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- 第28回海外事業活動基本調査結果概要-平成9(1997)年度実績-
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現地法人の収益状況-平成11年5月18日公表-
海外事業活動基本調査
経常利益の推移
現地法人の経常利益は4年振りに減益
97年度の現地法人の経常利益は、2兆97億円(前年度比3.7%減)で、アジアの経済状況を反映して((3)-2地域別動向参照)4年振りに減益となった。このうち、製造業は1兆1252億円(同5.2%減)、非製造業は8846億円(同1.7%減)で、製造業において、より大きな減益となっている(第2-(3)-1-1図)。
売上高経常利益率(注)の推移をみると、93年度までは国内法人の利益率の1/2以下の水準であったが、94年度以降は国内法人と同程度で推移し、97年度は1.8%となっている(第2-(3)-1-2図)。このうち、製造業は94、95年度と国内法人の利益率を上回っていたが、96年度には再び国内法人を下回り、97年度には2.7%と、国内法人に比べ0.6ポイントの低下となった(第2-(3)-1-3図)。
海外経常利益比率(注)は、7.2%(同0.3ポイント低下)で、このうち、製造業は8.2%(同0.4ポイント低下)、非製造業は6.3%(同0.1ポイント低下)と現地法人の増加基調に変化がみられる(第2-(3)-1-4~6図)。
- (注)
- ・売上高経常利益率=経常利益/売上高×100
- (経常利益、売上高の両方に回答がある企業で計算)
- ・海外経常利益比率=現地法人経常利益/国内法人経常利益×100
経常利益の地域別動向
欧米は好調、アジアの収益は激減
製造業現地法人の経常利益を地域別にみると、
97年度の欧米地域の経常利益は、米国の好景気を背景に北米が4485億円(地域別シェア39.9%)、前年度比50.2%増と利益を大幅に拡大し、ヨーロッパも1753億円(同15.6%)、同77.4%増と好調に推移している(第2-(3)-2-1図)。
アジアは3011億円(同26.8%)、同49.3%減と大幅な減益となり、北米を下回った(第2-(3)-2-1図)。これは、タイやインドネシアが経常損失となったことから、ASEAN4において683億円の損失となったこと等による(第2-(3)-2-5図)。ASEAN4を除くアジアをみると、NIEs4は2950億円、同16.8%の増加となり、中国は283億円、同2.4%減と減益となったものの堅調に推移している(第2-(3)-2-2図)。
売上高経常利益率(注)をみると、北米は2.7%(前年度比0.8ポイント上昇)、ヨーロッパは2.3%(同1.0ポイント上昇)と堅調に推移したが、アジアは2.0%(同2.0ポイント低下)となり、石油危機以来の低い水準となったことから欧米を下回った(第2-(3)-2-3図)。
非製造業現地法人の経常利益を地域別にみると、北米は3782億円(同42.7%)、同1.5%増と前年度の高収益を維持しており、ヨーロッパは2069億円(同23.4%)、同214.9%増と大幅な増益となっている。一方、アジアは1374億円(同15.5%)、同37.3%減と818億円の減益となっている(第2-(3)-2-4図)。
- (注)
- ・売上高経常利益率=経常利益/売上高×100
- (経常利益、売上高の両方に回答のある企業で計算)
経常利益の業種別動向
輸送機械は高収益維持、電気機械は大幅減益
製造業現地法人の経常利益を業種別にみると、
輸送機械が3496億円(前年度比8.2%減)で減益となったものの、前年に引き続き1位を維持している。2位は堅調に推移している化学で2578億円(同20.2%増)、3位は一般機械の1127億円(同26.1%増)となっている。また、4位は電気機械の941億円(同55.0%減)で、年々順位を後退させている(第2-(3)-3-1図)。
主要業種の経常利益率(全地域)を国内法人と比較すると、食料品、鉄鋼が国内法人を上回ったものの、精密機械は同率、その他の業種では国内法人を下回っている(第2-(3)-3-1表)。
アジアの経常利益率をみると、鉄鋼が▲14.0%、非鉄金属が▲2.5%となっておりこのうち、ASEAN4では鉄鋼が▲22.9%となったのをはじめ繊維、化学、食料品、非鉄金属でマイナスとなっている(第2-(3)-3-1表)。
非製造業現地法人の経常利益を業種別にみると、商業が5693億円(同26.6%増)と増加している他は、鉱業1284億円(同31.4%減)、サービス業1233億円(同30.5%減)で減少しており、建設業では赤字幅が拡大している(第2-(3)-3-2図)。
主要業種の経常利益率(全地域)を国内法人と比較すると、経常利益は減少したものの高い利益率を保持している鉱業の他、サービス業、商業で国内法人を上回っている(第2-(3)-3-2表)。
株主資本利益率(ROE)
落ち込むアジア現地法人のROE
現地法人のROEは製造業で3.9%と国内法人の2.6%を大きく上回り、全産業においても3.9%と国内法人に比べ高水準となっている。(第2-(3)-4-1図)
しかしながら、従来他地域と比しROEが高率であったアジア地域は通貨危機の影響により、収益率を大きく落としており、全体のROEは減少している。 (製造業前年度比0.8%減、全産業同0.5%減)(第2-(3)-4-2図、第2-(3)-4-3図)
欧米においては一時期の赤字体質から脱却、ROEを上昇させており、97年度においてはアジアを上回っている。特に全産業におけるヨーロッパの上昇率が高い。
業種別では北米の繊維・鉄鋼・精密機械、ヨーロッパの木材紙パ・非鉄金属が他地域と比較して高い。(第2-(3)-4-1表)
アジアでは化学・鉄鋼・非鉄金属の3業種でマイナスとなっている。在日外資系企業は日本国内の不況下にもかかわらず、依然高水準を保っており、日系現地法人の比率との格差は拡大している。
- (注)
- ・ROE = 税引後利益 ÷ 自己資本
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なお、本調査では現地法人の自己資本を調査していないため本項では
(内部留保残高+資本金×2) で代用している。
(内部留保残高=自己資本-資本金-資本準備金-新株式払込金
資本準備金≦資本金であるため)よって、現地法人のROEは実際より低く算出されている可能性がある。
最終更新日:2007.10.1