海外事業活動基本調査


増加幅が鈍化した現地法人の設備投資

 97年度の製造業における現地法人の設備投資額は2兆9725億円、前年度比17.1%の増加となり、94年度以降拡大傾向で推移しているものの、前年度と比較してその伸びは大きく鈍化した。また、92年の円高局面に上昇傾向で推移している海外設備投資比率(注)は19.2%(前年度比 1.5ポイント上昇)となっている(第2-(5)-1-1表、第2-(5)-1-1図)。

地域別設備投資額推移(製造業)

現地法人設備投資額推移(製造業)

 地域別の動向について見ると、依然としてアジアにおける設備投資額(1兆2615億円)が最大シェア(42.4%)を占めている一方で、北米(1兆2087億円シェア40.7%)がアジアと並ぶ水準に達している。また、98年度予測においては、北米がアジアを上回ることが見込まれている(第2-(5)-1-2図)。

地域別現地法人設備投資額シェア(製造業)

 98年度については、ヨーロッパで微増となるも、北米及びアジアにおいて減少が見込まれることから、全体では2兆4285億円(前年度比18.3%減)となる見込みである。特に、アジアにおいては、中国(1650億円、前年度比38.3%減)、ASEAN4(4214億円、同40.1%減)において著しい減少を見込んでいる(第2-(5)-1-3図)。

地域別現地法人設備投資額(製造業・アジア3極)

(注)
・海外設備投資比率=現地法人設備投資額/国内設備投資額×100

好調に推移する輸送機械の設備投資

 97年度の製造業における現地法人の設備投資状況をみると、輸送機械(1兆107億円、前年度比51.3%増)、非鉄金属(1274億円、同22.7%増)、繊維(1121億円、同35.8%増)等の業種で増加となった一方で、電気機械(6580億円、同4.8%減)、化学(3019億円、同16.3%減)、一般機械(873億円、同4.8%減)等では減少と業種間にばらつきがみられる(第2-(5)-2-1図)。

業種別現地法人設備投資額(製造業)

 海外設備投資比率(注)については、輸送機械(44.7%)、繊維(31.6%)といった業種で製造業平均(19.2%)を上回っている(第2-(5)-2-1表)。

地域別再投資推移(製造業)

 98年度については、ほとんどの業種において減少が見込まれており、特に電気機械(前年度比1448億円減)、化学(同691億円減)等の業種において減少幅が大きくなっている(第2-(5)-2-1図)。

(注)
・海外設備投資比率=現地法人設備投資額/国内設備投資額×100

過去最高水準となった97年度の再投資額

 我が国企業の海外における投資活動の実態を把握するためには、日本からの対外直接投資に加えて、現地における借入や内部留保を原資とした現地法人の投資活動(=再投資(注))も考慮する必要がある。

 現地における再投資は高水準の内部留保を背景に94年度以降、増加傾向で推移しており、97年度においても 2兆3903億円と過去最高を更新し、また、97年度における我が国製造業の対外直接投資額(2兆3731億円)を僅少ではあるが上回っている(第2-(5)-3-1表、第2-(5)-3-1図)。

地域別再投資推移(製造業)

 総投資額(=対外直接投資額+再投資)については、97年度における我が国製造業の対外直接投資額(円ベース)も微増ながらも過去最高となったことから、前年度比7.7%増の4兆7634億円となっている(第2-(5)-3-1図)。

総投資額推移(製造業・全地域)

 再投資を地域別にみると、北米及びヨーロッパにおいて引き続き堅調な動きとなっている一方で、92年以降活発な動きを示してきたアジア地域は、前年程度の水準となっている(第2-(5)-3-1表、第2-(5)-3-2図)。

総投資額推移(製造業・地域別)北米

総投資額推移(製造業・地域別)アジア

総投資額推移(製造業・地域別)ヨーロッパ

(注)
・再投資等とは、設備投資額から日本側出資者引受額を控除したもので、現地調達分も含まれる。
・再投資額 = 設備投資額 × (1-日本側資金引受額/設備投資額)
但し、「日本側資金引受額/設備投資額」の比率については、日本側資金引受額及び設備投資額の双方に回答があった企業により算出。

最終更新日:2007.10.1