企業戦略と海外事業経営管理-平成11年5月18日公表-

海外事業活動基本調査


グローバリゼーションを意識した国際経営戦略

 97年度の地域統括機能を持つ現地法人数は、前年度比1.8%減の2,227社であった。統括機能を持つ現地法人は製造業を中心にほぼ横ばいである(第2-(7)-1-1図)。

地域統括を有する現地法人数

 現地法人における生産機能をみると、現在は、全体の44.9%で一貫生産を実施する一方、31.4%が日本との工程間分業を実施している。5年後をめどとした将来展望では、一貫生産及び日本との工程間分業の実施における比率に変化はないものの、技術水準については日本と同程度もしくは日本より高水準へ変わる傾向が全地域においてみられる(第2-(7)-1-1表)。

現地法人の生産活動機能(製造業)構成比

 97年度の持株会社機能について全地域でみると、全産業で1446社が導入しており、全現地法人企業の15%程度に相当する企業で導入している。業種別では、製造業が持株会社機能を有しているいわゆる事業持株会社の割合が703社と多い。地域別では、アジアが企業数631社で最も多くなっている。我が国における純粋持株会社解禁と相まって企業間関係を見る上で今後の動向が注目される(第2-(7)-1-2図、第2-(7)-1-3図)。

持株会社を有する現地法人企業(全地域)

地域別持株会社機能を有する現地法人数

 現地法人が日本の本社企業の連結決算の対象になっているかについて、全地域でみると、全産業では、日本の本社企業と連結しているとしたのは60.1%、連結していないとしたのは39.9%であった。

 地域別に見ると連結していると回答した割合が高いのはヨーロッパの72.2%、ついで北米の69.2%となり、アジアでは51.0%にとどまった。業種別にみると、全地域では商業が66.3%と高く、製造業合計の59.9%、サービス業の58.7%の順であった。日本の会計基準が国際会計基準に準拠すると、この割合はさらに高まると推測される(第2-(7)-1-4図)。

連結財務諸表の有無(全地域)

連結財務諸表の有無(北米)

連結財務諸表の有無(アジア)

連結財務諸表の有無(ヨーロッパ)

 将来の経営計画については、「事業の多角化を図る」と、「現在の事業領域で事業拡大を図る」とした回答が全産業で約6割強、製造業の約7割を占め現地法人企業の積極的な経営姿勢がうかがわれる(第2-(7)-1-5図)。

将来の経営計画(製造業)

将来の経営計画(全産業)

現地法人の研究開発費は大幅増

 97年度の製造業現地法人研究開発費は、前年度比45.6%増の2994億円となった。海外研究開発比率(注)も前年度比0.8%増加の3.1%となり、現地での研究開発はさらに増加傾向を示している。しかし、海外生産比率(12.4%)、海外設備投資比率(19.2%)と比較すると、依然低水準であるといえる(第2-(7)-2-1図)。

現地法人の研究開発費及び海外研究開発比率推移

 業種別では、電気機械(980億円)、化学(850億円)、輸送機械(689億円)の順に大きく、この3業種で全体の約9割を占める(第2-(7)-2-2図)。

業種別現地法人研究開発費(製造業)

 地域別では、北米の1860億円(シェア64.7%)、ヨーロッパの729億円(同26.1%)、アジアの241億円(同8.6%)の順に大きく、北米における研究開発費の伸びが目立つ(第2-(7)-2-3図)。

地域別研究開発費(製造業)

96年度地域別研究開発費

 現地法人の研究開発機能をみると、企画・設計及び開発研究が中心となっており、この傾向は96年度と大きな変化はない。基礎研究及び応用研究についてもほぼ横ばいである(第2-(7)-2-1表)。

地域別現地法人の研究開発機能’製造業)

(注)・海外研究開発比率=現地法人研究開発費/国内法人研究開発費×100

最終更新日:2007.10.1