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酒類・清涼飲料の急落で低下に転じた2020年の食料品工業

2020年のフードビジネスインデックス(FBI)は、前年比マイナス8.2%と4年ぶりに大幅低下となりました。概説ニュースでは、食料品工業、食料品流通業、「飲食店,飲食サービス業」のうち、FBIへの影響が大きかった「飲食店,飲食サービス業」について解説しました。

他にも2020年に特徴的な動きをした系列があり、今回は、食料品工業とその内訳系列の動きについてみていきたいと思います。

2015年基準で初めて低下に転じた食料品工業

食料品工業は、2015年基準(2013年~)以降、年指数は右肩上がりで推移していましたが、2020年に初めて低下に転じました。

なお、食料品工業指数は次の6つの内訳系列で構成されており、更に、内訳系列に含まれる品目は次のとおりとなっています。

下のグラフは食料品工業の年指数の推移と、内訳系列の影響度合い(寄与度)です。麺類など、前年比上昇した系列もありますが、酒類、清涼飲料、調味料等が前年比低下となりました。特に、酒類、次いで清涼飲料の低下による影響が大きかったことがわかります。

コロナ禍で苦戦した酒類と清涼飲料

次にもう少し細かく、食料品工業の内訳系列の四半期毎の推移をみてみます。ここでもやはり系列により、その動向にはかなりの違いがあったことがわかります。

清涼飲料と調味料等は1度目の緊急事態宣言が発出された第2四半期に急落し、続く第3四半期には反動増となるものの、年始の水準までは戻っていません。清涼飲料は、2020年は在宅需要によりスーパー向けは堅調、通販は好調に推移したものの、外出機会の減少により、自動販売機やコンビニエンスストア向けなどが低下したため、緊急事態宣言が発出された時期の急落に繋がったものと考えられます。

酒類については、乱高下しながら、低下傾向で推移しており、特に、第2四半期での落ち込みも目立っています。

家計調査(総務省)によると、2020年の二人以上の世帯における酒類の家計消費は1度目の緊急事態宣言が発出された第2四半期は、「家飲み」の増加で消費額は増えました。一方、この時期、コロナ禍で外出自粛が続く中、レストランや居酒屋などへの営業時間短縮要請や、酒類提供の制限要請などの影響を強く受けたことにより、外食費のうち、飲酒代(飲酒を伴う料理代を含む)が大きく落ち込みました。この結果、食料品工業指数における酒類の数値は第2四半期には大きく落ち込んだものと考えられます。

麺類と「パン・菓子」は上期好調も、菓子は苦戦

他方、上期に大幅上昇したのが麺類と「パン・菓子」です(前述のグラフ参照)。どちらも第3四半期には反動減となり、麺類は第4四半期に再び上昇し、2019年第4四半期を上回る水準となりましたが、「パン・菓子」は第4四半期も連続低下となりました。

家計調査(総務省)でも、2020年の麺類の消費支出額(二人以上の世帯)は、特に全国的に休校となった3月と、初めて緊急事態宣言が発出された4月の伸びが著しく、自炊をする人が増えた中で簡単に調理できて長期保存が可能な点が好まれたと考えられます。

パンについては、全国的な休校の影響で学校給食用が前年比大幅に低下となりましたが、在宅需要で食パンや菓子パンなどが伸び、パン全体としては前年比増加となりました。

食料品工業指数の「パン・菓子」では、菓子関係の品目としてビスケット類と米菓の生産数量データを使用していますが、全日本菓子協会によると、ビスケットやスナック菓子の2020年生産数量は前年比増加となったものの、他のジャンルはほとんどが前年比低下となりました。在宅需要で伸びた部分もあったものの、外出機会の減少により、観光地、行楽地、百貨店、インバウンドなどの需要低下を受け、菓子全体では、生産数量・生産金額共にマイナス6%の低下となりました。

菓子は減少となりましたが、パンが増加したことにより、「パン・菓子」全体では、2020年は増加となりました。

2020年の食料品工業は、新型コロナウイルスの影響を受け、内訳系列により明暗が分かれましたが、新型コロナウイルスの影響は今後もしばらく続くことが予想されます。withコロナ時代の生活様式のなかで、通販など新たな販売チャネルの選択や、新たな需要の創造など、各社の企業努力も続いており、今後も引き続き動向を注視していきたいと思います。

(参考)

ミニ経済分析「飲食関連産業の動向(FBI 2020年);「飲食店,飲食サービス業」を筆頭に全3業種が揃って低下。4年ぶりの低下となった2020年のフード・ビジネス」

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最終更新日:2021年6月11日
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