2022年3月の鉱工業出荷の前月比は、国内向け、輸出向けともに上昇となった。国内向け出荷では非耐久消費財、建設財等が上昇に寄与し、輸出向け出荷では生産財、資本財等が上昇となった。

    国内向け出荷は4か月ぶりの上昇、輸出向け出荷は2か月連続の上昇

    2022年3月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で93.2、前月比0.5%と3か月ぶりの上昇となりました。出荷全体では、生産用機械工業、輸送機械工業(除.自動車工業)等の上昇が大きく寄与しました。内訳を見ると、内需(国内向け出荷)は前月比0.2%と4か月ぶりの上昇、外需(輸出向け出荷)は同3.0%と2か月連続の上昇となりました。

    足下の鉱工業出荷は、新型コロナウイルス感染症新変異株の急拡大やそれに伴う部材供給不足などの影響を受けて、国内向けを中心に弱含みで推移していましたが、ようやく明るい兆しが見えてきています。

    出荷水準をみると、2022年3月の指数値は、国内向けが90.2、輸出向けが104.2となりました。感染症が拡大する直前の2020年1月の指数値は、国内向け、輸出向けともに97.1でしたが、それらと比較すると、輸出向けについては、感染症拡大以前の水準を超えていますが、国内向けについては、いまだ弱い回復の動きが続いています。

    図表01

    業種別の動き

    3月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、7業種で前月比上昇となりました。生産用機械工業が前月比3.5%と上昇し、なかでもその他の生産用機械、建設・鉱山機械等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは化学工業(除.医薬品)でした。なかでも化粧品、プラスチック等が上昇していました。

    一方、輸送機械工業は、前月比マイナス4.7%と、低下しており、低下方向への寄与が最も大きくなっています。

    図表02

    3月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、6業種で前月比上昇となりました。上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業となり、なかでも船舶・同機関、車体・自動車部品等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは電気・情報通信機械工業で、なかでも電池、その他の産業用電気機械等が上昇していました。

    なお、輸送機械工業については、2021年以降、国内向け出荷が低下傾向で推移しており、輸出と比べ、国内向け出荷は弱い動きとなっているようです。

    図表03

    需要先用途別の動き

    3月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。

    国内向け出荷で上昇寄与が大きかった財別分類は、非耐久消費財で、次いで建設財、資本財と続き、耐久消費財、生産財が低下となりました。

    輸出向け出荷では、生産財の上昇寄与が最も大きく、次いで資本財が上昇となりました。

    図表04
    図表05

    輸出仕向け先別の動向

    3月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、欧米向けはともに前月比10%を超える上昇をしたものの、中国、韓国等は低下となる等、地域差が大きい動きとなりました。

    図表06

    米国、欧州向けは、ともに2月の低下から一転して大きく上昇しましたが、中国、韓国向けのアジア地域では低下となっています。特に中国向では、オミクロン株の感染拡大が各地で発生し、3月に入り、深圳(シンセン)市、長春市等の経済・産業の中核である大都市に波及してロックダウンが適用されたことなどで、低下となっています。

    全般的に輸出をみると、概ね回復傾向にあると思われます。

    図表07
    図表08

    輸入品、総供給の動向

    一方、輸入の動向をみると、3月は、季節調整済指数で104.2、前月比マイナス2.7%と2か月連続の低下となりました。

    業種別の動向をみると、13業種中、5業種が前月比低下、8業種が上昇となり、鉱業、汎用・業務用機械工業等が低下に寄与しています。

    国産は前月比0.3%と4か月ぶりの上昇となり、鉱工業総供給は、前月比マイナス1.6%と2か月連続の低下となりました。

    図表09

    2022年3月の出荷は、輸出向け出荷が2か月連続でプラスとなったことに加え、国内向け出荷が4か月ぶりの上昇となったことにより3か月ぶりの上昇となりました。

    これまでは、自動車産業における供給制約による減産の影響があり、輸送機械工業に牽引されて低下、その反動による上昇を繰り返してきましたが、3月は、福島県沖地震の影響等で自動車関連産業が不調だったものの、船舶、航空機用部品等の自動車以外の輸送機械の輸出が好調だったことに加え、生産用機械が国内向け、輸出向けとも好調で、全体としては上昇となったと思われます。

    先行きについては、東南アジアでの感染症拡大に伴い発生している部品供給不足が解消されつつあることや、内外経済の回復に伴い、出荷も中期的には回復が続くことが予想されるため、輸出向け出荷、国内向け出荷がともに上向くことも期待されます。

    ただし、足下では、中国の主要都市でのロックダウンが続いていることや、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響、更にはウクライナ情勢にも十分注意する必要があります。4月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。

    結果概要のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
    参考図表集
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202203.html
    鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html

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