11月の鉱工業生産は、需要の減少等を受けて、汎用・業務用機械工業や生産用機械工業などが低下したことから、全体として前月比マイナス0.1%と、3か月連続の低下。基調判断は、「弱含み」に引き下げ。

    11月生産は3か月連続の前月比低下

    2022年11月の鉱工業生産は、季節調整済指数95.2、前月比マイナス0.1%と、3か月連続の低下となりました。

    これまでの生産の動向については、2022年4月と5月は、中国でのロックダウン等の影響を受けて低下しましたが、6月に、中国でのロックダウン等の解除などを受けて上昇に転じ、7月と8月は、部材供給不足の影響が緩和したことなどから、上昇していました。

    こうした中、9月と10月は、これまでの上昇の反動などから低下しており、11月は、国内・海外需要の減少等を受けて、汎用・業務用機械工業や生産用機械工業などが低下したことから、3か月連続で低下しました。

    図表01

    8業種が前月比低下、7業種が前月比上昇

    11月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、8業種が前月比低下、7業種が前月比上昇という結果でした。

    11月は、国内・海外需要の減少等を受けて、汎用・業務用機械工業や生産用機械工業などが低下したことから、全体として低下しました。

    図表02
    図表03

    低下寄与度の最も大きかった汎用・業務用機械工業は、コンベヤや運搬用クレーン等が主な低下要因となっています。これらについては、前月に一時的に多くの取引があった反動等を受けて、低下したものと考えられます。

    次に低下寄与度の大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置やフラットパネル・ディスプレイ製造装置等が主な低下要因となっています。半導体製造装置については、引き続き高い水準にあるものの、販売減少により、フラットパネル・ディスプレイ製造装置については、海外向けの減少等を受けて、低下したものと考えられます。

    出荷は3か月連続の低下

    11月の鉱工業出荷は、季節調整済指数93.0、前月比マイナス0.5%と、3か月連続の低下となりました。

    図表04

    業種別にみると、全体15業種のうち、9業種が低下、6業種が上昇となりました。

    11月は、汎用・業務用機械工業や生産用機械工業などが低下したことから、全体として低下しました。

    低下寄与度の最も大きかった汎用・業務用機械工業は、コンベヤや複写機等が主な低下要因となっています。コンベヤについては、生産と同様の理由により、複写機については、販売減少などにより、低下したものと考えられます。

    次に低下寄与度の大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置や装輪式トラクタ等が主な低下要因となっています。半導体製造装置については、生産と同様の理由により、装輪式トラクタについては、設備トラブルや前月に多くの取引があった反動等を受けて、低下したものと考えられます。

    財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、耐久消費財が前月比6.9%の上昇、非耐久消費財が同1.0%の上昇となる一方で、資本財(除.輸送機械)が同3.5%の低下、生産財が同0.4%の低下、建設財が同0.2%の低下となりました。

    図表05
    図表06
    図表07

    在庫は2か月ぶりの上昇

    11月の鉱工業在庫は、季節調整済指数103.6、前月比0.3%と、2か月ぶりの上昇となりました。

    業種別にみると、15業種のうち、8業種が上昇、7業種が低下となりました。

    上昇寄与度の最も大きかった石油・石炭製品工業は、ガソリンや灯油等が主な上昇要因となっています。ガソリンについては、輸出向けなどの積み増しにより、灯油については、冬期需要向けなどの積み増しにより、上昇したものと考えられます。

    図表08
    図表09

    在庫率は2か月ぶりの上昇

    11月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数123.0、前月比3.3%と、2か月ぶりの上昇となりました。

    業種別にみると、15業種のうち、11業種が上昇、4業種が低下となりました。

    図表10

    在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にありましたが、第4四半期には、「在庫積み上がり局面」に達しており、2022年第4四半期まで継続しています。これまでの部材供給不足などによる生産減少の影響等が含まれておりますが、概ね「在庫積み上がり局面」に位置しているものと考えられます。

    図表11

    11月の生産の基調判断は、「弱含み」に引き下げ

    11月の鉱工業生産は、前月比0.1%の低下となりました。

    生産は、2022年4月と5月は、中国でのロックダウン等の影響を受けて低下していましたが、6月に、中国でのロックダウン等の解除などを受けて上昇に転じ、7月と8月は部材供給不足の影響が緩和したことなどから、上昇していました。

    こうした中、9月と10月は、これまでの上昇の反動などから低下し、11月は、国内・海外需要の減少等を受けて、汎用・業務用機械工業や生産用機械工業などが低下したことから、3か月連続で低下しました。

    また、先行きに関しては、企業の生産計画では、12月は上昇、1月は低下を見込んでいますが、12月の補正値は前月比1.3%の低下を見込んでいます。

    このため、ならしてみると弱含みの状態にあると考えられます。

    こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の11月の基調判断については、「弱含み」に引き下げます。

    なお、今後は、引き続き、変異タイプの新型コロナウイルス感染症の拡大による内外経済への影響や、部材供給不足の影響、物価上昇の影響などについて、注視してまいります。

    結果概要のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
    参考図表集
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-202211s.html
    マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

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