8月生産は2か月ぶりの前月比低下
2024年8月の鉱工業生産は、季節調整済指数99.7、前月比マイナス3.3%の低下となりました。
これまでの生産の動向については、2024年1月~6月までは、自動車工業等における工場稼働停止や再開などの影響もあり、生産は一進一退ながら弱含みで推移してきましたが、7月は電気・情報通信機械工業や生産用機械工業をはじめ幅広い業種で上昇したことから、全体として上昇、そして、8月は台風による工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業等が低下したことから、全体として2か月ぶりの低下となりました。
全15業種のうち12業種が低下
8月の鉱工業生産を業種別にみると、全15業種のうち12業種が前月比低下という結果でした。
自動車工業や電気・情報通信機械工業などで低下したことから、全体として低下しました。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車、駆動伝導・操縦装置部品等が主な低下要因となっています。このほか、次に低下寄与度が大きかった電気・情報通信機械工業ではレーダ装置等が、その次に低下寄与度が大きかった生産用機械工業では半導体製造装置等が主な低下要因となっています。
一方、上昇寄与度が最も大きかった輸送機械工業(除.自動車工業)は、航空機用発動機部品等が主な上昇要因となっているほか、次に上昇寄与度が大きかった電子部品・デバイス工業では、モス型IC(メモリ)等が主な上昇要因となっています。
出荷は2か月ぶりの低下
8月の鉱工業出荷は、季節調整済指数97.6、前月比マイナス4.0%と、2か月ぶりの低下となりました。
業種別にみると、全15業種のうち12業種が低下という結果でした。
8月は、自動車工業、電気・情報通信機械工業等が低下したことから、全体として低下しました。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業では自動車用エンジン、駆動伝導・操縦装置部品等が、次に低下寄与度が大きかった電気・情報通信機械工業では、レーダ装置等が主な低下要因となっています。
一方、上昇寄与度が最も大きかった輸送機械工業(除.自動車工業)では航空機用発動機部品等が、次に上昇寄与度が大きかった汎用・業務用機械工業では一般用蒸気タービン等が主な上昇要因となっています。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財が、自動車用エンジンや駆動伝導・操縦装置部品等の出荷減により、前月比マイナス4.9%と低下。耐久消費財が軽乗用車、普通乗用車等の出荷減により同マイナス5.5%と低下。資本財(除.輸送機械)が半導体製造装置やレーダ装置等の出荷減により、同マイナス3.9%と低下。また、建設財が同マイナス6.6%と低下、非耐久消費財が同マイナス0.2%と低下となりました。
在庫は2か月ぶりの低下
8月の鉱工業在庫は、季節調整済指数102.4、前月比マイナス0.6%と、2か月ぶりの低下となりました。
業種別にみると、全15業種のうち、7業種が低下、8業種が上昇となりました。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や普通トラック等が主な低下要因となっています。一方、上昇寄与度が最も大きかった鉄鋼・非鉄金属工業では鋼半製品や電気銅等が主な上昇要因となっています。
在庫率は2か月ぶりの上昇
8月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数109.7、前月比5.2%と、2か月ぶりの上昇となりました。
業種別にみると、全15業種のうち、12業種が上昇、3業種が低下となりました。
在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していましたが、2023年第3四半期には、「在庫調整局面」に達し、2024年7月速報公表時点では、「在庫調整局面」を抜け出て「意図せざる在庫減局面」に入りましたが、今回の8月速報を反映した2024年第3四半期(速)では、いまだに「在庫調整局面」にとどまる結果となりました。
これまで、一部の業種において、積極的に在庫の削減に取り組まれてきたと考えられ、その効果が顕在化されてきた可能性がありますが、今後の動向に注視していく必要があります。
8月の生産の基調判断は、「一進一退」に据え置き
2024年8月の鉱工業生産は、前月比マイナス3.3%と低下しました。
これまでの生産は、2024年1月~6月までは、自動車工業等における工場稼働停止や再開などの影響もあり、生産は一進一退ながら弱含みで推移してきましたが、7月は電気・情報通信機械工業や生産用機械工業をはじめ幅広い業種で上昇したことから、全体として上昇、そして、8月は台風による工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業等が低下したことから、全体として2か月ぶりの低下となりました。
こうした中、先行きに関しては、企業の生産計画では、9月、10月ともに上昇を見込んでおりますが、企業の生産計画は、しばしば実績から上振れする傾向があることから、こうした影響も考慮すれば、一進一退の傾向は継続するものと見込まれます。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の8月の基調判断については、「一進一退」に据え置きます。
なお、今後は、世界経済の動向などについて、注視してまいります。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-202408s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html