2023年2月の鉱工業出荷は6か月ぶりの前月比上昇となり、国内向け出荷、輸出向け出荷ともに前月比で上昇した。財別に見ると国内向け出荷、輸出向け出荷ともに生産財、耐久消費財等が上昇に寄与した。

    国内向け出荷は、3か月ぶりの前月比上昇

    2023年2月の鉱工業出荷は、季節調整済指数92.4、前月比3.6%と、6か月ぶりの上昇となりました。2022年度初めは中国でのロックダウンの影響などで低下しましたが、ロックダウンの解除以降、6月からは3か月連続で上昇しました。9月以降は上昇の反動などもあり内需が弱く、12月、1月は外需も落ち込み、5か月連続の前月比低下となりました。しかし、2月は、自動車を中心に部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて上昇し、全体として8月以来の前月比上昇となりました。

    内訳をみると、内需(国内向け出荷)は前月比2.1%と3か月ぶりの上昇、外需(輸出向け出荷)も同5.7%と3か月ぶりの上昇となりました。

    出荷水準をみると、2023年2月の指数値は、国内向けが90.7、輸出向けが96.9となりました。感染症が拡大する直前の2020年1月の指数値は、国内向け、輸出向けともに97.1でしたが、それらと比較すると、国内向けについては、未だ低い出荷水準が続いています。輸出向けについては、回復から一旦低下に転じていましたが、再び復調してきています。

    図表01

    業種別の動き

    2月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、9業種で前月比上昇となりました。輸送機械工業が前月比6.2%と上昇し、なかでも車体・自動車部品、乗用車等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは生産用機械工業でした。なかでも半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、建設・鉱山機械等が上昇していました。

    図表02

    2月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、10業種で前月比上昇となりました。上昇寄与が大きかったのは化学工業(除.医薬品)で、なかでもプラスチック、化粧品等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業で、なかでも乗用車、航空機部品等が上昇していました。

    図表03

    需要先用途別の動き

    2月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。

    国内向け出荷で上昇寄与が大きかった財別分類は生産財で、次いで耐久消費財等が上昇となりました。

    輸出向け出荷でも上昇寄与が大きかった財別分類は生産財で、次いで耐久消費財等が上昇となりました。

    図表04
    図表05

    輸出仕向け先別の動向

    2月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、欧州向けは前月比低下となりましたが、他の主要地域向けでは前月比上昇となりました。

    図表06

    上昇寄与がもっとも大きいのは中国向けで、鉄鋼・非鉄金属工業、電気・情報通信機械工業等の寄与により、前月比上昇となりました。次いで米国向けが、輸送機械工業等により上昇、ASEAN向けも輸送機械工業等により上昇となっています。

    図表07

    輸入品、総供給の動向

    一方、輸入の動向をみると、季節調整済指数で102.7、前月比マイナス3.6%と2か月ぶりの低下となりました。

    業種別の動向をみると、13業種中、10業種が前月比低下となり、石油・石炭製品工業、電気・情報通信機械工業等が低下に寄与しています。

    国産は前月比2.4%と2か月ぶりの上昇となり、その結果、鉱工業総供給は、前月比1.1%と2か月連続の上昇となりました。

    図表08

    1月までは世界的な金融引き締めの影響、中国経済の減速の動きに加え、再び半導体等の部材供給不足もあり、内外需とも低下となっておりましたが、2月は部材供給不足の影響緩和がみられ、内外需とも再び回復傾向を示してきました。

    特に中国では春節の大型休暇が今年は1月となったこともあり、2月はその反動で部材の供給、中国向け輸出の両面で増加しました。

    今後も車載向けの半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響、物価上昇の影響や為替の変動にも十分注意する必要があり、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。

    結果概要のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
    参考図表集
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202302.html
    鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html

    お問合せ先

    問合せ先が表示されない場合はこちらのページからご確認ください