- 3月生産は2か月連続の前月比上昇
- 8業種が前月比上昇、7業種が同低下
- 出荷は2か月連続の上昇
- 在庫は2か月連続の上昇
- 在庫率は2か月ぶりの上昇
- 3月の生産の基調判断は、「緩やかな持ち直しの動き」に引き上げ
3月生産は2か月連続の前月比上昇
2023年3月の鉱工業生産は、季節調整済指数95.7、前月比0.8%と、2か月連続の上昇となりました。
これまでの生産の動向については、2022年11月と12月は、化学工業(除.無機・有機化学工業)や食料品・たばこ工業などが堅調であったことから上昇していましたが、1月は、自動車工業や生産用機械工業を始めとした多くの業種で低下したことなどから、全体として低下していました。
その後、2月は、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて、自動車工業を中心に上昇しました。
そうした中、3月は、引き続き部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて自動車工業が上昇し、国内・海外での受注増加などを受けて生産用機械工業が上昇したこと等から、全体として上昇しました。

8業種が前月比上昇、7業種が同低下
3月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、8業種が上昇、7業種が低下という結果でした。
3月は、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて自動車工業が上昇し、国内・海外での受注増加などを受けて生産用機械工業が上昇したこと等から、全体として上昇しました。


上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や駆動伝導・操縦装置部品等が主な上昇要因となっています。これらについては、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて、上昇したものと考えられます。
また、次に上昇寄与度の大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置やフラットパネル・ディスプレイ製造装置等が主な上昇要因となっています。半導体製造装置については、国内・海外からの受注増加などにより、フラットパネル・ディスプレイ製造装置については、海外からの受注増加などを受けて、上昇したものと考えられます。
出荷は2か月連続の上昇
3月の鉱工業出荷は、季節調整済指数93.1、前月比0.4%と、2か月連続の上昇となりました。

業種別にみると、全体15業種のうち、10業種が上昇、5業種が低下となりました。
3月は、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて、自動車工業や生産用機械工業を中心に上昇したことなどから、全体として上昇しました。
上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や駆動伝導・操縦装置部品等が主な上昇要因となっています。これらについては、生産と同様の理由により、上昇したものと考えられます。
次に上昇寄与度の大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置やフラットパネル・ディスプレイ製造装置等が主な上昇要因となっています。これらについては、生産と同様の理由により、上昇したものと考えられます。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、非耐久消費財が前月比マイナス0.7%、資本財(除.輸送機械)が同マイナス0.7%、生産財が同マイナス0.1%と低下する一方で、耐久消費財が同5.6%、建設財が同0.8%と上昇しました。



在庫は2か月連続の上昇
3月の鉱工業在庫は、季節調整済指数104.1、前月比0.6%と、2か月連続の上昇となりました。
業種別にみると、15業種のうち、8業種が上昇、6業種が低下、1業種が横ばいとなりました。
上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や普通トラック等が主な上昇要因となっています。


在庫率は2か月ぶりの上昇
3月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数128.8、前月比2.1%と、2か月ぶりの上昇となりました。
業種別にみると、15業種のうち、8業種が上昇、7業種が低下となりました。

在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にありましたが、第4四半期には、「在庫積み上がり局面」に達しており、2023年第1四半期(速)まで継続しています。これまでの部材供給不足などによる生産減少の影響等が含まれていますが、概ね「在庫積み上がり局面」に位置しているものと考えられます。

3月の生産の基調判断は、「緩やかな持ち直しの動き」に引き上げ
3月の鉱工業生産は、前月比0.8%の上昇となりました。
生産は、2022年11月と12月は、化学工業(除.無機・有機化学工業)や食料品・たばこ工業などが堅調であったことから上昇していましたが、1月は、自動車工業や生産用機械工業を始めとした多くの業種での低下などを受けて、全体として低下していました。
こうした中、2月は、部材供給不足の影響緩和などにより上昇に転じ、3月は、引き続き部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて、自動車工業や生産用機械工業などが上昇したことから、全体として上昇しました。
また、先行きに関しては、企業の生産計画では、4月は上昇、5月は低下を見込んでいますが、4月の補正値は前月比1.8%の上昇を見込んでおり、ならしてみると緩やかな持ち直しの動きであると考えられます。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の3月の基調判断については、「生産は緩やかな持ち直しの動き」に引き上げます。
なお、今後は、部材供給不足の影響、物価上昇の影響などについて、注視してまいります。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-202303s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html