3月の鉱工業生産は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業等が上昇したことから、全体として前月比3.8%と、3か月ぶりの上昇。基調判断は、「一進一退ながら弱含み」に据え置き。

    3月生産は3か月ぶりの前月比上昇

    2024年3月の鉱工業生産は、季節調整済指数101.1、前月比3.8%となりました。

    これまでの生産の動向については、2023年12月は、汎用・業務用機械工業を中心に多くの業種が上昇したことなどから、全体として上昇していました。

    その後、2024年1月と2月は、工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業等が低下したことから、全体として2か月連続で低下していました。

    こうした中、3月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業等が上昇したことなどから、全体として3か月ぶりに上昇しました。

    図表01

    9業種が前月比上昇、6業種が同低下

    3月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、9業種が上昇、6業種が低下という結果でした。

    3月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業等が上昇したことから、全体として上昇しました。

    図表02
    図表03

    上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や普通トラック等が主な上昇要因となっています。これらについては、工場稼働再開等の影響を受けて、上昇したものと考えられます。

    また、次に上昇寄与度の大きかった生産用機械工業は、フラットパネル・ディスプレイ製造装置や半導体製造装置等が主な上昇要因となっています。これらについては、海外からの受注増加などの影響を受けて、上昇したものと考えられます。

    出荷は3か月ぶりの上昇

    3月の鉱工業出荷は、季節調整済指数100.0、前月比4.3%と、3か月ぶりの上昇となりました。

    図表04

    業種別にみると、全体15業種のうち、12業種が上昇、3業種が低下という結果でした。

    3月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業等が上昇したことから、全体として上昇しました。

    上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や普通トラック等が主な上昇要因となっています。これらについては、生産と同様の理由により、上昇したものと考えられます。

    また、次に上昇寄与度の大きかった生産用機械工業は、フラットパネル・ディスプレイ製造装置や半導体製造装置等が主な上昇要因となっています。これらについては、生産と同様の理由により、上昇したものと考えられます。

    財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、建設財が前月比マイナス0.8%と低下した一方で、生産財が同2.4%、資本財(除.輸送機械)が同7.7%、非耐久消費財が同2.7%、耐久消費財が同4.8%と上昇しました。

    図表05
    図表06
    図表07

    在庫は2か月連続の上昇

    3月の鉱工業在庫は、季節調整済指数102.7、前月比1.1%と、2か月連続の上昇となりました。

    業種別にみると、全15業種のうち、10業種が上昇、4業種が低下、1業種が横ばいとなりました。

    上昇寄与度の最も大きかった生産用機械工業は、建設用クレーンや超硬工具等が主な上昇要因となっています。

    図表08
    図表09

    在庫率は2か月ぶりの上昇

    3月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数106.7、前月比7.1%と、2か月ぶりの上昇となりました。

    業種別にみると、全15業種が上昇となりました。

    図表10

    在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していましたが、2023年第3四半期には、「在庫調整局面」に達し、2024年第1四半期(速)まで継続しています。

    これまで、一部の業種において、積極的に在庫の削減に取り組まれてきたと考えられますが、その効果が顕在化されてきた可能性があり、今後の動向に注視していく必要があります。

    図表11

    3月の生産の基調判断は、「一進一退ながら弱含み」に据え置き

    2024年3月の鉱工業生産は、前月比3.8%と上昇しました。

    これまでの生産は、2023年12月は、汎用・業務用機械工業を中心に多くの業種が上昇したことなどから、全体として上昇していました。

    その後、2024年1月と2月は、工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業等が低下したことから、全体として2か月連続で低下していました。

    こうした中、3月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業等が上昇したことなどから、全体として3か月ぶりに上昇しました。

    また、先行きに関しては、企業の生産計画では、4月と5月はともに上昇を見込んでいるものの、4月の補正値は前月比1.0%の低下を見込んでおり、ならしてみると一進一退の傾向は継続する中で弱含みの状態にあると考えられます。

    こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の3月の基調判断については、「一進一退ながら弱含み」に据え置きます。

    なお、今後は、世界経済の影響や自動車工業における工場稼働再開の状況などについて、注視してまいります。

    結果概要のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
    参考図表集
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-202403s.html
    マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

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