2022年5月の鉱工業出荷は、国内向け、輸出向けともに前月比で低下した。業種別では国内向け、輸出向けともに輸送機械工業が低下に寄与し、財別では国内向けは生産財、資本財等が、輸出向けは耐久消費財、生産財等が低下に寄与した。

    国内向け出荷は3か月ぶりの低下、輸出向け出荷は2か月連続の低下

    2022年5月の鉱工業出荷は、季節調整済指数89.0、前月比マイナス4.3%と、2か月連続の低下となりました。中国でのロックダウン等の影響を受けて、自動車工業や電気・情報通信機械工業、汎用・業務用機械工業など、多くの業種が低下したことから、全体として低下しました。内訳を見ると、内需(国内向け出荷)は前月比マイナス4.8%と3か月ぶりの低下、外需(輸出向け出荷)は同マイナス3.1%と2か月連続の低下となりました。

    出荷水準をみると、2022年5月の指数値は、国内向けが86.5、輸出向けが99.0となりました。感染症が拡大する直前の2020年1月の指数値は、国内向け、輸出向けともに97.1でしたが、それらと比較すると、輸出向けについては、感染症拡大以前の水準を超えていますが、国内向けについては、いまだ弱い回復の動きが続いています。

    図表01

    業種別の動き

    5月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、10業種で前月比低下となりました。輸送機械工業が前月比マイナス14.3%と低下し、なかでも車体・自動車部品、乗用車等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは生産用機械工業でした。なかでも建設・鉱山機械、金属加工機械等が低下していました。

    図表02

    5月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、9業種で前月比低下となりました。低下寄与が大きかったのは国内向け出荷と同様に輸送機械工業となり、なかでも乗用車、トラック等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは電気・情報通信機械工業で、なかでも電池、回転電気機械等が低下していました。

    図表03

    需要先用途別の動き

    5月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。

    国内向け出荷で低下寄与が大きかった財別分類は、生産財で、次いで資本財、耐久消費財と続き、全ての財別分類で低下となりました。

    一方、輸出向け出荷では、耐久消費財、生産財の低下寄与が大きく、資本財、非耐久消費財は上昇となりました。

    図表04
    図表05

    輸出仕向け先別の動向

    5月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、米国向けを筆頭に全ての主要地域向けで低下となりました。

    図表06

    米国向けは、主力の輸送機械工業が大幅に低下したことにより2か月連続の前月比低下となりました。中国向けでは、オミクロン株の感染拡大により、3月末から5月末までの2か月間、商業中心地で中国最大の経済都市の上海市でロックダウンが行われたため、3か月連続の低下となっています。

    全般的に輸出をみると、中国の経済封鎖等によるサプライチェーン断絶で主要国向け輸出は足踏み状態にありましたが、ロックダウンの解除に伴い、徐々に国内生産は回復に向かい、輸出も回復すると思われます。

    図表07

    輸入品、総供給の動向

    一方、輸入の動向をみると、5月は、季節調整済指数で107.6、前月比マイナス0.4%と2か月ぶりの低下となりました。

    業種別の動向をみると、13業種中、6業種が前月比低下、7業種が上昇となり、輸送機械工業、鉱業等が低下に寄与しています。

    国産は前月比マイナス4.8%と3か月ぶりの低下となり、鉱工業総供給は、前月比マイナス4.4%と2か月ぶりの低下となりました。

    図表08

    2022年5月の鉱工業出荷は、これまで鉱工業出荷全体を牽引していた輸出向け出荷が、輸送機械工業等の不振により2か月連続で低下したことに加え、国内向け出荷も輸送機械工業が大幅に低下したことから、前月比マイナス4.3%の低下となりました。

    先行きについては、中国でのロックダウン解除が3月にあった「ハイテク産業」が集積している深圳(シンセン)市の正常化により、電子部品・デバイス工業が5月は上昇していることをみれば、5月末にロックダウンが解除された上海でも解除後には強い需要が幅広い産業で見込まれることや、ASEANでの感染症拡大に伴い発生していた部材供給不足が解消されつつあること、更には経済活動の正常化に伴い、出荷も中期的には回復が続くことが期待されます。

    しかし、足下では、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響、更にはウクライナ情勢にも十分注意する必要があります。6月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。

    結果概要のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
    参考図表集
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202205.html
    鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html

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