海外事業活動基本調査

《今回調査のポイント》

 97年度における現地法人の新規進出数はアジアを中心に2年連続で減少となり、また、撤退数もすべての地域で増加した。

 現地法人の業績に目を転じると、売上高は非製造業で減少したものの、製造業で増加したことから、全産業では3.1%の増加となった。しかしながら、売上高伸び率はアジアで大幅に縮小した影響から、前年度と比べ大幅に鈍化した。海外生産比 率は国内法人の売上高伸び率が低調であったことから12.4%に上昇した。98年度は13.8%となる見込み。

 経常利益はアジア地域の大幅な減益の影響から製造業、非製造業ともに減益となり、94年度以降維持してきた増益基調が途切れ、収益状況は悪化に転じた。

 一方、設備投資は欧米地域を中心として輸送機械等の増加により前年度比17.1%の増加となったが、伸び率は大きく鈍化しており、98年度予測ではアジアを中心に減少を見込んでいる。

 以上のように、97年度の我が国企業の海外事業活動はアジア地域における悪化が目立つ。これは、97年夏の通貨下落をきっかけとしたアジア経済危機の影響によるものと思われる。特にASEAN4ではタイ、インドネシアを中心に業績が悪化し、経常損失となった。業種別には「現地販売型」業種の落ち込みが大きい。しかし、97年度時点における影響は限定的なものとなっている。

 こうした状況下において日系現地法人は、域内調達を増加させたり、日本向け輸出(=逆輸入)の比率を増大させて現地販売の減少分を補完する等の対応を見せている。アジアに対する日系企業の姿勢は依然前向きであり、各国における日系現地法人のプレゼンスは高いことから、アジア各国の経済回復における日系現地法人の役割は大きい。

最終更新日:2007.10.1