国内向け出荷は、3か月連続の前月比上昇
2022年8月の鉱工業出荷は、季節調整済指数96.6、前月比1.9%と、3か月連続の上昇となりました。4月、5月と中国でのロックダウンの影響などを受けて、低下しましたが、6月はロックダウンの解除などを受けて上昇に転じ、7月は部材供給不足の影響が緩和したことなどから、輸送機械工業を中心に上昇しました。8月も引き続き部材供給不足が緩和され、全体として3か月連続で上昇しました。内訳を見ると、内需(国内向け出荷)は前月比3.9%と3か月連続の上昇、外需(輸出向け出荷)は同マイナス5.4%と3か月ぶりの低下となりました。
出荷水準をみると、2022年8月の指数値は、国内向けが94.3、輸出向けが102.9となりました。感染症が拡大する直前の2020年1月の指数値は、国内向け、輸出向けともに97.1でしたが、それらと比較すると、輸出向けについては、感染症拡大以前の水準を超えていますが、国内向けについては、足下の動きは強いものの、いまだ出荷水準は低い状態が続いています。

業種別の動き
8月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、11業種で前月比上昇と、多くの業種で上昇となりました。生産用機械工業が前月比17.7%と大きく上昇し、なかでも半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、その他の生産用機械等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも航空機部品、乗用車等が上昇していました。
一方、化学工業(除.医薬品)は、唯一の前月比低下業種となりました。

8月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、9業種で前月比低下となりました。低下寄与が大きかったのは輸送機械工業で、なかでも船舶・同機関、乗用車等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは電子部品・デバイス工業で、なかでも集積回路、電子部品等が低下していました。

需要先用途別の動き
8月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。
国内向け出荷で上昇寄与が大きかった財別分類は、生産財で、次いで資本財が上昇しました。一方、耐久消費財は低下しました。
輸出向け出荷で低下寄与が大きかった財別分類は資本財で、次いで生産財が低下しました。一方、非耐久消費財、建設財が上昇となりました。


輸出仕向け先別の動向
8月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、米国を除く全ての主要地域向けで前月比低下となりました。

低下寄与がもっとも大きいのは欧州向けで、生産機械工業の大幅低下等により、7月の前月比2桁プラスから一転して前月比2桁のマイナスとなりました。次いで中国向けも電子部品・デバイスなどが不調で、低下となっています。
一方、米国向けは前月比2桁のプラスで、主要仕向先で唯一の上昇となりました。
全般的に輸出は回復傾向であるものの、6、7月の上昇後の一服感もあり、8月分は弱い動きとなっています。9月以降の輸出向け出荷の動向が注目されます。

輸入品、総供給の動向
一方、輸入の動向をみると、8月は、季節調整済指数で106.9、前月比1.1%と2か月ぶりの上昇となりました。
業種別の動向をみると、13業種中、9業種が前月比上昇、4業種が低下となり、鉱業、輸送機械工業等が上昇に寄与しています。
国産は前月比3.6%と3か月連続の上昇となり、その結果、鉱工業総供給は、前月比2.9%と2か月ぶりの上昇となりました。

鉱工業出荷は、これまで出荷全体を牽引していた輸出向けが、8月は一服感があるものの、国内向け出荷が部材供給不足の影響緩和が継続していることなどから回復傾向を示してきました。
しかし、再び新型コロナウイルス感染症の感染者拡大の影響や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響も十分注意する必要があります。9月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202208.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html