海外事業活動基本調査


売上高は増加するも勢いにかげり

 97年度の現地法人の売上高は、全産業で127兆5755億円(前年度比3.1%増)となった。業種別にみると製造業で52兆732億円(同9.8%増)、非製造業では75兆5024億円(同1.1%減)であった。製造業については5年連続して増加となり、昨年に引き続き我が国輸出総額(50兆9380億円)を上回った。しかし、96年度までの伸びはみられなかった(第2-(1)-1-1図、第2-(1)-1-2図)。

地域別売上高推移(全産業)

現地法人売上高(製造業)及び我が国輸出総額推移

 地域別にみると、北米が製造業で、2兆6045億円増の21兆861億円(前年度比14.1%増)、非製造業が2兆5498億円減の28兆8807億円(同8.8%減)であった。アジアでは製造業が9793億円増(同5.8%増)の17兆9877億円、非製造業が3690億円増(同2.3%増)の16兆3815億円となった。ヨーロッパでは製造業が4318億円増の9兆5483億円(同4.7%増)であり、非製造業は8736億円増の22兆4020億円(4.1%増)であった。特にアジアではこれまでの伸びはみられず、地域別の経済状況を反映したものと考えられる(第2-(1)-1-3図)。

地域別売上高推移(製造業)

 98年度予測では、全産業で131兆2752億円(前年度比2.9%増)、製造業で56兆6035億円(同8.7%増)非製造業で74兆6717億円(同1.1%減)となる見込み。また、地域別にみると、北米の景気が依然好調であることから、北米現地法人売上高はさらに増加する見込み(52兆8149億円、同5.7%増)。アジアでも現地法人全体の売上高は増加する見込み(34兆7816億円、同1.2%増)である(第2-(1)-1-4図)。

地域別売上高推移(全産業)

電気機械と輸送機械は順調に推移

 製造業の業種別に現地法人売上高をみると、電気機械が17兆5083億円(前年度比15.1%増)と最も高く、次いで、輸送機械(15兆3604億円、同9.5%増)であった。この2業種で、製造業全体の売上高の6割を占める。以下、化学(4兆3956億円、同21.4%増)、一般機械(3兆5824億円、同8.9%増)、鉄鋼(2兆337億円、9.4%増)の順であった(第2-(1)-2-1図)。

96年度業種別売上高構成(製造業)

97年度業種別売上高構成(製造業)

 98年度予測では、電気機械(19兆666億円、前年度比8.7%増)、輸送機械(16兆8503億円、同9.7%増)、化学(4兆8395億円、同10.1%増)等で増加する見込み(第2-(1)-2-1表)。

地域別現地法人売上高及び構成比率推移(製造業)

ASEAN4は前年を下回る

 アジアの製造業現地法人売上高を地域別にみると、NIEs4では7兆8347億円(前年度比5.2%増)、ASEAN4では7兆6484億円(同1.3%減)、中国では1兆8533億円(同46.5%増)となった。ASEAN4は95年度にNIEs4の売上高を上回ったが、97年度において再びNIEs4が上回った。ASEAN4の96年度時点における97年度予測は、8兆8836億円であったが、この予測を1兆円以上も下回る結果となった。これまで順調に伸びてきたアジア経済の中で昨今の経済情勢の変化による影響をASEAN4は特に大きく受けたと考えられる。一方、中国は92年度以降、毎年大幅に売上高を増加させてきている(第2-(1)-3-1図)。

地域別現地法人売上高推移(アジア三極)

 98年度予測では、NIEs4が7兆9523億円(前年度比1.5%増)、ASEAN4が7兆9314億円(同3.7%増)、ともに若干の増加にとどまる見込みである。アジアにおける経済情勢の変化による影響を初めに受けたASEAN4の経済状況が、NIEs4へも広がるものと推測される。中国は2兆2091億円(同19.2%増)と、ASEAN4、NIEs4の売上高が小幅な伸びにとどまっているのに対し、伸び率は縮小するものの、大幅な増加となる見込みで、2兆円超の規模になる見込みである。(第2-(1)-3-1図)

 業種別のシェアをみると各地域ともに電気機械、輸送機械のシェアが高い。(第2-(1)-3-1表)。

アジア三極業種別現地法人売上高及び構成比率推移(製造業)

最終更新日:2007.10.1