１１月生産は３か月ぶりの前月比低下
2023年１１月の鉱工業生産は、季節調整済指数１０４.０、前月比マイナス０.９％となりました。
これまでの生産の動向については、７月は、生産用機械工業の受注減少等の影響により低下し、８月は、自動車工業の工場稼働停止などを受けて低下していました。
その後、９月は、堅調な自動車工業等の影響により上昇し、１０月は、化学工業（除．無機・有機化学工業）等が上昇したことなどから、２か月連続で上昇していました。
こうした中、１１月は、自動車工業や電気・情報通信機械工業、汎用・業務用機械工業等が低下したことなどから、全体として３か月ぶりの低下となりました。
１１業種が前月比低下、４業種が同上昇
１１月の鉱工業生産を業種別にみると、全体１５業種のうち、１１業種が低下、４業種が上昇という結果でした。
１１月は、自動車工業や電気・情報通信機械工業、汎用・業務用機械工業等の多くの業種が低下したことなどから、全体として低下しました。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、小型乗用車や自動車エンジン等が主な低下要因となっています。これらについては、これまでの上昇の反動などを受けて、低下したものと考えられます。
また、次に低下寄与度の大きかった電気・情報通信機械工業は、半導体・IC測定器やレーダ装置等が主な低下要因となっています。半導体・IC測定器については、受注減少の影響等により、レーダ装置については、前月に大規模な取引があった反動などを受けて、低下したものと考えられます。
さらに、その次に低下寄与度の大きかった汎用・業務用機械工業は、コンベヤや水管ボイラ等が主な低下要因となっています。これらについては、前月に大規模な取引があった反動などを受けて、低下したものと考えられます。
出荷は３か月ぶりの低下
１１月の鉱工業出荷は、季節調整済指数１０２.５、前月比マイナス１.３％と、３か月ぶりの低下となりました。
業種別にみると、全体１５業種のうち、１３業種が低下、２業種が上昇となりました。
１１月は、汎用・業務用機械工業や自動車工業等の多くの業種が低下したことなどから、全体として低下しました。
低下寄与度の最も大きかった汎用・業務用機械工業は、水管ボイラやコンベヤ等が主な低下要因となっています。これらについては、生産と同様の理由により、低下したものと考えられます。
また、次に低下寄与度の大きかった自動車工業は、小型乗用車や普通乗用車等が主な低下要因となっています。これらについては、生産と同様の理由により、低下したものと考えられます。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、耐久消費財が前月比１.４％、建設財が同０.５％と上昇する一方で、資本財（除．輸送機械）が同マイナス４.１％、非耐久消費財が同マイナス２.２％、生産財が同マイナス０.５％と低下しました。
在庫は２か月連続の上昇
１１月の鉱工業在庫は、季節調整済指数１０４.３、前月比０.１％と、２か月連続の上昇となりました。
業種別にみると、１５業種のうち、８業種が上昇、６業種が低下、１業種が横ばいとなりました。
上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や小型乗用車等が主な上昇要因となっています。
在庫率は４か月ぶりの上昇
１１月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数１０５.２、前月比１.９％と、４か月ぶりの上昇となりました。
業種別にみると、１５業種のうち、６業種が上昇、９業種が低下となりました。
在庫循環図をみると、2021年第３四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第４四半期から2023年第２四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していましたが、2023年第３四半期には、「在庫調整局面」に達し、2023年第４四半期（速）まで継続しています。これまでも、一部の業種において、在庫の削減に取り組まれてきたと考えられますが、その動きが強くなってきた可能性があり、今後の動向に注視していく必要があります。
１１月の生産の基調判断は、「一進一退」に据え置き
１１月の鉱工業生産は、前月比０.９％の低下となりました。
これまでの生産は、７月は、生産用機械工業の受注減少等の影響により低下し、８月は、自動車工業の工場稼働停止などを受けて低下していました。
その後、９月は、堅調な自動車工業等の影響により上昇し、１０月は、化学工業（除．無機・有機化学工業）等が上昇したことなどから、２か月連続で上昇していました。
こうした中、１１月は、自動車工業や電気・情報通信機械工業、汎用・業務用機械工業等が低下したことなどから、全体として３か月ぶりの低下となりました。
また、先行きに関しては、企業の生産計画では、１２月は上昇、１月は低下を見込んでおり、１２月の補正値は前月比３.２％の上昇となっていることから、均してみると引き続き一進一退の状況にあると考えられます。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の１１月の基調判断については、「一進一退」に据え置きます。
なお、今後は、世界経済の下振れや物価上昇の影響などについて、注視してまいります。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-202311s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える！鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html