国内向け出荷は2か月連続の上昇、輸出向け出荷は3か月ぶりの低下
2022年4月の鉱工業出荷は、電気・情報通信機械工業等が上昇したものの、電子部品・デバイス工業等が低下したことから、季節調整済指数で93.3、前月比0.0%の横ばいとなりました。内訳を見ると、内需(国内向け出荷)は前月比1.1%と2か月連続の上昇、外需(輸出向け出荷)は同マイナス1.9%と3か月ぶりの低下となりました。
4月の鉱工業出荷は、国内向けは、部材供給不足や新型コロナウイルス感染症拡大等の影響が緩和するなど明るい兆しが見えてきていますが、輸出向けについては、海外需要の減少や中国でのロックダウン等の影響等の懸念材料もあり、全体としては横ばいとなりました。
出荷水準をみると、2022年4月の指数値は、国内向けが91.2、輸出向けが102.2となりました。感染症が拡大する直前の2020年1月の指数値は、国内向け、輸出向けともに97.1でしたが、それらと比較すると、輸出向けについては、感染症拡大以前の水準を超えていますが、国内向けについては、いまだ弱い回復の動きが続いています。

業種別の動き
4月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、8業種で前月比上昇となりました。汎用・業務用機械工業が前月比12.0%と上昇し、なかでもボイラ・原動機、分析機器・試験機等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは電気・情報通信機械工業でした。なかでも電池、開閉制御装置・機器等が上昇していました。

4月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、7業種で前月比低下となりました。低下寄与が大きかったのは電子部品・デバイス工業となり、なかでも集積回路、電子デバイスが低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは電気・情報通信機械工業で、なかでも電池、回転電気機械等が低下していました。

需要先用途別の動き
4月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。
国内向け出荷で上昇寄与が大きかった財別分類は、資本財で、次いで非耐久消費財、建設財と続き、耐久消費財、生産財が低下となりました。
輸出向け出荷では、生産財の低下寄与が最も大きく、次いで資本財、非耐久消費財が低下となりました。


輸出仕向け先別の動向
4月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、ASEAN、韓国向けは上昇したものの、他の主要地域向けは全て低下となりました。

中国向けでは、オミクロン株の感染拡大により、3月に「中国のシリコンバレー」とも呼ばれる深圳(シンセン)市等でロックダウンがありましたが、3月末から商業中心地で中国最大の経済都市の上海市でもロックダウンが行われたため、3月に引き続き4月も低下となっています。米国、欧州はともに3月は二桁の前月比上昇を示したものの、4月は低下となっています。
一方、ASEANは、輸送機械工業等の上昇により、前月比で二桁を超える上昇となっています。
全般的に輸出をみると、回復傾向にあった中で、中国の経済封鎖が5月中も行われているため、しばらく足踏み状態にあると思われます。

輸入品、総供給の動向
一方、輸入の動向をみると、4月は、季節調整済指数で108.0、前月比3.6%と3か月ぶりの上昇となりました。
業種別の動向をみると、13業種中、6業種が前月比上昇、7業種が低下となり、鉱業、電子部品・デバイス工業等が上昇に寄与しています。
国産は前月比0.9%と2か月連続の上昇となり、鉱工業総供給は、前月比2.5%と3か月ぶりの上昇となりました。

2022年4月の鉱工業出荷は、これまで鉱工業出荷全体を牽引していた輸出向け出荷が3か月ぶりに低下したことに加え、国内向け出荷もウエイトの大きな輸送機械工業の伸びが小さかったことから、前月比0.0%の横ばいにとどまっています。
先行きについては、ASEANでの感染症拡大に伴い発生していた部品供給不足が解消されつつあることや、国内経済の回復に伴い、出荷も中期的には回復が続くことが期待されますが、足下では、中国の主要都市でのロックダウンが続いていることや、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響、更にはウクライナ情勢にも十分注意する必要があります。5月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202204.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html