- 3月生産は2か月連続の前月比上昇
- 8業種が前月比上昇、7業種が前月比低下
- 3か月ぶりの上昇
- 在庫は2か月ぶりの低下
- 在庫率は3か月ぶりの低下
- 3月の生産の基調判断は、「持ち直しの動きがみられる」に据え置き
3月生産は2か月連続の前月比上昇
2022年3月の鉱工業生産は、季節調整済指数96.5、前月比0.3%と、2か月連続の上昇となりました。
これまでの生産の動向については、2021年以降、半導体不足やアジアでの新型コロナウイルス感染症拡大に伴う部材供給不足などの影響から、9月まで低下基調での推移となりました。
その後、部材供給不足等の影響の緩和などにより、10月から12月にかけて3か月連続で上昇しましたが、再び部材供給不足や新型コロナウイルス感染症急拡大などの影響を受けて、1月は低下しました。
2月は、部材供給不足等の影響が緩和したことなどを受けて上昇に転じ、3月は、世界的に新型コロナウイルス感染症拡大の影響が緩和したことなどを受けて、半導体需要で好調な半導体製造装置を始め、需要が増加したことなどから、2か月連続で上昇しました。

8業種が前月比上昇、7業種が前月比低下
3月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、8業種が前月比上昇、7業種が前月比低下という結果でした。
3月は、福島県沖地震等の影響を受けて、自動車工業などが低下したものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が緩和したことなどから、生産用機械工業などが需要の増加等により、化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)が新製品等の生産拡大により上昇したため、全体として上昇しました。


主な上昇寄与業種についてみると、上昇寄与の最も大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置や繊維機械、ショベル系掘削機械等が主な上昇要因となっています。半導体製造装置は、半導体不足の影響を受けて、設備投資需要が引き続き堅調であることなどから、上昇しました。また、繊維機械やショベル系掘削機械は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和したことなどを受けて、需要が増加したことなどから、上昇したものと考えられます。
また、次に上昇寄与度の大きかった化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)は、合成洗剤や仕上用化粧品等が主な上昇要因となっています。新製品などの生産増加を受けて、上昇したものと考えられます。
出荷は3か月ぶりの上昇
3月の鉱工業出荷は、季節調整済指数93.2、前月比0.5%と、3か月ぶりの上昇となりました。

業種別にみると、全体15業種のうち、10業種が上昇、5業種が低下となりました。
3月は、自動車工業などが低下したものの、生産用機械工業や輸送機械工業(除.自動車工業)などで上昇したことから、全体として上昇しました。
主な上昇寄与業種についてみると、上昇寄与の最も大きかった生産用機械工業は、ショベル系掘削機械や繊維機械、半導体製造装置等が主な上昇要因となっています。これらは、生産と同様の理由により上昇したものと考えられます。
また、次に上昇寄与度の大きかった輸送機械工業(除.自動車工業)は、鋼船、航空機用発動機部品、航空機用機体部品が主な上昇要因となっています。航空機用発動部品や航空機用機体部品については、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和したことなどを受けて、今後の航空需要の回復期待が高まり、上昇したものと考えられます。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、非耐久消費財が前月比2.0%の上昇、資本財(除.輸送機械)が同1.4%の上昇、建設財が同2.2%の上昇、生産財が同0.1%の上昇となり、耐久消費財を除き上昇しました。



在庫は2か月ぶりの低下
3月の鉱工業在庫は、季節調整済指数100.7、前月比マイナス0.6%と、2か月ぶりの低下となりました。
業種別にみると、15業種のうち、7業種が低下、8業種が上昇となりました。
低下寄与業種の中では、特に、石油・石炭製品工業の低下寄与が大きくなっています。石油・石炭製品工業では、生産が低下したことなどから、在庫が低下したものと思われます。


在庫率は3か月ぶりの低下
3月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数118.4、前月比マイナス0.3%と、3か月ぶりの低下となりました。
業種別にみると、15業種のうち、6業種が低下、9業種が上昇となりました。

在庫循環図をみると、2020年第4四半期と2021年第1四半期は、「意図せざる在庫減局面」にあり、2021年第2四半期には、「在庫積み増し局面」に達し、第3四半期も継続しましたが、第4四半期では、「在庫積み上がり局面」に達しており、2022年第1四半期(速)も同局面に位置しております。
しかしながら、部材供給不足などによる生産減少の影響が含まれていることなどから、今後、もうしばらくその動向を注視していくことが必要です。

3月の生産の基調判断は、「持ち直しの動きがみられる」に据え置き
3月の鉱工業生産は、前月比0.3%の上昇となりました。
生産は、2022年1月に、部材供給不足や新型コロナウイルス感染症急拡大などの影響を受けて低下しましたが、2月は、部材供給不足等の影響が緩和したことなどを受けて上昇に転じました。こうした中、3月は、世界的に新型コロナウイルス感染症拡大の影響が緩和したことなどを受けて、半導体需要で好調な半導体製造装置を始め、需要が増加したことなどから、2か月連続で上昇しました。
また、先行きに関しては、企業の生産計画では、4月は上昇、5月は低下となっているもののほとんどの業種で上昇となっており、4月の補正値は前月比0.8%の上昇で3か月連続での上昇を見込んでいることから、ならしてみると持ち直しの動きにあると考えています。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の3月の基調判断については、「持ち直しの動きがみられる」に据え置きます。
なお、今後は、引き続き、変異タイプの新型コロナウイルス感染症の拡大による内外経済への影響や、部材供給不足の影響、物価上昇の影響、ウクライナ情勢などについて、注視してまいります。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-202203s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html