2022年12月の鉱工業出荷は、国内向け出荷は前月比で上昇したものの、輸出向け出荷は前月比で低下した。国内向け出荷では、耐久消費財、資本財が上昇に寄与し、輸出向け出荷では生産財、資本財等が低下に寄与した。

    国内向け出荷は、2か月連続の前月比上昇

    2022年12月の鉱工業出荷は、季節調整済指数92.7、前月比マイナス0.7%と、4か月連続の低下となりました。2022年度初めは中国でのロックダウンの影響などを受けて低下しましたが、ロックダウンの解除以降、6月からは部材供給不足の影響が緩和したこともあり、3か月連続で上昇していました。しかし、9月以降はこれまでの上昇の反動などから内需が弱く、12月は外需の落ち込みから僅かに前月を下回り、4か月連続の前月比低下となりました。

    内訳をみると、内需(国内向け出荷)は前月比0.1%と2か月連続の上昇、外需(輸出向け出荷)は同マイナス4.8%と2か月ぶりの低下となりました。

    出荷水準をみると、2022年12月の指数値は、国内向けが91.2、輸出向けが101.4となりました。感染症が拡大する直前の2020年1月の指数値は、国内向け、輸出向けともに97.1でしたが、それらと比較すると、輸出向けについては、感染症拡大以前の水準を超えていますが、国内向けについては、いまだ低い出荷水準が続いています。

    図表01

    業種別の動き

    12月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、4業種で前月比上昇となりました。輸送機械工業が前月比4.2%と上昇し、なかでも乗用車、船舶・同機関等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのはプラスチック製品工業でした。なかでも工業用プラスチック製品、プラスチック製日用雑貨・容器類等が上昇していました。

    図表02

    12月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、7業種で前月比低下となりました。低下寄与が大きかったのはプラスチック製品工業で、なかでも工業用プラスチック製品、発泡プラスチック製品等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは生産用機械工業で、なかでも建設・鉱山機械、金属加工機械等が低下していました。

    図表03

    需要先用途別の動き

    12月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。

    国内向け出荷で上昇寄与が大きかった財別分類は、耐久消費財で、次いで資本財が上昇となりました。

    輸出向け出荷で低下寄与が大きかった財別分類は生産財で、次いで資本財等が低下となりました。

    図表04
    図表05

    輸出仕向け先別の動向

    12月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、全ての主要地域向けは前月比低下となりました。

    図表06

    低下寄与がもっとも大きいのは中国向けで、輸送機械工業、化学工業(除.医薬品)等の大幅低下により、前月比低下となりました。次いで欧州向けが、輸送機械工業、プラスチック製品工業等により低下となっています。

    なお、米国向けは、輸送機械工業は上昇しているものの、生産用機械工業等の大幅低下により、4か月連続の低下となりました。

    図表07

    輸入品、総供給の動向

    一方、輸入の動向をみると、季節調整済指数で103.2、前月比マイナス4.0%と2か月連続の低下となりました。

    業種別の動向をみると、13業種中、9業種が前月比低下となり、電気・情報通信機械工業、鉱業等が低下に寄与しています。

    国産は前月比0.2%と2か月連続の上昇となり、その結果、鉱工業総供給は、前月比マイナス1.3%と2か月連続の低下となりました。

    図表08

    部材供給不足の影響緩和が継続していたことなどから、輸出向けがけん引し、回復傾向を示してきていた鉱工業出荷ですが、このところの世界的な金融引き締めの影響、中国経済の減速の動きもあり、12月の外需は低調な動きとなりました。

    中国では「ゼロコロナ政策」の終了で経済活動が活発化するものの、再び感染者拡大の影響や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響、物価上昇の影響や事実上の利上げに伴う為替の変動にも十分注意する必要があります。1月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。

    結果概要のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
    参考図表集
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202212.html
    鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html

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