経済産業省
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海外現地法人四半期調査

5. 地域別現地法人の状況

(1) 北米では、輸送機械の減少が顕著で今期売上高の減少が他の地域より大きかったが、10~12月期の見通しでは輸送機械の大幅改善があったことが注目される。

(2) ASEAN4では、前期比で輸送機械をはじめほとんどの業種で減少し、全体として▲ 6.6%の低下、10~12月期の見通しもDIの前期比でみると約▲24ポイントの悪化となり、他の地域と比較して最も減少幅が大きい。国別にみると、タイの影響が大きい。

(3) NIES3では、ASEAN4と対照的に売上高増加となり、アジア全体での売上は前期比▲ 1.1%の低下であった。

(4) 欧州では、輸送機械の減少により前期比で低下となったが、来期の見通しで増加を見込む企業の割合が増加した唯一の地域であった。

(1) 北米
(2) ASEAN4
(3) NIES3
(4) 中国・その他アジア
(5) 欧州

(1) 北米

(1) 売上高、現地販売額等の状況
 売上高は3兆6225億円、前期比▲ 1.5%の低下であった。業種別にみると、輸送機械、一般機械等5業種で減少し、残り8業種が増加している。減少に大きな影響を与えているのは、輸送機械(前期比▲ 8.9%、減少額1512億円)である。一方、増加が顕著な業種は、電気機械(前期比12.1%、増加額1007億円)であった。
現地販売額は2兆5771億円、前期比▲ 2.5%の低下であった。売上高に占める現地販売額の割合は71.1%であり、前期より▲ 0.8ポイント低下した。
 売上高の10~12月期の見通しをみると、全体では42.1ポイントで、繊維以外の全業種で増加を見込んでいるとともに、前期の7~9月期の見通しと比 較して増加を見込む企業の割合は微かに減少(前期比▲ 1.5ポイント)したものの、大幅減少した輸送機械において翌期見込みの大幅改善がなされたことから、回復の傾向も窺われる。現地販売額の見通しでも同様 に全体で42.0ポイントと繊維を除く全業種で増加を見込み、輸送機械での翌期見込みの改善が注目される。

(2) 設備投資の状況
 土地を除く有形固定資産の取得額は、 1599億円であり、前期比▲19.2%の低下となった。低下には輸送機械、電気機械の減少額が大きい影響を与えている。業種別には、8業種で減少、非鉄金属等5業種で増加している。
 10~12月期の見通しをみると、全体では24.5ポイント(前期比▲ 0.1ポイント)で、全業種で増加を見込んでいる。
(3) 雇用の状況
 従業者数は35万人であり、前期比 3.2%の上昇となった。減少した業種は、鉄鋼、木材・紙パルプのみであった。
(4) 逆輸入の状況
 日本向け販売、いわゆる逆輸入額は、 748億円であり、前期比19.7%の上昇となった。食料品・たばこ、電気機械の寄与が大きい。

(2) ASEAN4

(1) 売上高、現地販売額等の状況
 売上高は、1兆 247億円であり、前期比▲ 6.6%の低下であった。業種別にみると、輸送機械等10業種が減少し、一般機械等3業種が増加となった。現地販売額は、418 億円であり、前期比▲ 7.8%の低下であった。減少した業種は11業種で、特に大きな影響を与えた業種は前期に引き続き輸送機械である。
 10~12月期の見通しをみると、売上高は、全体では27.2ポイント(前期比▲24.1ポイント)で、輸送機械を除く業種で引き続き増加を見込んでは いるものの、その割合は大幅に減少している。現地販売額の見通しも、全体で14.7ポイント(前期比▲15.9ポイント)と増加が見込まれてはいるが、売 上高同様に増加を見込む企業の割合は減少している。
 今期のASEAN4は、他の地域と比較して、売上高、現地販売額は前期からの減少割合が最も大きく、売上高及び現地販売額の10~12月期の増加見込み の減少幅も最大。通貨危機による輸送機械をはじめとした内需不振の影響と考えられる。参考としてASEAN4を国別にみると、ASEAN4全体の減少はタ イでの減少が大きく影響していることがわかる。また、10~12月期の見通しでは各国とも大幅減少、特にインドネシアの減少が大きい。

(2) 設備投資の状況
 土地を除く有形固定資産の取得額は、 549億円であり、前期比▲ 3.7%の低下となった。減少には、一般機械、繊維が大きい影響を与えている。
 10~12月期の見通しをみると、全体では 9.2ポイント(前期比▲15.5ポイント)と増加を見込んでいるが、増加を見込む企業の割合は減少している。
(3) 雇用の状況
 従業者数は40万2千人であり、前期比 0.9%の微増であった。
 10~12月期の見通しをみると、全体では 6.4ポイント(前期比▲14.1ポイント)と増加を見込んでいるが、増加を見込む企業の割合は減少している。
(4) 逆輸入の状況
 日本向け販売、いわゆる逆輸入は2420億円であり、前期比 3.6%の上昇であった。上昇業種は5業種で、電気機械の増加額が大きい。
 10~12月期の見通しをみると、全体では16.9ポイント(前期比▲ 9.4ポイント)と増加を見込んでいるが、増加を見込む企業の割合は減少している。

(3) NIES3

(1) 売上高、現地販売額等の状況
 売上高は、9083億円であり、前期比 4.3%の上昇であった。業種別にみると、電気機械等9業種が増加し、繊維等3業種が減少となった。現地販売額は、3922億円であり、前期比 7.3%の上昇であった。増加した業種は非鉄金属等10業種で、繊維等2業種で減少した。
 10~12月期の見通しをみると、売上高は、全体では14.8ポイント(前期比▲ 7.8ポイント)で、全体として増加の見込みは減少しているものの、輸送機械、繊維等5業種で見込みが改善された。現地販売額の見通しも、全体で13.3 ポイント(前期比  ▲ 6.6ポイント)と増加の見込みは減少しているが、売上高同様に5業種で見込みが改善された。
 参考として、国別にみると、売上高の前期比上昇はシンガポールの寄与が大きかった。また、10~12月期の売上高見通しについては、韓国におけるDIが前期比で、▲16.2ポイントとなり、シンガポールでも前期比▲14.6ポイントと、増加見込みが大きく減少したことが特徴的である。

(2) 設備投資の状況
 土地を除く有形固定資産の取得額は、 229億円であり、前期比▲38.1%の大幅低下となった。減少には、電気機械、繊維が大きい影響を与えている。
 10~12月期の見通しをみると、全体では 7.4ポイント(前期比▲ 6.1ポイント)と増加を見込む企業の割合は減少している。
(3) 雇用の状況
 従業者数は12万4千人であり、前期比 1.0%の微増であった。
 10~12月期の見通しをみると、全体では 0.5ポイント(前期比.0.8ポイント)とほぼ横這いであるが、増加を見込む企業の割合は増加している。
(4) 逆輸入の状況
 日本向け販売、いわゆる逆輸入は1354億円であり、前期比 2.7%の上昇であった。上昇業種は6業種で、一般機械の増加額が大きい。
 10~12月期の見通しをみると、全体では 5.6ポイント(前期比▲ 4.2ポイント)と増加を見込む企業の割合は減少している。

(4) 中国・その他アジア

(1) 売上高、現地販売額等の状況
 売上高は、5495億円であり、前期比 1.3%の上昇であった。業種別にみると、一般機械等7業種が増加し、輸送機械等6業種が減少となった。現地販売額は、1766億円であり、前期比▲ 4.3%の低下であった。減少した業種は電気機械等7業種で、一般機械等5業種は増加した。
 10~12月期の見通しをみると、売上高は、全体では48.7ポイント(前期比▲ 9.4ポイント)で、9業種で増加の見込みは減少した。現地販売額の見通しも、全体で41.0ポイント(前期比▲ 6.6ポイント)と増加の見込みは減少しているが、売上高同様に6業種で見込みが改善された。
 参考として、中国を香港とその他に分けて売上高をみると、香港において7月の返還以降の大きな売上の変化は見られないが、10~12月期においては増加を見込む企業の割合がさらに減少したことが注目される。

(2) 設備投資の状況
 土地を除く有形固定資産の取得額は、 115億円であり、前期比▲24.0%の大幅低下となった。減少には、化学、電気機械が大きい影響を与えている。
 10~12月期の見通しをみると、全体では20.8ポイント(前期比▲ 7.4ポイント)と全体では増加を見込む企業の割合は減少しているが、5業種では改善している。
(3) 雇用の状況
 従業者数は20万8千人であり、前期比 1.6%の増加であった。
 10~12月期の見通しをみると、全体では31.8ポイント(前期比.0.3ポイント)と増加を見込む企業の割合はわずかに増加している。
(4) 逆輸入の状況
 日本向け販売、いわゆる逆輸入は1640億円であり、前期比 3.5%の上昇であった。上昇業種は8業種で、電気機械、一般機械の増加額が大きい。
 10~12月期の見通しをみると、全体では25.6ポイント(前期比▲ 2.2ポイント)と増加を見込む企業の割合は減少している。

(5) 欧州

(1) 売上高、現地販売額等の状況
 売上高は、1兆7664億円であり、前期比▲ 1.8%の低下であった。業種別にみると、輸送機械等8業種が減少し、電気機械等4業種が増加となった。輸送機械の減少の影響が大きい。現地販売額は、 9107億円であり、前期比 4.0%の上昇であった。増加した業種は電気機械等4業種で、輸送機械等8業種で減少した。電気機械の増加の影響が大きい。
 10~12月期の見通しをみると、売上高は、全体では43.0ポイント(前期比 5.9ポイント)で、7業種で増加の見込みは増加した。現地販売額の見通しも、全体で44.3ポイント(前期比 8.1ポイント)と増加の見込みが増加している。
(2) 設備投資の状況
 土地を除く有形固定資産の取得額は、 557億円であり、前期比 1.0%の上昇となった。電気機械の大幅増加が一般機械等9業種の減少を上回った形である。
 10~12月期の見通しをみると、全体では19.1ポイント(前期比 4.0ポイント)と全体では増加を見込む企業の割合は増加している。
(3) 雇用の状況
 従業者数は18万3千人であり、前期比▲ 0.2%の低下であった。
 10~12月期の見通しをみると、全体では 6.2ポイント(前期比▲ 1.1ポイント)と増加を見込む企業の割合はわずかに減少している。
(4) 逆輸入の状況
 日本向け販売、いわゆる逆輸入は 218億円であり、前期比 1.2%の上昇であった。8業種で減少したが、化学、窯業・土石での増加額が大きかった。
 10~12月期の見通しをみると、全体では 2.8ポイント(前期比 1.1ポイント)と増加を見込む企業の割合は増加している。

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最終更新日:2007.10.1
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