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国際産業連関表

1990年日欧(英,仏,独)2国間国際産業連関表について

第1章 1990年日欧(英,仏,独)二国間国際産業連関表の概要

通商産業省調査統計部では、国際間における財やサービスの流れを通じた各国の相互依存関係の把握及び国際産業構造調整問題に関する各国共通の分析ツールの開発を目的として、昭和61年度から1985年を対象とする国際産業連関表の作成を開始した。

また、平成5年度からは引き続き1990年を対象とした国際産業連関表の作成を開始し、この度『1990年日欧(英,仏,独)二国間国際産業連関表』が完成したので、若干の分析を加え、公表することとした。

1.1990年日欧(英,仏,独)二国間国際産業連関表の構造

『1990年日英国際産業連関表』、『1990年日仏国際産業連関表』及び『1990年日独国際産業連関表』(以下、それぞれ「日英表」、「日仏表」及び「日独表」と略す。また、まとめて「日欧表」と略す。)は、日英、日仏、日独における各産業の生産活動が、国内及び国外のどのような産業または最終需要との関連で行われているかを明らかにするため、1990年において日本と各国の国内及び日本と各国の国間で行われたすべての財・サービスの取引をそれぞれ一覧表にまとめたものである。

1990年日欧(英,仏,独)二国間国際産業連関表の構造図
  中間需要 最 終 需 要



日本の
生産活動
相手国の
生産活動
日本国内
最終需要
その他
世界への
輸 出
相手国内
最終需要
その他
世界への
輸 出



日本の
生産品
  交易部分
日→相
    交易部分
日→相
   
相手国の
生産品
交易部分
相→日
  交易部分
相→日
       
関税・
運賃等
            -
その他
世界から
の輸入
           
関 税            
付加価値     -
国内生産額    

(1)取引額表

  1. この表をタテ方向にみることによって、日本と各国の各産業が生産活動を行うにあたり、どの国のどの商品をどれだけ使ったか、また、その生産活動によって、どのような付加価値をどれだけ生み出したか(費用構成)がわかる。
    また、この表をヨコ方向にみることによって、日本と各国の各産業で生産された商品が、どの国のどのような需要向けに、いくら販売されたか(販路構成)がわかる*1。
  2. 中間需要と中間投入に囲まれた領域の中の、日英、日仏及び日独間の各交易 部分は、各国各産業の生産活動における相互依存関係を表している。
    ただし、日英、日仏及び日独間のサービス等(財以外)の取引は、デー夕の制約により「その他世界」(それぞれ、日英、日仏及び日独以外の国、以下「ROW」(Restof the Worldと略す。)との取引に含まれている。また、関税及び海上運賃・保険料等は別掲されている。
  3. 各財の価格評価は、各国それぞれの生産者価格*2で評価されている。すなわち、日本財の日本国内における取引と、英国、仏国及び独国における日本財の投入は、日本の生産者価格で、英国、仏国及び独国各財の各自国内における取引と、日本における英国、仏国及び独国各財の投入はそれぞれ英国、仏国及び独国の各生産者価格で評価されている。商業部門及び運輸部門に計上されている日英、日仏及び日独間の各取引は、それぞれの相手国向け輸出の各財に係わる国内の商業マージン及び運賃を一括計上したものである。ROWとの取引は、輸出が表側の国(輸出国)の生産者価格で、輸入は表頭の国(輸入国)のCIF価格(通関輸入ベース)で評価されている。
  4. 表の価格表示はドルである(円表示も可能である)。今回の表は各国通貨をそれぞれ1990暦年の平均為替レート(144.79円/ドル、0.5632ポンド/ドル、5.4453フラン/ドル及び1.6157マルク/ドル)で換算しいる。
    なお、国際間の産業連関分析を行う場合、購買力平価あるいは各商品別国際統一 価格等による共通の価格評価を行うことが望ましいとされているが、方法論等にいては現在研究段階であり、今回は1985年日欧(英,仏,独)二国間国際産業連関表と同様、年平均レートによる換算にとどめた。
  5. 部門分類の数は、基本分類で日英表101部門、日仏表87部門、日独表56部門であり、各国の各産業が商品別に分類されている。他に、各表共通の43部門及び24部門の統合分類が作成されている。なお、最も詳細な基本分類表で対角要素の自部門投入を内生部門の「国産品×国産品」のブロックから削除してゼロにするとともに、生産額も同額分だけ減額修正してある。

(2)各種係数表

「取引額表」の他に、「投入係数表」、「逆行列係数表」、「最終需要項目別誘発係数(生産、付加価値及び輸入)」等を作成した。

2.1990年日欧(英,仏,独)二国間国際産業連関表の作成方法

(1) 今回の作業で使用した日本の産業連関表は、平成6年3月に公表された「平成2年(1990年)産業連関表」(行527部門×列411部門)である。英国については、英国中央統計局公表の「1990年産業連関表」(123部門)、仏国については、仏国統計経済研究所公表の「1990年産業連関表」(98部門)、独国については、独国連邦統計局公表の「1990年産業連関表」(58部門)を使用した。

(2)「日欧表」作成作業の大まかな手順は次のとおりである。

  1. スケジュール、作業体制、表の構造及び推計方法等の決定
  2. 日英、日仏及び日独各共通部門分類の作成
  3. 日本、英国、仏国及び独国各表の事前加工(概念・定義等の調整を施して、統一的な表章形式に変換)
  4. 日英、日仏及び日独各交易部分のマトリックス及び各国のその他世界からの輸入マトリックスの推計
  5. 関税、国際運賃・保険料等の推計
  6. 日本表と英国、仏国及び独国各表のリンク及びバランス調整
  7. 付帯表の作成

*1.このように、自国の生産品と他国の生産品を別々に記述した産業連関表を「非競争輸入型」(または「アイサード型」)の産業連関表という。

*2.生産者価格とは、いわゆる生産者の出荷価格(蔵出し価格)であり、運賃及び商業マージン等のマージンは含まれない。


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最終更新日:2007.10.1
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