経済解析室では、毎月初旬に、主要製品の生産計画を調べています。調査対象製品を製造する企業のうち、主要企業を対象に、その月と翌月の生産計画を調査しています。
今回は、1月初旬に調査した1月と2月の生産計画の状況と、1月初旬での企業の生産マインドについて解説をします。
1月の生産は横ばい、2月の生産は上昇の計画
1月初旬に実施した、1月と2月における企業の生産予測調査の結果です。
1月の生産計画では、前月比0.0%の横ばいを見込んでいます。
ただし、生産計画は、生産実績よりも上振れする傾向があります。そこで、1月の生産計画について、生産実績との間で生じるズレを統計的に補正すると、1月の生産実績の見通しは、前月比4.2%の低下見込みです。
なお、2月の生産計画については、1月の計画から4.1%の上昇見込みです。

1月と2月の2か月を通じた生産計画
1月と2月の2か月の生産計画による業種ごとの生産予測の伸び率を通してみると、以下の図のようになります。
1月の生産計画では、全体11業種のうち、9業種が前月比上昇、2業種が前月比低下、2月の生産計画では、7業種が前月比上昇、4業種が前月比低下の計画となっています。製造工業全体の生産は、1月に横ばい、2月に上昇する見込みであり、ならしてみれば、先行きの全体的な方向は、回復基調と考えられます。

1月の生産計画は、納期変更により産業用電気機械が生産計画を伸ばしていることなどから電気・情報通信機械工業等の生産が上昇を見込んでいるものの、部材供給不足の影響等により輸送機械工業等の生産が低下を見込んでいることから、全体としては横ばいの見込みです。
ただし、海外景気の下振れ等により生産計画が下方修正されるリスクもあり、先行きについては注視が必要です。

2月の生産計画については、部材供給不足の影響緩和等を見込んで輸送機械工業等の生産が上昇を見込んでおり、全体としては上昇する見通しです。
1月、2月の計画を通してみれば、製造工業全体は回復基調で推移すると考えられます。

1月の生産計画の強気と弱気
次に企業の生産マインドについてみていきます。
企業の生産マインドは、12月当初に調べた1月の生産計画が、1月当初に再度調べ直した計画と比べ、どの程度変動したか(予測修正率)をみることで確認することができます。
1月の生産計画における予測修正率はマイナス4.1%となっており、22か月連続で下方修正となっています。
生産計画が下方修正される状況が長期間続いている背景には、これまでの半導体不足や中国における経済活動の抑制等の様々な供給制約の影響が及んでいることが考えられます。
足下においても、部材供給不足等の懸念が続いていることから、引き続き、企業の生産マインドは弱気であると考えられます。

生産計画を上方修正した企業数の割合から、下方修正した企業数の割合を引いた数値をみることで、企業の生産マインドを推し量ることができます。
この数値の推移と、これまでの景気循環を重ねると、月々の上下動をならしたトレンドが、概ねマイナス5を下回ると景気後退局面入りの可能性が高いという傾向がみられます。
1月の生産計画では、この数値の単月の値はマイナス11.7、月々の上下動をならしたトレンドはマイナス10.5となっています。単月、トレンド両方の数値がマイナス5を下回っており、このことからも企業の生産マインドは弱気であると考えられます。

生産計画からみる今後の見通し
生産計画は、1月、2月を通してみれば、回復基調の継続が期待されるものの、予測修正率等からみる企業の生産マインドは弱気が続いています。引き続き、海外景気の下振れや供給制約等の影響について注視する必要があります。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-202212s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html