国内向け出荷は3か月連続の低下、輸出向け出荷は3か月ぶりの上昇
2022年2月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で92.7、前月比マイナス1.3%と2か月連続の低下となりました。出荷全体では、石油・石炭製品工業、生産用機械工業等の低下が大きく寄与しました。内訳を見ると、内需(国内向け出荷)は前月比マイナス1.5%と3か月連続の低下、外需(輸出向け出荷)は同3.2%と3か月ぶりの上昇となりました。
足下までの鉱工業出荷は、半導体不足やアジアでの新型コロナウイルス感染症拡大に伴う部材供給不足などの影響から、9月まで低下基調でしたが、10月以降、部材供給不足の影響緩和などにより、3か月連続の上昇と回復してきました。しかし、2022年1月以降はこれまでの上昇に対する反動に加えて、新型コロナウイルス感染症新変異株の急拡大やそれに伴う部材供給不足などの影響を受けて、低下に転じています。
出荷水準をみると、2022年2月の指数値は、国内向けが90.1、輸出向けが102.6となりました。感染症が拡大する直前の2020年1月の指数値は、国内向け、輸出向けともに97.1でしたが、それらと比較すると、輸出向けについては、感染症拡大以前の状況まで回復が進んでいると考えられますが、国内向けは弱い動きが続いております。

業種別の動き
2月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、9業種で前月比低下となりました。生産用機械工業が前月比マイナス12.0%と大きく低下し、なかでもその他の生産用機械、金属加工機械等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは化学工業(除.医薬品)でした。なかでもプラスチック、洗剤・界面活性剤等が低下していました。
一方、1月には大幅に低下した輸送機械工業は、前月の反動もあり、前月比10.0%と、大きく上昇しています。

2月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、8業種で前月比上昇となりました。上昇寄与が大きかったのは汎用・業務用機械工業となり、なかでも汎用機械器具部品、ポンプ・圧縮機器等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは化学工業(除.医薬品)で、なかでもプラスチック、その他の有機化学工業製品等が上昇していました。
なお、国内向け出荷が大幅に上昇した輸送機械工業は、輸出向け出荷については前月比マイナス8.6%と低下し、低下寄与としては最も大きくなっています。

需要先用途別の動き
2月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。
国内向け出荷で低下寄与が大きかった財別分類は、資本財で、次いで生産財、非耐久消費財と続き、耐久消費財が上昇となりました。
輸出向け出荷では、生産財の上昇寄与が最も大きく、次いで建設財が上昇となりました。


輸出仕向け先別の動向
2月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、欧米向けは低下したものの、他の地域は全て上昇となりました。

1月では唯一の上昇であった中国向けは、化学工業(除.医薬品)等の大幅上昇により大きく上昇しています。ASEAN向けは2020年5月以降、上昇低下を繰り返しながら回復傾向にありましたが、2月は3か月ぶりの上昇となっています。
一方、米国、欧州向けは、ともに輸送機械工業の不振等によりマイナスとなり、引き続き低下となりました。
全般的に輸出をみると、概ね回復傾向にあると思われます。


輸入品、総供給の動向
一方、輸入の動向をみると、2月は、季節調整済指数で110.7、前月比1.8%と2か月連続の上昇となりました。
業種別の動向をみると、13業種中、3業種が前月比上昇、10業種が低下となり、鉱業、汎用・業務用機械工業等が上昇に寄与しています。
国産は前月比マイナス1.6%と3か月連続の低下となり、鉱工業総供給は、前月比マイナス0.7%と2か月ぶりの低下となりました。

2022年2月の出荷は、輸出向け出荷が3か月ぶりにプラスとなったものの、国内向け出荷がマイナスとなり、2か月連続の低下となりました。
これまでは、自動車産業における供給制約による減産の影響があり、輸送機械工業に牽引されて低下、その反動による上昇を繰り返してきましたが、2月は、国内における感染症の急拡大の影響で、石油・石炭製品工業等における需要減の影響が国内外ともに出たことから、全体としては低下となったと思われます。
先行きについては、東南アジアでの感染症拡大に伴い発生している部品供給不足が解消されつつあることや、内外経済の回復に伴い、出荷も中期的には回復が続くことが予想されるため、輸出向け出荷、国内向け出荷がともに上向くことも期待されます。ただし、足下では、まん延防止等重点措置の適用全面解除以降、再び感染拡大の兆候も見られ、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響、更にはウクライナ情勢にも十分注意する必要があります。3月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202202.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html