鉱工業指数の概要

統計の目的

鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向の把握を行うことを目的としています。また、速報公表時に同時に公表される製造工業生産予測指数は、生産計画をもとに先行き2か月の動向を把握できます。

統計の概要

鉱工業指数は、以下の系列があります。

各系列の指数は、業種別、財別に加えて、一部では品目指数も公表しています。これによって、業種別の生産関連動向を把握できるほか、その製品が最終需要財あるいは生産財として使われるのかなど財に関連する経済活動の動きを通して、経済全体の動きをつかむためにも活用されています。

統計の作成方法

生産・出荷指数

作成のための基礎データ
生産・出荷指数の採用系列数は408品目です。そのうち経済産業省所管品目は364品目となっており、主に「経済産業省生産動態統計調査」を利用しています。また、他省又は業界団体で作成している統計を利用した所管外品目は、44品目(食料品・たばこ工業の品目や、医薬品、鋼船など)です。
ウェイトは、生産指数は付加価値額ウェイト、出荷指数は出荷額ウェイトを用いており、ともに「経済センサス-活動調査(基幹統計調査)」等を基礎データとしています。
指数の計算方法
品目毎の一月当たりの生産(出荷)量を、基準年=100として指数化し、各品目別指数を基準年のそれぞれのウェイトで加重平均することにより、鉱工業全体や業種別・財別などの総合指数を求めるラスパイレス算式です。
生産・出荷指数のラスパイレス算式
算式の各要素の説明
季節調整
生産・出荷指数とも、米国商務省センサス局が開発したX-12-ARIMAにより季節調整を行っています。X-12-ARIMAでは、季節要因に加え、曜日・うるう年要因 、祝祭日要因についても調整を行っています。季節調整済指数の算出方法は以下のとおり。
季節調整済指数 = 原指数 ÷ (季節指数× 曜日・うるう年・祝祭日指数)
接続指数
接続指数は、長期間の指数を現行基準で比較できるように、過去の基準の指数に接続係数を乗じ、過去の基準指数を便宜的に最新の基準指数へ水準を調整したものです。なお、原指数、季節調整済指数のいずれを接続する場合においても、接続係数の算出には季節調整済指数を用いています。

在庫指数

作成のための基礎データ
在庫指数の採用系列数は291品目で、生産指数よりも少なくなっています。これは受注製品で仕掛品在庫はあっても製品在庫のない品目や把握が困難な品目や、経済産業省所管外品目で生産ないし出荷の実績値が入手可能でも在庫数値が得られない品目などがあるためです。基礎データは、主に「経済産業省生産動態統計調査」を利用しています。
ウェイトは、在庫額ウェイトを用いており、「経済センサス-活動調査(基幹統計調査)」等を基礎データとしています。
指数の計算方法
品目毎の一月当たりの(月末)在庫量を、基準年=100として指数化し、各品目別指数を基準年のそれぞれのウェイトで加重平均することにより、鉱工業全体や業種別・財別などの総合指数を求めるラスパイレス算式です。
在庫指数のラスパイレス算式
算式の各要素の説明
季節調整
在庫指数も、米国商務省センサス局が開発したX-12-ARIMAにより季節調整を行っています。X-12-ARIMAでは、基礎データが月末在庫であることから、季節要因のみについて調整を行っています。季節調整済指数の算出方法は以下のとおり。
季節調整済指数 = 原指数 ÷ 季節指数
接続指数
接続指数は、長期間の指数を現行基準で比較できるように、過去の基準の指数に接続係数を乗じ、過去の基準指数を便宜的に最新の基準指数へ水準を調整したものです。なお、原指数、季節調整済指数のいずれを接続する場合においても、接続係数の算出には季節調整済指数を用いています。

在庫率指数

作成のための基礎データ
在庫率指数での採用系列は283品目と、在庫指数よりも更に少なくなっています。これは、在庫指数から季節変動が激しい品目を除外しているためです。基礎データは、主に「経済産業省生産動態統計調査」を利用しています。
ウェイトは在庫額ウェイトを用いており、「経済センサス-活動調査(基幹統計調査)」等を基礎データとしています。
指数の計算方法
品目毎の一月当たりの在庫率(在庫量/出荷量)を、基準年=100として指数化し、各品目別指数を基準年のそれぞれのウェイトで加重平均することにより、鉱工業全体や業種別・財別などの総合指数を求めるラスパイレス算式です。
在庫率指数のラスパイレス算式
算式の各要素の説明
季節調整
在庫率指数も、米国商務省センサス局が開発したX-12-ARIMAにより季節調整を行っています。X-12-ARIMAでは、季節要因に加え、曜日・うるう年要因、祝祭日要因についても調整を行っています。季節調整済指数の算出方法は以下のとおり。
季節調整済指数 = 原指数 ÷ (季節指数× 曜日・うるう年・祝祭日指数)
接続指数
接続指数は、長期間の指数を現行基準で比較できるように、過去の基準の指数に接続係数を乗じ、過去の基準指数を便宜的に最新の基準指数へ水準を調整したものです。なお、原指数、季節調整済指数のいずれを接続する場合においても、接続係数の算出には季節調整済指数を用いています。

生産能力指数

作成のための基礎データ
生産能力指数は、主に「経済産業省生産動態統計調査」における品目別生産能力を用います。品目によっては能力調査が困難なものもあるため、鉱工業生産指数と比べ対象品目は限定的です。また所管外品目についてはデータが得られていません。そのため、採用系列数は139品目と、生産指数に比べ少なくなっています。
ウェイトは、鉱工業生産指数に用いる基準年の付加価値額ウェイトを加工して求めた、能力付加価値額ウェイト(品目別単位当たり付加価値額×生産能力量)を用いており、「経済センサス-活動調査(基幹統計調査)」等を基礎データとしています。
指数の計算方法
品目毎の一月当たりの生産能力量を、基準年=100として指数化し、品目別指数を基準年の能力付加価値額ウェイトで加重平均することにより、製造工業全体や業種別などの総合指数を求めるラスパイレス算式です。
能力指数のラスパイレス数式
算式の各要素の説明
季節調整
生産能力指数は、基礎データである「経済産業省生産動態統計調査」の生産能力の評価が季節要因を加味しない算定方式となっているため、季節調整を行わず、原指数のみの公表となっています。
接続指数
接続指数は、長期間の指数を現行基準で比較できるように、過去の基準の指数に接続係数を乗じ、過去の基準指数を便宜的に最新の基準指数へ水準を調整したものです。接続係数の算出には原指数を用いています。

稼働率指数

作成のための基礎データ
稼働率指数は、主に「経済産業省生産動態統計調査」における品目別生産能力と生産量を用います。品目別稼働率における生産量は、原則として生産指数と同様となっていますが、能力測定が困難な一部の品目については、生産とは異なる求め方をしています。なお、品目によっては能力調査が困難なものもあるため、生産指数と比べ対象品目は限定的です。また所管外品目についてはデータが得られていません。そのため、指数採用品目数は生産能力指数と同様に139品目と、生産指数に比べ少なくなっています。
ウェイトは、鉱工業生産指数に用いる基準年の付加価値額ウェイトを加工して求めた、生産実績付加価値額ウェイト(品目別単位当たり付加価値額×生産実績数量)を用いており、「経済センサス-活動調査(基幹統計調査)」等を基礎データとしています。
指数の計算方法
品目毎の生産能力に対する実際の生産数量(生産実績)の比率を求め、これを基準年=100として指数化し、品目別指数を基準年の付加価値額ウェイトで加重平均することにより、製造工業全体や業種別などの総合指数を求めるラスパイレス算式です。
稼働率指数のラスパイレス算式
算式の各要素の説明
季節調整
稼働率指数は米国商務省センサス局が開発したX-12-ARIMAにより季節調整を行っています。X-12-ARIMAでは、季節要因に加え、曜日・うるう年要因、祝祭日要因についても調整を行っています。季節調整済指数の算出方法は以下のとおり。
季節調整済指数 = 原指数 ÷ (季節指数× 曜日・うるう年・祝祭日指数)
接続指数
接続指数は、長期間の指数を現行基準で比較できるように、過去の基準の指数に接続係数を乗じ、過去の基準指数を便宜的に最新の基準指数へ水準を調整したものです。接続係数の算出には季節調整済指数を用いています。

(参考)製造工業生産予測指数

作成のための基礎データ
生産予測指数の採用系列数は186品目で、「製造工業生産予測調査」における生産実績及び生産計画を用います。
ウェイトは、「経済センサス-活動調査(基幹統計調査)」等を基礎データとして算出した鉱工業生産指数の付加価値額ウェイトを参考に作成しています。
指数の計算方法
前月実績、当月見込み、翌月見込みのそれぞれについて、品目毎の生産量を基準年=100として指数化し、品目別指数を基準年のウェイトで加重平均することにより、製造工業全体や業種別の総合指数を求めるラスパイレス算式です。
予測指数のラスパイレス算式
算式の各要素の説明
季節調整
製造工業生産予測指数は、米国商務省センサス局が開発したX-12-ARIMAにより季節調整を行っています。X-12-ARIMAでは、季節要因に加え、曜日・うるう年要因についても調整を行っています。季節調整済指数の算出方法は以下のとおり。
季節調整済指数 = 原指数 ÷ (季節指数× 曜日・うるう年指数)
実現率、予測修正率
  • 実現率:前月調査の生産計画である当月見込みの指数値が、1か月経過して当月調査の前月実績の指数値となったときに、生産計画がどの程度実績として生産されたかを表します
  • 予測修正率:前月調査の生産計画である翌月見込みの指数値が、1か月経過して当月調査の当月見込みの指数値となったときに、生産計画がどの程度修正されたかを表します

いずれも季節調整済指数を用いて、以下の計算で算出しています。

  • 実現率:今月予測調査における前月実績 / 前月予測調査における当月見込み
  • 予測修正率:今月予測調査における当月見込み/前月予測調査における翌月見込み
【計算例】

今月予測調査における前月実績指数100.0、当月見込み指数105.0
前月予測調査における当月見込み指数90.0、翌月見込み指数110.0

とすると、

実現率=( 100.0 / 90.0 - 1 ) × 100 = 11.1%
予測修正率=( 105.0 / 110.0 - 1 ) × 100 = -4.5%

※ 製造工業生産予測指数は鉱工業指数の体系には含まれませんが、速報公表時に一緒に公表しているため参考として掲載します。

統計の沿革

生産・出荷・在庫・在庫率指数
戦後、昭和21年基準、24年基準、25年基準と改善を重ね、30年基準指数をもって現在の作成方式がほぼ確立されました。以後は5年毎に基準改定を行い、現在の2020年基準指数に至っています。なお、以前作成していた「販売業者在庫指数」は昭和60年基準を最後に、また「原材料在庫指数」は平成12年を最後に作成を中止しています。
能力・稼働率指数
最初の公表は、昭和28年10月公表の昭和25年3月基準です。その後、昭和30年基準改定をもって現在の作成方式がほぼ確立されました。以後は5年毎に基準改定を行い、現在の2020年基準指数に至っています。
(参考)生産予測指数
最初の公表は、昭和46年3月公表の昭和44年基準です。その後、45年基準への改定を経て、以降は5年毎に鉱工業指数改定の翌年に生産予測指数の改定を行っていました。平成12年基準指数以降は鉱工業指数改定と同じ年に改定を行っています。

統計の利活用事例

生産活動の基調判断、生産動向の先行きに関する基調判断、生産動向・設備投資動向分析、国民経済計算(GDP)、月例経済報告、景気動向指数、政府経済見通し、全産業活動指数、鉱工業出荷内訳表など、幅広く利活用されています。

基準改定

鉱工業指数は、西暦末尾の0、5年ごとにウェイトの更新、品目の入替え、指数の基準となる年次の更新を行っています(指数の基準時に関する統計基準も参照)。

直近で行った基準改定は以下のとおりです。

お問合せ先

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最終更新日:2023年6月20日