5月の鉱工業生産は、生産用機械工業や汎用・業務用機械工業などが上昇したことから、全体として前月比0.5%と、2か月ぶりの上昇。基調判断は、「一進一退」に据え置き。

    5月の生産は2か月ぶりの前月比上昇

    2025年5月の鉱工業生産は、季節調整済指数101.8、前月比0.5%の上昇となりました。

    これまでの生産の動向については、2025年1月は生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが低下したことから、全体として低下、2月は生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが上昇したことから、全体として上昇、3月も化学工業(除.無機・有機化学工業)、生産用機械工業などが上昇したことから、全体として上昇、4月は生産用機械工業や輸送機械工業(除.自動車工業)などが低下したことから、全体として低下、そして、5月は生産用機械工業や汎用・業務用機械工業などが上昇したことから、全体として2か月ぶりの上昇となりました。

    図表01

    全15業種のうち9業種が上昇

    5月の鉱工業生産を業種別にみると、全15業種のうち9業種が前月比上昇、5業種が同低下、1業種が同横ばいという結果でした。

    生産用機械工業や汎用・業務用機械工業などが上昇したことから、全体として上昇しました。

    図表02
    図表03

    上昇寄与度の最も大きかった生産用機械工業では、金型、ショベル系掘削機械等が主な上昇要因となっています。次に上昇寄与度が大きかった汎用・業務用機械工業では、軸受、圧縮機等が、その次に上昇寄与度が大きかった自動車工業では、普通乗用車、駆動伝導・操縦装置部品等が主な上昇要因となっています。

    一方、低下寄与度が最も大きかった輸送機械工業(除.自動車工業)では、航空機用発動機部品、航空機用機体部品が主な低下要因となっているほか、次に低下寄与度が大きかった無機・有機化学工業では、ポリエチレン、フェノール等が、その次に低下寄与度が大きかった電子部品・デバイス工業では、モス型IC(メモリ)、アクティブ型液晶パネル(大型)等が主な低下要因となっています。

    出荷は2か月連続の上昇

    5月の鉱工業出荷は、季節調整済指数102.0、前月比2.2%と、2か月連続の上昇となりました。

    図表04

    業種別にみると、全15業種のうち10業種が前月比上昇、5業種が同低下という結果でした。

    5月は、自動車工業、生産用機械工業等が上昇したことから、全体として上昇しました。

    上昇寄与度の最も大きかった自動車工業では、普通乗用車、自動車用エンジン等が、次に上昇寄与度が大きかった生産用機械工業では、ショベル系掘削機械、金型等が、その次に上昇寄与度が大きかった汎用・業務用機械工業では、圧縮機、軸受等が主な上昇要因となっています。

    一方、低下寄与度が最も大きかった電子部品・デバイス工業ではモス型IC(ロジック)、アクティブ型液晶パネル(大型)等が、次に低下寄与度が大きかった石油・石炭製品工業では、ガソリン、軽油等が、その次に低下寄与度が大きかった輸送機械工業(除.自動車工業)では、航空機用発動機部品、航空機用機体部品等が主な低下要因となっています。

    財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、資本財(除.輸送機械)がショベル系掘削機械や金型等の出荷増により、前月比7.7%と上昇、耐久消費財が普通乗用車、小型乗用車等の出荷増により、同2.3%と上昇、非耐久消費財が乳液・化粧水類、頭髪用化粧品等の出荷増により、同1.2%と上昇となりました。一方、生産財が航空機用発動機部品、電気金等の出荷減により、同マイナス0.7%と低下、建設財がセメント、アスファルト等の出荷減により、同マイナス0.2%と低下となりました。

    図表05
    図表06
    図表07

    在庫は2か月連続の低下

    5月の鉱工業在庫は、季節調整済指数99.4、前月比マイナス1.9%と、2か月連続の低下となりました。

    業種別にみると、全15業種のうち、11業種が前月比低下、4業種が同上昇となりました。

    低下寄与度の最も大きかった電気・情報通信機械工業では、リチウムイオン蓄電池、自動車用電気照明器具等が主な低下要因となっています。一方、上昇寄与度が最も大きかった石油・石炭製品工業では、ガソリン、ジェット燃料油等が主な上昇要因となっています。

    図表08
    図表09

    在庫率は2か月連続の低下

    5月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数104.7、前月比マイナス1.9%と、2か月連続の低下となりました。

    業種別にみると、全15業種のうち、12業種が低下、3業種が上昇となりました。

    図表10

    在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していましたが、2023年第3四半期には、「在庫調整局面」に達し、2024年第4四半期には、「在庫調整局面」を抜け出て「意図せざる在庫減局面」に入り、その後2025年第1四半期には「在庫積み増し局面局面」に入りましたが、2025年第2四半期(速)では再び「意図せざる在庫減局面」となりました。

    これまで、一部の業種において、積極的に在庫の削減に取り組まれてきたと考えられ、その効果が顕在化されてきた可能性がありますが、今後の動向に注視していく必要があります。

    図表11

    5月の生産の基調判断は、「一進一退」に据え置き

    2025年5月の鉱工業生産は、前月比0.5%と上昇しました。

    これまでの生産は、2025年1月は生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが低下したことから低下しましたが、2月は生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが上昇したことから上昇、3月も化学工業(除.無機・有機化学工業)、生産用機械工業などが上昇したことから上昇、4月は生産用機械工業、輸送機械工業(除.自動車工業)などが低下したことから低下、そして、5月は生産用機械工業、汎用・業務用機械工業などが上昇したことから、全体として2か月ぶりに上昇しました。

    こうした中、先行きに関しては、企業の生産計画では、6月は上昇、7月は低下を見込んでおり、企業の生産計画は、しばしば実績から上振れする傾向があることから、こうした影響も考慮すれば、一進一退の傾向は継続するものと見込まれます。

    こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の5月の基調判断については、「一進一退」に据え置きます。

    なお、今後は、世界経済の動向などについて、注視してまいります。

    結果概要のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
    参考図表集
    https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-202505s.html
    マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

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