、国内向け、輸出向けともに指数値は97.1でしたが、それらと比較すると、感染症拡大以降の回復状況は、輸出向けの方が進んでいます。

    また、鉱工業出荷は、2021年に入り、半導体不足に加えて、アジアでの感染症拡大に伴う部品供給不足などの影響により、2021年9月をボトムに、低下傾向となっていましたが、10月、11月は、これらの影響緩和などにより記録的な上昇幅に転じ、その反動で、12月は僅かに低下しました。

    図表01

    業種別の動き

    12月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、9業種で前月比低下となりました。汎用・業務用機械工業が前月比マイナス10.2%と大きく低下し、なかでもボイラ・原動機、汎用機械器具部品等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは金属製品工業でした。なかでも缶類、粉末冶金製品等が低下していました。

    なお、逆向きの上昇に最も寄与した業種は輸送機械工業となっており、なかでも、乗用車、車体・自動車部品の上昇寄与が大きくなっています。

    図表02

    12月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、6業種で前月比上昇、6業種で低下となりました。上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業となり、なかでも乗用車、トラック等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは汎用・業務用機械工業で、なかでも汎用機械器具部品、ポンプ・圧縮機器等が上昇していました。低下寄与が大きかったのは生産用機械工業となり、なかでも半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、建設・鉱山機械等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは、化学工業(除.医薬品)で、なかでも環式中間物、プラスチック等が低下していました。

    図表03

    需要先用途別の動き

    12月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。

    国内向け出荷で低下寄与が大きかった財別分類は、非耐久消費財で、次いで生産財、資本財と続き、耐久消費財が上昇となりました。

    輸出向け出荷では、耐久消費財の上昇寄与が最も大きく、次いで建設財が上昇、生産財、資本財等が低下となりました。

    国内出荷、輸出とも、引き続き自動車産業を中心に出荷が好調なため、耐久消費財が上昇したものと考えられます。

    図表04
    図表05

    輸出仕向け先別の動向

    12月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、11月の各地域大幅上昇の反動で、米国向けを除く、全ての地域が低下しました。そのような中で、米国向けは主力の自動車産業が引き続き好調で3か月連続の上昇となりました。

    図表06

    欧州向けは、10月、11月と、2か月連続で2桁の大幅上昇となった後で、12月は反動減、ASEAN向けは2020年5月以降、上昇低下を繰り返しながら回復傾向にあり、12月は2か月ぶりの低下となっています。

    全般的に輸出をみると、12月は11月の反動減があるものの、回復傾向にあると思われます。

    図表07
    図表08

    輸入品、総供給の動向

    一方、輸入の動向をみると、12月は、季節調整済指数で99.3、前月比マイナス2.7%と2か月ぶりの低下となりました。

    業種別の動向をみると、13業種中、7業種が前月比低下、6業種が上昇となり、化学工業(除.医薬品)、輸送機械工業等が低下に寄与していました。

    国産は前月比マイナス0.3%と3か月ぶりの低下となり、鉱工業総供給は、前月比マイナス0.9%と3か月ぶりの低下となりました。

    図表09

    2021年12月の出荷は、輸出向け出荷は横ばい、国内向け出荷はマイナスとなり、3か月ぶりの低下となりました。

    12月は、自動車産業における供給制約による減産が輸出向け出荷、国内向け出荷の双方に大きな影響を与えた9月の影響が10月、11月に引き続き緩和され、大きく上昇した結果となりましたが、その他の産業は、11月の大幅上昇の反動で一服感がある結果となりました。

    先行きについては、東南アジアでの感染症拡大に伴い発生している部品供給不足が解消されつつあることや、内外経済の回復に伴い、出荷も中期的には回復が続くことが予想されるため、輸出向け出荷、国内向け出荷がともに上向くことも期待されます。ただし、足下では、新型コロナウイルス感染症の新変異株の発生や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響にも十分注意する必要があります。1月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。

    結果概要のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
    参考図表集
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202112.html
    鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html

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