国内向け出荷は、4か月ぶりの前月比低下
2022年9月の鉱工業出荷は、季節調整済指数95.2、前月比マイナス2.4%と、4か月ぶりの低下となりました。これまで、2022年度初めは中国でのロックダウンの影響などを受けて、低下しましたが、6月にはロックダウンの解除などを受けて上昇に転じ、7月、8月も部材供給不足の影響が緩和したことなどから引き続き上昇し、3か月連続で上昇していました。しかし、9月はこれまでの上昇の反動などから内需が弱く、4か月ぶりに前月比で低下しました。内訳を見ると、内需(国内向け出荷)は前月比マイナス4.1%と4か月ぶりの低下、外需(輸出向け出荷)は同4.4%と2か月ぶりの上昇となりました。
出荷水準をみると、2022年9月の指数値は、国内向けが91.4、輸出向けが107.4となりました。感染症が拡大する直前の2020年1月の指数値は、国内向け、輸出向けともに97.1でしたが、それらと比較すると、輸出向けについては、感染症拡大以前の水準を超えていますが、国内向けについては、いまだ低い出荷水準が続いています。

業種別の動き
9月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、9業種で前月比低下となりました。輸送機械工業が前月比マイナス5.9%と低下し、なかでも乗用車、鉄道車両等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは石油・石炭製品工業でした。なかでも石油製品、石炭製品が低下していました。

9月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、7業種で前月比上昇となりました。上昇寄与が大きかったのは電子部品・デバイス工業で、なかでも集積回路、電子デバイス等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは生産用機械工業で、なかでも建設・鉱山機械、金属加工機械等が上昇していました。

需要先用途別の動き
9月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。
国内向け出荷で低下寄与が大きかった財別分類は、生産財で、次いで資本財が低下し、全ての財分類で低下となりました。
輸出向け出荷で上昇寄与が大きかった財別分類は資本財で、次いで生産財が上昇しました。一方、非耐久消費財、建設財が低下となりました。


輸出仕向け先別の動向
9月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、米国、韓国は前月比低下となりましたが、他の主要地域向けでは前月比上昇となりました。

上昇寄与がもっとも大きいのは中国向けで、電子部品・デバイス工業、生産用機械工業等の大幅上昇により、前月比上昇となりました。次いで欧州向けも鉄鋼・非鉄金属工業等などにより上昇となっています。
一方、米国向けは前月8月の大幅上昇の反動減もあり、前月比低下となりました。
全般的に輸出は回復傾向にあり、9月分は8月の低下から再び上昇となり、回復傾向を示しています。為替が大きく円安に動いており、輸出には好材料ではありますが、数量的増加には時間がかかるので、10月以降の輸出向け出荷の動向が注目されます。

輸入品、総供給の動向
一方、輸入の動向をみると、9月は、季節調整済指数で110.7、前月比3.6%と2か月連続の上昇となりました。
業種別の動向をみると、13業種中、2業種が前月比上昇、11業種が低下となり、電気・情報通信機械工業、窯業・土石製品工業が上昇に寄与しています。
国産は前月比マイナス4.1%と4か月ぶりの低下となり、その結果、鉱工業総供給は、前月比マイナス2.3%と2か月ぶりの低下となりました。

鉱工業出荷は、部材供給不足の影響緩和が継続していたことなどから回復傾向を示してきた国内向け出荷が、9月は前月の反動などから低下しました。しかし、これまで出荷全体を牽引していた輸出向けが、再び上昇傾向に転じており、輸出に条件の良い円安基調も続くと見込まれることから、回復傾向に向かうと考えられます。
ただ、再び新型コロナウイルス感染症の感染者拡大の影響や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響も十分注意する必要があります。10月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202209.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html