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- 第28回海外事業活動基本調査結果概要-平成9(1997)年度実績-
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アジア経済危機の影響-平成11年5月18日公表-
海外事業活動基本調査
売上高
在タイ企業への影響大
アジア各国における現地法人売上高をみると、全般的に堅調となっている。しかしながらタイにおける減少が製造業・全産業とも著しい。(第4-(1)-1-1図、第4-(1)-1-2図)
これは、危機のきっかけとなったタイで経済危機の影響が真先に現れたものと考えられる。GDPの成長率も97年はタイのみがマイナスとなっている。98年には台湾・中国を除き経済危機の影響が本格化していることから、現地法人の業績も今後より悪化するものと考えられる。(第4-(1)-1-1表)
通貨も97年に対米ドルレートが切り下がっているが、98年にその幅はさらに拡大している。(第4-(1)-1-2表)
業種別売上高
「現地販売型」業種で大きい落込
経済危機直前の96年度において、在アジア製造業企業の販売・調達状況を業種別にみると、現地販売率によって現地市場を目的としている業種と、アジアの低コストを活かして生産し、周辺国や域外に輸出している業種の2つに大別することができる。(第4-(1)-2-1図)以後、前者を「現地販売型」、後者を「輸出型」と区分し、分析を行う。
ASEAN4では、業種別にみるとマレーシア以外の各国で現地販売型がマイナスとなり、輸出型との対照的な動きをしている。タイ・インドネシアで現地市場が縮小していることがわかる。輸出型は通貨切り下げにより価格競争力がつき、売上を伸ばしたものと考えられる。(第4-(1)-2-2図)
NIES4では韓国・シンガポールの2国において売上高が減少している。ASEAN4とは反対に現地販売型の売上が好調であり、調査時点においては国内マーケットがそれほどダメージを受けていないことがみうけられる。(第4-(1)-2-3図)
減少の目立つタイで、業種毎に売上高増減率分布をみると、現地販売率が高い業種ほど売上高が減少している。特に現地販売率が高く、品質等の点から輸出シフトが困難な輸送機械・鉄鋼で落ち込み幅が大きい(第4-(1)-2-4図)
経常利益
ASEAN4で大幅低下
売上高経常利益率はASEAN4の全ての国で低下している。なかでも、現地販売型の落ち込みが大きい。(第4-(1)-3-1図)これは売上高が減少していることに加え、通貨下落により外国からの調達コストが上昇し収益悪化要因となっていることが考えられる。特にタイ・インドネシアでは下落幅が大きく、実額においても経常損失となっている。(前掲第2-(3)-2-5図)
NIES4では全体で経常利益率は上昇しているものの、国毎にばらつきが大きい。危機の影響を受け、GDP成長率が落ち込んでいる韓国では現地販売型・輸出型双方で低下している。(第4-(1)-3-2図)
設備投資
98年度大幅に減少見込み
97年度設備投資額はASEAN4で前年度比7.2%増、NIES4で横ばいとなっている。
(第4-(1)-4-1図、第4-(1)-4-2図)売上や利益とは異なり、97年度時点では影響はみられないが、これは設備投資計画が長期的な見通しに基づきたてられること、危機の発生当初は一時的な影響にとどまるとの意見も多く、低迷の長期化が予測できなかったこと等によるものと考えられる。
しかしながら98年度の投資見込は、ASEAN4で40%減、NIES4で15%減と大幅なものとなっており、影響は98年度以降現れてくるものと思われる。
最終更新日:2007.10.1