2月の鉱工業生産は、多くの業種で低下したものの、自動車工業で大幅に上昇したことなどを受けて、全体として前月比0.1%と3か月ぶりの上昇。基調判断は、「持ち直しの動きがみられる」に据え置き。

    2月生産は3か月ぶりの前月比上昇

    2022年2月の鉱工業生産は、季節調整済指数95.8、前月比0.1%と、3か月ぶりの上昇となりました。

    これまでの生産の動向については、2021年以降、半導体不足やアジアでの新型コロナウイルス感染症拡大に伴う部材供給不足などの影響から、9月まで低下基調での推移となりました。

    その後、部材供給不足の影響の緩和などにより、10月、11月と2か月連続で上昇しましたが、再び部材供給不足や新型コロナウイルス感染症急拡大などの影響を受けて、1月まで2か月連続で低下しました。

    2022年2月は、新型コロナウイルス感染症急拡大や部材供給不足などの影響が緩和したことなどを受けて、3か月ぶりに上昇しました。

    図表01

    5業種が前月比上昇、10業種が前月比低下

    2月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、5業種が前月比上昇、10業種が前月比低下という結果でした。

    2月は、新型コロナウイルス感染症急拡大や部材供給不足などの影響が緩和したことなどを受けて、自動車工業が大幅に上昇したことなどから、全体として上昇しました。

    図表02
    図表03

    主な上昇寄与業種についてみると、上昇寄与の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や小型乗用車等が主な上昇要因となっています。普通乗用車や小型乗用車等については、新型コロナウイルス感染症急拡大や部材供給不足などの影響が緩和したことなどを受けて、上昇しました。

    出荷は2か月連続の低下

    2月の鉱工業出荷は、季節調整済指数92.7、前月比マイナス1.3%と、2か月連続の低下となりました。

    図表04

    業種別にみると、全体15業種のうち、10業種が低下、4業種が上昇、1業種が横ばいとなりました。

    2月は、自動車工業などが上昇したものの、石油・石炭製品工業など多くの業種で低下したことから、全体として低下しました。

    主な低下寄与業種についてみると、低下寄与の最も大きかった石油・石炭製品工業は、軽油やガソリン等が主な低下要因となっています。前月からの反動減に加えて、設備の定期修理などの理由により低下したものと考えられます。

    財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、資本財(除.輸送機械)が前月比6.5%の低下、非耐久消費財が同3.2%の低下、建設財が同1.2%の低下であった一方で、生産財が同0.2%の上昇、耐久消費財が同1.3%の上昇となりました。資本財(除.輸送機械)は、金型やフラットパネル・ディスプレイ製造装置など幅広い分野での低下を受けて、4か月ぶりに低下しました。

    図表05
    図表06
    図表07

    在庫は2か月ぶりの上昇

    2月の鉱工業在庫は、季節調整済指数101.3、前月比1.9%と、2か月ぶりの上昇となりました。

    業種別にみると、15業種のうち、6業種が上昇、8業種が低下、1業種が横ばいとなりました。

    上昇寄与業種の中では、特に、自動車工業の上昇寄与が大きくなっています。自動車工業では、生産が上昇するとともに、出荷の上昇幅が相対的に小さかったことなどから、在庫が上昇したと思われます。

    図表08
    図表09

    在庫率は上昇

    2月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数118.8、前月比3.0%と、5か月ぶりの上昇となりました。

    業種別にみると、15業種のうち、8業種が上昇、7業種が低下となりました。

    図表10

    在庫循環図をみると、2020年第4四半期と2021年第1四半期は、「意図せざる在庫減局面」にあり、2021年第2四半期には、「在庫積み増し局面」に達し、第3四半期も継続しましたが、第4四半期では、「在庫積み上がり局面」に達しており、2022年第1四半期(速)も同局面に位置しております。

    しかしながら、部材供給不足などによる生産減少の影響が含まれていることなどから、今後、もうしばらくその動向を注視していくことが必要です。

    図表11

    2月の生産の基調判断は、「持ち直しの動きがみられる」に据え置き

    2月の鉱工業生産は、前月比0.1%の上昇となりました。生産は、2021年10月と11月に、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて、2か月連続で上昇しましたが、12月と1月に、部材供給不足や新型コロナウイルス感染症急拡大などの影響を受けて、2か月連続で低下しました。そうした中、2月は、新型コロナウイルス感染症急拡大や部材供給不足の影響が緩和したことなどを受けて、3か月ぶりに上昇しました。

    また、先行きに関しては、企業の生産計画では、3月と4月はともに上昇となっており、3月の補正値は前月比1.1%の上昇となり、ならしてみると持ち直しの動きにあると考えています。

    こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の2月の基調判断については、「持ち直しの動きがみられる」に据え置きます。

    なお、今後は、引き続き、変異タイプの新型コロナウイルス感染症の拡大による内外経済への影響や、部材供給不足の影響、ウクライナ情勢などについて、注視してまいります。

    結果概要のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
    参考図表集
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-202202s.html
    マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

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