2022年1月は、国内向け出荷、輸出向け出荷ともに前月比で低下した。国内向け出荷では耐久消費財、生産財等が低下に寄与し、輸出向け出荷では資本財、耐久消費財等が低下に寄与した。

    国内向け出荷は2か月連続の低下、輸出向け出荷は3か月ぶりの低下

    2022年1月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で93.7、前月比マイナス1.8%と4か月ぶりの低下となりました。内訳を見ると、内需(国内向け出荷)は前月比マイナス1.8%と2か月連続の低下、外需(輸出向け出荷)は前月比マイナス2.5%と3か月ぶりの低下となりました。

    足下までの鉱工業出荷は、半導体不足やアジアでの新型コロナウイルス感染症拡大に伴う部材供給不足などの影響から、9月まで低下基調でしたが、10月以降、部材供給不足の影響緩和などにより、3か月連続の上昇と回復してきました。しかし、2022年1月はこれまでの上昇に対する反動に加えて、新型コロナウイルス感染症新変異株の急拡大やそれに伴う部材供給不足などの影響を受けて、低下しました。

    出荷水準をみると、2022年1月の指数値は、国内向けが91.3、輸出向けが99.4となりました。感染症が拡大する直前の2020年1月の指数値は、国内向け、輸出向けともに97.1でしたが、それらと比較すると、輸出向けについては、感染症拡大以前の状況まで回復が進んでいると考えられます。

    図表01

    業種別の動き

    1月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、5業種で前月比低下となりました。輸送機械工業が前月比マイナス23.6%と大きく低下し、なかでも乗用車、車体・自動車部品等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのはプラスチック製品工業でした。なかでも自動車部品向け等の工業用プラスチック製品が低下していました。

    図表02

    1月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、7業種で前月比低下となりました。低下寄与が大きかったのは汎用・業務用機械工業となり、なかでもボイラ・原動機、分析機器・試験機等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは化学工業(除.医薬品)で、なかでもプラスチック、その他の有機化学工業製品等が低下していました。

    2月28日公表の鉱工業指数(速報)においては、1月の鉱工業出荷は、自動車工業の大幅低下に起因して、出荷全体も低下したことが明らかとなっていますが、自動車工業を含めた輸送機械工業の出荷低下は、国内向けに強く表われています。

    図表03

    需要先用途別の動き

    1月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。

    国内向け出荷で低下寄与が大きかった財別分類は、耐久消費財で、次いで生産財、非耐久消費財と続き、資本財、建設財が上昇となりました。

    輸出向け出荷では、資本財の低下寄与が最も大きく、次いで耐久消費財、生産財が低下、非耐久消費財のみが上昇となりました。

    図表04
    図表05

    輸出仕向け先別の動向

    1月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、中国向けは上昇したものの、他の地域は全て低下となりました。

    図表06

    12月では唯一の上昇であった米国向けは、ウェイトの大きい輸送機械工業の方向が、プラスであった輸出合計と異なっており、米国向けの輸送機械工業の不振等により低下しました。欧州向けも、10月、11月と、2か月連続で2桁の大幅上昇となった後で、12月に引き続き低下となり、ASEAN向けは2020年5月以降、上昇低下を繰り返しながら回復傾向にありましたが、1月は2か月連続の低下となっています。

    全般的に輸出をみると、足下では2021年10月、11月の大幅上昇の反動減があるものの、概ね回復傾向にあると思われます。

    図表07
    図表08

    輸入品、総供給の動向

    一方、輸入の動向をみると、1月は、季節調整済指数で108.7、前月比9.5%と2か月ぶりの上昇となりました。

    業種別の動向をみると、13業種中、9業種が前月比上昇、4業種が低下となり、電気・情報通信機械工業、輸送機械工業等が上昇に寄与しています。

    国産は前月比マイナス2.0%と2か月連続の低下となり、鉱工業総供給は、前月比1.2%と2か月ぶりの上昇となりました。

    図表09

    2022年1月の出荷は、国内向け出荷、輸出向け出荷ともにマイナスとなり、4か月ぶりの低下となりました。

    これは、自動車産業における供給制約による減産の影響が10月から12月まで緩和され、輸出向け・国内向け出荷ともに上昇基調でしたが、1月は、国内における感染症の急拡大の影響で、再び自動車産業に影響が出たことから、全体としては低下となったと思われます。

    先行きについては、東南アジアでの感染症拡大に伴い発生している部品供給不足が解消されつつあることや、内外経済の回復に伴い、出荷も中期的には回復が続くことが予想されるため、輸出向け出荷、国内向け出荷がともに上向くことも期待されます。ただし、足下では、引き続き新型コロナウイルス感染症の新変異株の影響や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響、更にはウクライナ情勢にも十分注意する必要があります。2月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。

    結果概要のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
    参考図表集
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202201.html
    鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html

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