国内向け出荷、輸出向け出荷ともに2か月連続の上昇
2022年7月の鉱工業出荷は、季節調整済指数95.2、前月比1.6%と、2か月連続の上昇となりました。4月、5月と中国でのロックダウンの影響などを受けて、低下しましたが、6月はロックダウンの解除などを受けて上昇に転じ、7月は部材供給不足の影響が緩和したことなどから、輸送機械工業を中心に上昇し、全体として2か月連続で上昇しました。内訳を見ると、内需(国内向け出荷)は前月比1.2%と2か月連続の上昇、外需(輸出向け出荷)も同2.4%と2か月連続の上昇となりました。
出荷水準をみると、2022年7月の指数値は、国内向けが91.3、輸出向けが108.8となりました。感染症が拡大する直前の2020年1月の指数値は、国内向け、輸出向けともに97.1でしたが、それらと比較すると、輸出向けについては、感染症拡大以前の水準を超えていますが、国内向けについては、いまだ弱い回復の動きが続いています。

業種別の動き
7月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、2業種で前月比上昇となりました。輸送機械工業が前月比11.4%と大きく上昇し、なかでも乗用車、船舶・同機関等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは汎用・業務用機械工業でした。なかでもボイラ・原動機、運搬装置等が上昇していました。
一方、残りの10業種は前月比低下となり、国内向け出荷は一部の業種で牽引している状況にあります。

7月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、6業種で前月比上昇となりました。上昇寄与が大きかったのは生産用機械工業で、なかでも半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、その他の生産用機械等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業で、なかでも乗用車、航空機部品等が上昇していました。

需要先用途別の動き
7月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。
国内向け出荷で上昇寄与が大きかった財別分類は、資本財で、次いで耐久消費財が上昇しました。一方、生産財、建設財、非耐久消費財は低下しました。
輸出向け出荷でも同様に資本財、耐久消費財が上昇し、非耐久消費財、生産財、建設財が低下となりました。


輸出仕向け先別の動向
7月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、韓国を除く全ての主要地域向けで上昇となりました。

上昇寄与がもっとも大きいのは欧州向けで、輸送機械工業の大幅上昇等により、2か月連続で上昇しました。次いで中国向けも、ロックダウンの解除などを受けて、輸送機械工業が増加し、2か月連続の上昇となっています。
全般的に輸出をみると、サプライチェーン断絶に回復が見られたため、輸送機械工業がほとんどの主要地域向けに前月比2桁の上昇と、大きく輸出を牽引しています。

輸入品、総供給の動向
一方、輸入の動向をみると、7月は、季節調整済指数で105.7、前月比マイナス3.6%と2か月ぶりの低下となりました。
業種別の動向をみると、13業種中、7業種が前月比低下、6業種が上昇となり、鉱業、電子部品・デバイス工業等が低下に寄与しています。
国産は前月比1.2%と2か月連続の上昇となり、その結果、鉱工業総供給は、前月比0.2%と2か月連続の上昇となりました。

鉱工業出荷は、出荷全体を牽引していた輸出向けが、5月まで中国でのロックダウンの影響などで低下していましたが、6月以降はロックダウンの解除などを受けて上昇に転じ、7月も部材供給不足の影響が緩和したことなどから上昇しました。
NY連銀が米国内及び国際的なサプライチェーンのひっ迫度、混乱度を見るため作成している「グローバルサプライチェーン圧力指数(GSCPI)」をみても7月は3か月連続で改善しており、我が国の出荷の先行きについても、経済活動の正常化に伴い、回復が期待されます。
しかし、サプライチェーンの圧力は、いまだ歴史的に高い水準にとどまっており、再び新型コロナウイルス感染症の感染者拡大の影響や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響も十分注意する必要があります。8月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202207.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html