国内向け出荷は、3か月ぶりの前月比低下
2023年1月の鉱工業出荷は、季節調整済指数89.7、前月比マイナス3.1%と、5か月連続の低下となりました。2022年度初めは中国でのロックダウンの影響などを受けて低下しましたが、ロックダウンの解除以降、6月からは部材供給不足の影響が緩和したこともあり、3か月連続で上昇していました。しかし、9月以降はこれまでの上昇の反動などから内需が弱く、12月、1月は外需も落ち込み、5か月連続の前月比低下となりました。
内訳をみると、内需(国内向け出荷)は前月比マイナス1.9%と3か月ぶりの低下、外需(輸出向け出荷)は同マイナス9.6%と2か月連続の低下となりました。
出荷水準をみると、2023年1月の指数値は、国内向けが89.4、輸出向けが91.7となりました。感染症が拡大する直前の2020年1月の指数値は、国内向け、輸出向けともに97.1でしたが、それらと比較すると、感染症拡大以前の水準を超えていた輸出向けについても再び低水準に戻ってしまい、国内向けについては、いまだ低い出荷水準が続いています。

業種別の動き
1月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、7業種で前月比低下となりました。輸送機械工業が前月比マイナス8.8%と低下し、なかでも乗用車、車体・自動車部品等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは生産用機械工業でした。なかでも建設・鉱山機械、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置等が低下していました。

1月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、10業種で前月比低下となりました。低下寄与が大きかったのは輸送機械工業で、なかでも乗用車、車体・自動車部品等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは生産用機械工業で、なかでも半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、建設・鉱山機械等が低下していました。

需要先用途別の動き
1月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。
国内向け出荷で低下寄与が大きかった財別分類は、耐久消費財で、次いで生産財等が低下となりました。
輸出向け出荷で低下寄与が大きかった財別分類は生産財で、次いで資本財等が低下となりました。


輸出仕向け先別の動向
1月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、全ての主要地域向けで前月比低下となりました。

低下寄与がもっとも大きいのは中国向けで、電子部品・デバイス工業、鉄鋼・非鉄金属工業等の大幅低下により、前月比低下となりました。次いで米国向けが、輸送機械工業等により低下、ASEAN向けも輸送機械工業等により低下となっています。

輸入品、総供給の動向
一方、輸入の動向をみると、季節調整済指数で106.5、前月比3.2%と3か月ぶりの上昇となりました。
業種別の動向をみると、13業種中、11業種が前月比上昇となり、電気・情報通信機械工業、鉱業等が上昇に寄与しています。
国産は前月比マイナス1.9%と3か月ぶりの低下となり、その結果、鉱工業総供給は、前月比0.9%と3か月ぶりの上昇となりました。

部材供給不足の影響緩和が継続していたことなどから、輸出向けがけん引し、回復傾向を示してきていた鉱工業出荷ですが、このところの世界的な金融引き締めの影響、中国経済の減速の動きに加え、再び半導体等の部材供給不足もあり、内外需とも低下となりました。
特に中国では「ゼロコロナ政策」の終了で期待された経済活動の活発化も、春節の大型休暇が今年は1月となったこともあり、低調な動きとなりました。
2月は春節等の反動増で上昇が期待できるものの、今後も車載向けの半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響、物価上昇の影響や為替の変動にも十分注意する必要があり、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202301.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html