国内向け出荷は、3か月ぶりの前月比低下
2023年4月の鉱工業出荷は、季節調整済指数93.0、前月比マイナス0.4%と、3か月ぶりの前月比低下となりました。2022年度初めは中国でのロックダウンの影響などで低下しましたが、ロックダウンの解除以降、6月からは3か月連続で上昇しました。9月以降は上昇の反動などもあり内需が弱く、12月、1月は外需も落ち込み、5か月連続の前月比低下となりました。しかし、2月以降、自動車を中心に部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて2か月連続の前月比上昇となりましたが、4月は生産用機械工業等が国内・海外からの受注減などを受けて低下したことなどから、前月比低下となりました。
内訳をみると、内需(国内向け出荷)は前月比マイナス1.1%と3か月ぶりの低下、外需(輸出向け出荷)は同2.9%と3か月連続の上昇となりました。
出荷水準をみると、2023年4月の指数値は、国内向けが91.2、輸出向けが100.3となりました。感染症が拡大する直前の2020年1月の指数値は、国内向け、輸出向けともに97.1でしたが、それらと比較すると、国内向けについては、未だ低い出荷水準が続いています。輸出向けについては、年初は回復から一旦低下に転じていましたが、再び感染症拡大直前を超える水準まで回復しました。

業種別の動き
4月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、5業種で前月比低下となりました。生産用機械工業が前月比マイナス8.5%と低下し、なかでも半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、農業用機械等が低下していました。次いで低下寄与が大きかったのは鉄鋼・非鉄金属工業でした。なかでも冷間仕上鋼材、非鉄金属精錬・精製品等が低下していました。

4月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、5業種で前月比上昇となりました。上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業で、なかでも車体・自動車部品、乗用車等が上昇していました。次いで上昇寄与が大きかったのは鉄鋼・非鉄金属工業で、なかでも非鉄金属精錬・精製品、電線・ケーブル等が上昇していました。

需要先用途別の動き
4月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。
国内向け出荷で低下寄与が大きかった財別分類は生産財で、次いで耐久消費財が低下となりました。
輸出向け出荷で上昇寄与が大きかった財別分類は資本財で、次いで耐久消費財等が上昇となりました。


輸出仕向け先別の動向
4月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、欧州、米国、ASEAN向けで前月比上昇となりました。

上昇寄与がもっとも大きいのは欧州向けで、鉄鋼・非鉄金属工業、輸送機械工業等の寄与により、前月比上昇となりました。次いで米国向けが、輸送機械工業、電気・情報通信機械工業等により上昇、ASEAN向けは鉄鋼・非鉄金属工業、輸送機械工業等により上昇となっています。

輸入品、総供給の動向
次に、輸入の動向をみると、季節調整済指数で102.1、前月比1.3%と3か月ぶりの上昇となりました。業種別の動向をみると、13業種中、7業種が前月比上昇となり、鉱業、電子部品・デバイス工業等が上昇に寄与しています。
国産は前月比マイナス1.2%と3か月ぶりの低下となり、その結果、鉱工業総供給は、前月比0.2%と2か月ぶりの上昇となりました。

1月までは世界的な金融引き締めの影響、中国経済の減速の動きに加え、再び半導体等の部材供給不足もあり、内外需とも低下となり、2月、3月は部材供給不足の影響緩和などにより上昇していましたが、4月は生産用機械工業等の国内・海外からの受注減などを受けて、低下しました。
足下では、欧米を中心に輸出向け出荷が回復傾向を示してきておりますが、先行きについては、海外景気の下振れに留意するとともに、引き続き車載向けの半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響、物価上昇の影響や為替の変動にも十分注意する必要があり、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202304.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html