4月の鉱工業生産は、生産用機械工業や輸送機械工業(除.自動車工業)などが低下したことから、全体として前月比マイナス0.9%と、3か月ぶりの低下。基調判断は、「一進一退」に据え置き。

    4月の生産は3か月ぶりの前月比低下

    2025年4月の鉱工業生産は、季節調整済指数101.5、前月比マイナス0.9%の低下となりました。

    これまでの生産の動向については、2024年12月は食料品・たばこ工業や化学工業(除.無機・有機化学工業)などが低下したことから、全体として低下、2025年1月も生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが低下したことから、全体として低下、2月は生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが上昇したことから、全体として上昇、3月も化学工業(除.無機・有機化学工業)、生産用機械工業などが上昇したことから、全体として上昇、そして、4月は生産用機械工業や輸送機械工業(除.自動車工業)などが低下したことから、全体として3か月ぶりの低下となりました。

    図表01

    全15業種のうち6業種が低下

    4月の鉱工業生産を業種別にみると、全15業種のうち6業種が前月比低下、8業種が同上昇、1業種が同横ばいという結果でした。

    生産用機械工業や輸送機械工業(除.自動車工業)などで低下したことから、全体として低下しました。

    図表02
    図表03

    低下寄与度の最も大きかった生産用機械工業では、フラットパネル・ディスプレイ製造装置、繊維機械等が主な低下要因となっています。次に低下寄与度が大きかった輸送機械工業(除.自動車工業)では、航空機用機体部品等が、その次に低下寄与度が大きかった金属製品工業では、橋りょう、飲料用アルミニウム缶等が主な低下要因となっています。

    一方、上昇寄与度が最も大きかった電子部品・デバイス工業では、電子回路基板、モス型IC(ロジック)等が主な上昇要因となっているほか、次に上昇寄与度が大きかった汎用・業務用機械工業では、コンベヤ、ボイラ部品等が、その次に上昇寄与度が大きかった無機・有機化学工業では、フェノール、ポリプロピレン等が主な上昇要因となっています。

    出荷は2か月ぶりの上昇

    4月の鉱工業出荷は、季節調整済指数99.9、前月比0.2%と、2か月ぶりの上昇となりました。

    図表04

    業種別にみると、全15業種のうち9業種が前月比上昇、6業種が同低下という結果でした。

    4月は、電子部品・デバイス工業、電気・情報通信機械工業等が上昇したことから、全体として上昇しました。

    上昇寄与度の最も大きかった電子部品・デバイス工業では、モス型IC(ロジック)、アクティブ型液晶パネル(大型)等が、次に上昇寄与度が大きかった電気・情報通信機械工業では、セパレート形エアコン、リチウムイオン蓄電池等が、次に上昇寄与度が大きかった石油・石炭製品工業では、軽油、ナフサ等が主な上昇要因となっています。

    一方、低下寄与度が最も大きかった生産用機械工業では半導体製造装置、繊維機械等が、次に低下寄与度が大きかった自動車工業では、普通乗用車、駆動伝導・操縦装置部品等が主な低下要因となっています。

    財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財が軽油、特殊鋼熱間圧延鋼材等の出荷増により、前月比1.7%と上昇、耐久消費財が石油ストーブ、軽乗用車等の出荷増により、同2.2%と上昇、資本財(除.輸送機械)が半導体製造装置、繊維機械等の出荷減により、同マイナス4.1%と低下、非耐久消費財が柔軟仕上げ剤、仕上用化粧品等の出荷減により、同マイナス2.5%と低下、建設財が橋りょう、低圧遮断器等の出荷減により、同マイナス1.1%と低下となりました。

    図表05
    図表06
    図表07

    在庫は2か月ぶりの低下

    4月の鉱工業在庫は、季節調整済指数101.6、前月比マイナス0.5%と、2か月ぶりの低下となりました。

    業種別にみると、全15業種のうち、10業種が前月比低下、5業種が同上昇となりました。

    低下寄与度の最も大きかった電気・情報通信機械工業では、リチウムイオン蓄電池、自動車用電気照明器具等が主な低下要因となっています。一方、上昇寄与度が最も大きかった自動車工業では、普通乗用車、軽トラック等が主な上昇要因となっています。

    図表08
    図表09

    在庫率は2か月連続の上昇

    4月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数107.5、前月比0.2%と、2か月連続の上昇となりました。

    業種別にみると、全15業種のうち、9業種が上昇、6業種が低下となりました。

    図表10

    在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していましたが、2023年第3四半期には、「在庫調整局面」に達し、2024年第4四半期には、「在庫調整局面」を抜け出て「意図せざる在庫減局面」に入り、その後2025年第1四半期には「在庫積み増し局面局面」に入りましたが、2025年第2四半期(速)では再び「意図せざる在庫減局面」となりました。

    これまで、一部の業種において、積極的に在庫の削減に取り組まれてきたと考えられ、その効果が顕在化されてきた可能性がありますが、今後の動向に注視していく必要があります。

    図表11

    4月の生産の基調判断は、「一進一退」に据え置き

    2025年4月の鉱工業生産は、前月比マイナス0.9%と低下しました。

    これまでの生産は、2024年12月は食料品・たばこ工業や化学工業(除.無機・有機化学工業)などが低下したことから低下、2025年1月も生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが低下したことから低下しましたが、2月は生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが上昇したことから上昇、3月も化学工業(除.無機・有機化学工業)、生産用機械工業などが上昇したことから上昇、4月は生産用機械工業、輸送機械工業(除.自動車工業)などが低下したことから、全体として3か月ぶりの低下となりました。

    こうした中、先行きに関しては、企業の生産計画では、5月は上昇、6月は低下を見込んでおり、企業の生産計画は、しばしば実績から上振れする傾向があることから、こうした影響も考慮すれば、一進一退の傾向は継続するものと見込まれます。

    こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の4月の基調判断については、「一進一退」に据え置きます。

    なお、今後は、世界経済の動向などについて、注視してまいります。

    結果概要のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
    参考図表集
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-202504s.html
    マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

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